ガザ地区に設置の浮き桟橋、間もなく運用終了と米軍

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ポール・アダムズ外交担当編集委員
アメリカ当局は11日、パレスチナ自治区ガザ地区への援助物資の輸送量を増やすために設置した浮き桟橋について、「まもなく運用を停止する」と発表した。設置から2カ月もたたないうちの撤去となる。
この桟橋は悪天候のため、6月28日に撤去されていた。アメリカ軍は今週に入り、「技術的・天候的な問題」のために桟橋を再び固定することができなかったと発表していた。
米国防総省の報道官によると、この桟橋が稼働していた間、8000トン以上の人道援助物資が届けられたという。
報道官はまた、この桟橋は常に一時的な解決策として設置されていたと強調した。
一方、米政府関係者は、地中海の海況が変化し、桟橋の維持が不可能になる可能性がある8月か9月までは、この作戦を継続する可能性を示した。
桟橋は5月17日に運用を開始した直後から、天候が問題となっていた。
ジョー・バイデン米大統領が3月の一般教書演説で初めて発表したこの物資輸送計画は、短命かつ波乱万丈だった。
5月下旬の荒天の後、計画に参加していた小型上陸用ボート4隻が係留から離れ、陸に打ち上げられた。
数日後には桟橋の一部が取り外され、修理のためにイスラエルのアシュドッド港に運ばれた。
6月中旬には、2億3000万ドル(約366億円)をかけてアメリカの技師によって建設された構造物全体が、天候のために再びアシュドッドに運ばれた。
米国防総省はこの時、「桟橋を一時的に移設することで、海面状態の上昇による構造物の損傷を防ぐことができる」と述べた。
桟橋は6月19日に再び固定されたが、1週間もたたないうちに、「予定された保守活動のため」、運用は再び中断された。
この計画は、政治的な悪天候にも見舞われた。
6月8日にイスラエルの特殊部隊が近くのヌセイラト難民キャンプから4人の人質を救出した際には、この桟橋の近くからイスラエルのヘリコプターが離陸する場面の映像が公開された。ソーシャルメディア上では、米軍が救出に関与しているとの憶測を呼んだ。
アメリカの関与を示す証拠はなかったが、米国防総省は強い言葉で否定せざるを得なかった。
「ガザ沿岸の臨時桟橋は、ただ一つの目的のために設置された。緊急に必要とされる人命救助のための支援をガザに運ぶためだ」
アメリカはイスラエルの軍事的・外交的後ろ盾であるため、桟橋は常にパレスチナ人の疑念の的となる可能性があった。
ガザ地区で働くある支援職員は、「桟橋が意図したとおりに機能しているときは、ガザに必要な援助物資を供給していた」と話した。
「だが(中略)桟橋が不公平なものとみられるようになり、その持続可能性を低下させた」
イスラエルの軍事作戦によって多くのガザ市民が飢餓の危機にひんしていた時期に、人道援助の提供を改善するために計画されたこの作戦は、いったいどのような違いをもたらしたのだろうか?
バイデン大統領は、この桟橋は「毎日ガザに入る人道援助の量を大幅に増やすことを可能にする」と述べた。

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アメリカ中央軍(CENTCOM)は6月末、8831トン以上の援助物資が届けられ、その半分以上が、前週の間に到着したと発表した。
しかし、「悪天候が予想されるため」、桟橋をもう一度アシュドッドに戻さなければならないとも発表した。
桟橋は、キプロスや、ガザ沖に係留されている浮きドックに集まっている援助物資の滞留に対処するため、今週中に再設置される予定だった。
しかし11日、米国防総省のパット・ライダー報道官は、CENTCOMは桟橋を岸に固定することができなかったと発表した。
「桟橋と支援船、機材はアシュドッドに戻り、追って通知があるまでそこにとどまる。再設置の日付は決まっていない」と、ライダー報道官は説明した。
また、「当初の配備発表で強調されたように、桟橋は常に、人道上の切迫した時期にガザへの追加的な援助の流入を可能にする一時的な解決策だとされてきた」と述べた。
「桟橋は間もなく運用を停止する予定であり、そのプロセスや時期についての詳細は、今後数日のうちに明らかになる」
これまでに届けられた物資は、必要な物資のごく一部にすぎない。
国連によると、昨年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスの間で戦争が始まる前は、毎日約500台の援助トラックがガザ地区に入っていた。
比較は不正確なものの、米軍の桟橋を使って2カ月間で届けられた援助物資は、戦前の約1日分ということになる。
援助物資を陸に運ぶことは、困難の一部に過ぎない。援助物資を必要としている人々に安全に届けることは、非常に危険なことだ。
イスラエル軍は今週、北部ガザ市近郊で新たな地上作戦を開始した。援助活動家の安全確保は相変わらず難しい。
イスラエルが警察官を含むハマス関係者を執拗に標的にした結果、ガザ地区全体の法と秩序が崩壊している。そのため、組織的であれ偶発的であれ、略奪が依然として横行している。
陸揚げされた援助物資は、イスラエルが管理する資材置き場に保管されることが多く、援助機関は、治安が不安定な環境での物資の集配に消極的だ。








