南部ハンユニスの国連シェルターに砲撃、少なくとも9人死亡=国連機関

パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスにある国連シェルター近くでテント暮らしをする男性

画像提供, UNRWA

画像説明, パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスにある国連のシェルターには多くの人が避難している

パレスチナ自治区ガザ地区の南部ハンユニスで24日、民間人が避難している国連施設が攻撃され、少なくとも9人が死亡、75人が負傷した。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が発表した。

UNRWAによると、ハンユニス西郊での戦闘中、戦車からの砲弾2発が「ハンユニス訓練センター」を直撃した。

UNRWAはこの攻撃について、「戦争の基本ルールがあからさまに軽視されている」と非難した。

イスラエル軍は、自軍の空爆や砲撃によるものではないと主張している。

一方、この近隣での作戦を見直すとともに、「ハマスの攻撃」である可能性を検討していると付け加えた。

イスラエル軍は23日にハンユニスを完全に包囲したと発表。現在は西側から進行し、イスラム組織ハマスと戦闘を繰り広げている。

ハンユニスにある二つの主要病院の周辺でも衝突や爆撃が報告されており、多くの患者や医療従事者などが病院から離れられない状況だ。

イスラエルとハマスの現在の戦闘は、ハマスが10月7日にイスラエル南部を奇襲し、イスラエル側で約1200人を殺害し、約250人をガザ地区へ連れ去ったことで始まった。

ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエルの攻撃によりこれまでに2万5700人が殺された。

また、ガザ地区の人口の約4分の3にあたる170万人が、12週間にわたる戦闘で家を追われたとみられている。その多くが、国連施設やその周辺に避難している。

ハンユニスの訓練センターは、UNRWAが運営するシェルターの中でも最大規模のもので、敷地内で3万~4万人が暮らしているという。

「イスラエル当局と安全性を確認」と国連機関

UNRWAはこの施設について、明確に印がつけられており、イスラエル当局とも座標を共有していたと説明。施設内の民間人は国際法で守られるべきだと述べた。

しかし、22日に施設の周辺地域で起きた戦闘では、避難者の少なくとも6人が殺害され、負傷者が数多く出たと発表

近隣のラファに滞在しているUNRWAのガザ地区責任者トーマス・ホワイト氏はBBCに対し、ガザ北部から逃れてきた800人が生活していた建物には24日午後、戦車から発砲された2発の砲弾が当たったと述べた。

「UNRWAはシェルター管理チームと共にチームを派遣した。現時点では9人が死亡し、75人が負傷したようだ」と、ホワイト氏は述べた。

「ガザ地区の主要病院の収容能力が非常に限られている中、この状況下にいる人々を治療することが目下の課題だ」

ホワイト氏はまた、UNRWAは常にイスラエル当局と連絡を取り、こうした施設は安全だと保証されてきたと話した。

「つまり、こうした協力にもかかわらず、現実にはイスラエル軍は民間人保護の義務を果たしていないし、民間人がいる地域での活動で十分な注意を払っていない」

UNRWAの報告についてイスラエル国防軍(IDF)は、「我々の作戦システムを調査した結果、IDFは現時点で、この件が自軍の空爆や砲撃によるものだとは考えていない」と述べた。

また、「この地域における部隊の作戦の徹底調査が進行中だ」としたうえで、「この攻撃がハマスによるものだという可能性も調査している」と述べた。

米国務省のヴェダント・パテル報道官は、ガザ地区で民間人を守るべきだとする米政府の呼びかけを繰り返した。そして、「国連のハンユニス訓練センターに対する攻撃を遺憾に思う」、「非常に懸念が募る出来事だ」と述べた。

イスラエル軍の爆撃による煙が立ち上る、パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスの街(24日)

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画像説明, イスラエル軍の爆撃による煙が立ち上る、パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスの街(24日)

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IDFは先に、イスラエル部隊が「ハンユニス西部でハマスの前線基地、インフラ、司令・管理センターなどを標的とした師団作戦」を行ったと発表。「ハンユニス西部にあるハマスの軍事的枠組みの解体が、この作戦の根幹にある」と説明していた。

また、ハマスが「民間人にまぎれ、シェルターや病院を利用している」と述べた。ハマスはこの主張を否定している。

病院への圧力に懸念、人々はさらに避難

ハマスが運営するガザ地区の保健省は、IDFが「ハンユニスの病院を孤立させ、市西部で殺人を行った」と非難した。

パレスチナ赤新月社(PRCS)は、運営するアル・アマル病院と本部がイスラエル軍に「包囲」されたと発表。患者や負傷者のほか、施設内に避難している推定1万3000人が閉じ込められていると述べた。

PRCSはまた、24日朝に避難民3人が、本部の入り口で狙われ、殺害されたと主張している。

国境なき医師団(MSF)も23日、近隣のナセル病院にいるスタッフから、周辺で爆撃と激しい銃声が聞こえたとの報告を受けたと発表した。同病院は、ガザ地区でなお機能している最大の病院。

「MSFスタッフは現在、建物への往復路がアクセスできないか、危険すぎるため、850人の患者を含む数千人と共に避難できない状況にある」と、MSFは述べた。

IDFは、これらの病院がある地域を含むハンユニス西部に避難命令を出している。国連の推定では、この地域には約8万8000人の住民と約42万5000人の避難民がいる。

UNRWAのホワイト氏はBBCに対し、数万人が現在、すでに140万人が避難しているエジプト国境のラファに向かっていると語った。

英民放、パレスチナ人の殺害現場を撮影

ハンユニスではこのほか、英民放ITVのカメラマンが23日、UNRWAのシェルターから南に1.7キロメートルほど離れた地点で、パレスチナ人の民間人が射殺される様子を撮影した。

映像では、白い旗を持った男性5人が戦闘地域に向かって歩いている。その後、複数の銃声が聞こえ、男性らの1人が地面に倒れる。誰が発砲したのかは不明だ。

イギリスのリシ・スーナク首相は24日の議会で、こうした映像がガザ地区での停戦を働きかけるきっかけにならないのかと質問を受けた。

スーナク氏はこれに対し、「この紛争を必要以上に長引かせることは誰も望んでいない。我々は即時かつ持続的な人道的一時休戦を求めている」と述べた。

現在、数カ国が停戦に向けた協議を続けている。ある計画には1カ月間の停戦とイスラエルの人質とパレスチナ人囚人の段階的解放が含まれていると言われている。

しかし、イスラエルもハマスも提案を拒否しているもようで、進展への期待はしぼんでいる。

こうしたなか、エジプトのアブドゥル・ファッターハ・アル・シーシ大統領は、エジプトが管理するラファ検問所での援助物資の搬入をイスラエルが意図的に妨げていると非難。「紛争と人質解放をめぐり、ガザ地区とその人々に一種の圧力」をかけていると述べた。

エジプトや国連と援助物資の輸送を調整しているイスラエル国防省の機関はこの主張を否定し、「ガザに入る援助物資の量に制限はない」と主張した。