ガザ南部ハンユニス、イスラエルが攻撃を激化 数十人が死傷か

ガザ南部ハンユニスのナセル病院に遺体が運び込まれ、パレスチナの若者が悲しみの表情を見せた(22日)

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画像説明, ガザ南部ハンユニスのナセル病院に遺体が運び込まれ、パレスチナの若者が悲しみの表情を見せた(22日)

パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで22日、イスラエル軍による激しい空爆があり、数十人が死傷したとされている。同軍とイスラム組織ハマスの戦闘は地上でも激化している。他方、米ニュースサイト・アクシオスは同日夜、米政府関係者の話として、イスラエルが2カ月の戦闘休止と引き換えに人質全員を段階的に解放するようハマスに提案したと伝えた。

病院や大学を戦車が包囲

イスラエル軍はこのところ、ハンユニスで軍事行動を集中的に展開している。同市にはハマスの最高司令官らが潜伏していると、イスラエル軍は確実視している。

報道などによると、ハンユニスの西部地域にイスラエル軍の戦車が入っている。夜間に激しい砲撃を行い、同市の二つの主要病院に迫ったとされる。

住民らは、数千人が避難している病院と大学を、イスラエル軍の戦車が包囲したとしている。

パレスチナ赤新月社(PRCS)によると、運営するアル・アマル病院やPRCS本部、近くの救急センターの周辺をイスラエル軍が包囲している。病院内のスタッフや患者、避難者の安全が深く懸念される状況だという。

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PRCS広報のネバル・ファルサフさんは、「この地域は現在、非常に危険だ。一帯で大きな爆発音が聞こえる」と中東のテレビ局アルジャジーラに話した。「外に出ようとしたり、通りに出たりする人はみんな狙われる」。

ファルサフさんはまた、PRCSの救急車が病院から出動できなくなっており、負傷者を救助できていないと説明。通信が途絶えており、スタッフはVHF無線を頼りに連絡を取り合っていると付け加えた。

ハンユニス周辺で戦闘が激化し、黒煙が上がった(22日)

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画像説明, ハンユニス周辺で戦闘が激化し、黒煙が上がった。住民らは過去最も激しい戦闘になっていると話している(22日)

ガザで現在も機能している医療施設のうち最大のナセル病院の周辺でも、煙が上がり、銃声が聞こえた。

パレスチナのメディアによると、同病院では前夜から死者50人、負傷者100人以上を受け入れたと、外科部長が報告したという。

ガザ保健当局によると、ハンユニス西部で22日、数十人が殺傷された。ナセル病院では、安全に外に出られないため、敷地内に40人の遺体を埋葬せざるを得なかったという。

ナセル病院の救急医アフメド・アブ・ムスタファさんはロイター通信に、同病院は死傷者であふれ返っており「崩壊寸前」だと話した。

「ナセル(病院)付近が包囲されていて、病院に医療支援を運び込むことや、患者の治療を続けることが非常に難しくなっている。(中略)鎮痛剤も麻酔も医療資源もまったくない」

ガザ保健当局の報道官は、ハンユニス西部のアル・マワシ地区にあるアル・ハイル病院でも、イスラエル軍による急襲があったとロイター通信に話した。

ハンユニスでの戦闘から逃れようと、南部ラファに向けて避難するパレスチナの人々(22日)

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画像説明, ハンユニスでの戦闘から逃れようと、南部ラファに向けて避難するパレスチナの人々(22日)

こうしたなか、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は22日、イスラエルには国際法の下、ガザの病院にいる罪のない人々を可能な限り保護する義務があると述べた。

イスラエル軍は、これら3病院に関する報告について即座にはコメントしていない。同軍はこれまで、医療施設の内部や周辺でハマスが活動していると非難している。ハマスはこれを否定している。

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ハンユニスのアル・マワシ地区にあるアル・アクサ大学周辺でも砲撃があった。同大学には数千人が避難している。

家族と避難しているユーニス・アブデル・ラゼクさんは、「アル・マワシ地区は安全だと言われていたが、うそだった」とAFP通信に話した。

イスラエル軍はガザ住民らに対し、安全のためアル・マワシ地区の地中海沿いに設定した「人道区域」に移動するよう伝えている。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は20日、「人々が爆弾や銃弾だけでなく、食料や清潔な水の不足、電力や医薬品のない病院、そして戦闘から逃れるための狭い土地への過酷な旅によっても死んでいる。これを止めなくてはならない」と訴えた。

イスラエル国会に人質の家族乱入

一方、イスラエル軍は21日、人質約20人が拘束されていたとみられる地下施設をハンユニスで発見したと発表した。

エルサレムにあるイスラエルの国会では22日、財務委員会に人質の家族が多数乱入。人質解放のため一層努力するよう政府に訴えた。

家族の1人は、「子どもたちが戻ってくるまで、あなたたちには一息もつかせない」と声を張り上げた。

動画説明, イスラエル国会の委員会に人質の家族らが乱入した(国会のテレビ映像)

人質解放をめぐっては、アメリカ、カタール、エジプトが仲介を試みている。ハマスは、イスラエルが戦争を終わらせ、軍を撤退させることが解放の条件だとしている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、そうした取引は「怪物」への屈服に等しく、兵士が「無駄死に」したことになるとして、拒否している。

ただ、米ニュースサイトのアクシオスは22日夜、米政府関係者の話として、イスラエルが2カ月の戦闘休止と引き換えに人質全員を段階的に解放するようハマスに提案したと伝えた。

イスラエル当局によると、ハマス戦闘員らは昨年10月7日、ガザとの境界を越えてイスラエル南部に入り、前例のない攻撃を実施。約1200人を殺害し、250人近くを人質にとった。

ハマスが運営するガザ保健当局は、イスラエル軍がガザで大規模な空爆と地上作戦を開始して以来、少なくとも2万5295人が殺害されたとしている。さらに、がれきの下で多くの人が死亡しているとみられている。

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【訂正】2024年2月13日:この記事は発表当初、ハマスは昨年10月7日のイスラエル攻撃で約1300人を殺害したと伝えていましたが、これは当日殺害された約1200人に、負傷のため後日亡くなった方々を含めた人数でした。このため記事本文を修正し、当日殺害された人数を「約1200人」にあらためました。この人数について、イスラエル政府は確定的ではないと説明しています。