【地図で見る】 ガザ住民の生活はこの3カ月でどう変わったのか
BBCニュース、ビジュアル・ジャーナリズム・チーム

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パレスチナ自治区ガザ地区では、昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエル軍がその報復攻撃を始めてからの3カ月で、人口の85%以上に当たる200万人近くが家を追われた。
ガザ地区は2007年以来、ハマスが実効支配している。イスラエルは、イスラエル破壊を目標とするハマスの軍事的・政治的能力を壊滅させようとしているのだと主張している。
ガザ地区は、南北に41キロ、東西に10キロしかない人口密集地だ。片側は地中海に面し、もう片側はイスラエルに封鎖されているほか、エジプト国境とも面している。国連高官は、この土地が「人が住めない土地になった」と話す。

イスラエルはガザ地区へ進軍する前、ワディ・ガザ(ガザ渓谷)より北部の住民に避難するよう警告した。
北部には、ガザ地区で最も人口の多かったガザ市も含まれていた。イスラエルに通じる北側のエレズ検問所は閉鎖されていたため、人々は南部へ向かうしか選択肢がなかった。

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ガザ南部の避難地域
イスラエル国防軍(IDF)は現在、ガザ地区南部での作戦に注力している。南部の主要都市ハンユニスとラファは爆撃され、イスラエル軍とハマスの戦闘員が地上戦を繰り広げている。北部からの避難民を含むパレスチナ人は、「安全地域」と呼ばれる場所に移動するよう命じられている。アル・マワシにある細い安全地域は、地中海に面した農業地帯で、エジプト国境にも近い。しかしイスラエル軍は、アル・マワシの一部でも作戦を行う準備をしているため、住民はデイル・アル・バラフへ移動するべきだと述べている。
ハンユニスとデイル・アル・バラフでの戦闘により、すでに数万人がラファ地区に逃げ込んでいる。国連は、100万人以上が「非常に人口密度の高い場所に押し込められている」と指摘している。

国連によると、ガザ地区の人口の75%超に当たる約170万人が、イスラエル軍による北部からの避難警告が出る以前から、すでに難民として登録されていた。
国連はパレスチナ難民を、「1946年6月1日から1948年5月15日までの期間に居住地がパレスチナであり、1948年の戦争の結果、住居と生計手段の両方を失った」人々と定義している。パレスチナ難民の子供も、難民申請が可能だ。
ガザ住民の大半が家を追われた

これらパレスチナ難民のうち50万人以上がすでに、ガザ地区内の8カ所の難民キャンプに滞在していた。
イスラエルの警告を受け、避難民の数は急増。国連によると、10月7日以降に190万人が家を追われた。
この紛争以前、ガザ地区の平均人口密度は1平方キロあたり5700人と、ロンドンの平均と同じくらいだった。しかし最も人口が密集していたガザ市では、1平方キロあたり9000人だった。

このガザ市の住民が南部に逃がれたことで、ラファの人口密度は現在、1平方キロあたり1万2000人を超えていると、国連は指摘する。
国連は、ガザ中部と南部の緊急避難所では過密状態が大きな問題で、収容人数をはるかに超えている場所もあると警告している。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、「過密状態で不衛生なUNRWAの避難所が、今では140万もの人々の『家』になっている」と述べた。
「食料から衛生状態、プライバシーまで、何もかもが不足している。人々は非人道的な状況で暮らしている。病気が子供たちにも広がっている。人が住めない場所で、飢餓が迫る中、暮らしているのだ」
これらの緊急避難所の多くは学校施設を使っており、一つの教室に何十人もが住んでいるところもある。敷地内にテントやその場しのぎのシェルターを作っている家族もあれば、荒廃した場所に屋根もない状態で暮らす人々もいる。

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イスラエルはガザ地区全体に空爆をひっきりなしに続け、使用した爆弾やミサイルは1万発以上だとしている。こうした攻撃が、建物やインフラに大きな損害を与えている。
ガザ地区の当局によると、紛争開始以降で、同地区の住宅の50%以上が破壊されたか、住めない状態になったか、なにかしらの損害を受けたという。また、50万人以上が帰る家を失い、さらに多くの人が、周囲のインフラへの被害で、紛争後にすぐに家に帰れない状態だとしている。
下図は、ニューヨーク市立大学大学院センターのコーリー・シェール氏とオレゴン州立大学のハモン・ファン・デン・ホーク氏が人工衛星写真を分析して作成した。紛争開始以降、どの都市部が集中的な被害を受けたを示している。
シェール氏とホーク氏によると、ガザ地区全体で13万8000棟の建物が被害を受けた。特に北部とガザ市に集中しており、北部の2地域では建物の少なくとも70%が損傷した。また、ハンユニスでも56%の建物が被害を受けているという。

また、爆撃の被害や燃料不足のため、多くの医療施設が機能不全に陥っている。
国連によると、ガザ地区の病院の収容能力は、10月7日以前の3500床から現在は1000床程度に半減しており、北部では機能している病院は「ほとんどない」という。

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10月7日のハマスの襲撃では、1200人以上のイスラエル人と外国人が殺害された。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエルの攻撃が始まってから、約8000人の子供を含む2万3000人のパレスチナ人が殺された。
BBCがこの数字を検証・確認することは難しい。しかし世界保健機関(WHO)は、こうした数字が不正確だと考える理由はないとしている。
イスラエルは、空爆と共にガザの「完全制圧」作戦を実施している。地上作戦が始まると、電力や食料、燃料の供給は停止された。
IDFは、ガザ地区北西部の海岸沿いから地上作戦を開始し、北東部のベイトハヌーン近くまで進行。数日後にはガザ市の南部で、ガザ地区を分断した。
装甲ブルドーザーが戦車や部隊の通り道を作り、ガザ地区北部を拠点とするハマス戦闘員の拠点を掃討しようとした。
ガザ地区を分断した後、イスラエル軍はさらにガザ市に進行し、ハマスの抵抗に直面した。米戦争研究所のアナリストらは、いくつかの地域で衝突があるものの、イスラエル軍はガザ地区北部を掌握しつつあるとみている。

IDFが公開した下の画像では、ガザ市近郊の海岸に戦車と装甲ブルドーザーが停車している。
昨夏に同じ海岸で撮影された写真には、ガザの暑い一日を満喫する人々が写っている。家族連れが海で水しぶきを浴びたり、ビーチ沿いでうちわを広げて座っている。

現在の紛争が始まる以前から、ガザ住民の8割が人道支援を必要としていた。イスラエルはエジプト経由での支援供給を認めているものの、支援機関はまったく十分ではないと指摘している。
国連の世界食糧計画(WFP)によると、ガザ住民の半数が飢えており、9割が丸1日何も食べられないことが普通になっているという。
国連の人道問題調整事務所(OCHA)によると、昨年11月末に行われた7日間の一時休戦では、1日に平均170台のトラックと11万リットルの燃料がガザに運び込まれていた。
支援物資を載せたトラックは現在もガザ地区に入っている。しかしWHOは、同地区が激しい砲撃、移動制限、通信の遮断、燃料不足に耐えているため、援助は「克服不可能に近い困難に直面し続けている」と伝えている。








