イスラエル軍、ガザ南部ハンユニスを包囲と発表 病院付近でも攻撃か

画像提供, PALESTINE RED CRESCENT SOCIETY
イスラエル軍は23日、パレスチナ自治区ガザ地区南部の最大都市ハンユニスを、地上部隊が包囲したと発表した。住民らは、病院付近でも攻撃があったとしている。
イスラエル軍は、ハンユニスの一部でイスラム組織ハマスの指導者が人質と共にトンネルに隠れているとみている。同軍はそうした地域に深く入り込んでいるとされる。
住民らによると、ハンユニスから地中海沿岸に出られる最後の道路を戦車が封鎖しており、同市から南への避難が事実上不可能になっている。
また、市内の主要病院2カ所の周辺で激しい戦闘があったという。
ハマスが運営するガザ保健当局はこの日、直近の24時間で少なくとも195人のパレスチナ人が殺害されたと発表した。
また、イスラエルとの戦争が始まって以降では2万5400人以上が殺されており、そのほとんどは子どもと女性だという。
現在の戦争は、ハマスの武装集団が昨年10月7日にイスラエル南部を急襲したことで始まった。ガザ地区の境界を越えて実行したこの前例のない襲撃で、ハマスは民間人を中心に約1200人を殺害し、250人近くを人質にとった。
イスラエル軍は22日、兵士24人が殺害されたと発表。ガザでの地上攻撃が始まってからの12週間で、同軍の1日の死者数としては最多となった。うち何人かの葬儀が23日に執り行われた。
<関連記事>
イスラエル軍の地上部隊は、ガザ北部でハマスの拠点をほぼ制圧し、昨年12月に南部へと作戦を拡大した。
その数日後には、ハンユニスの「中心部」に到達したとされる。同市には、北部から逃れてきた数十万人が避難している。
しかし、イスラエル部隊はそれ以来、ハマスのハンユニス旅団の激しい抵抗にあっている。同旅団はハマスの2強部隊の一つとされる。ハマスは、イスラエルやイギリスなどからテロ組織に指定されている。
ここ数日は、イスラエル軍が作戦を拡大、激化させている。ハンユニスの西部と中心部に戦車で入り、空爆と砲撃も実施。22日だけで住民ら数十人が殺害されたとされる。
23日にはイスラエル軍が声明を発表。この1日で、部隊が「大規模な作戦を実施してハンユニスを包囲し、作戦を深化させた」とした。
また、「(部隊が)接近戦を行い、(空からの)爆撃を指示し、情報に基づいて砲撃を調整し、テロリスト数十人を排除した」と付け加えた。

画像提供, EPA
イスラエル軍はさらに、ハンユニス西部の住民に対し、安全のため地中海沿岸のアル・マワシ地区に直ちに移動するよう指示した。
しかし現地の人々によると、同地区に続く道は戦車によって封鎖されており、エジプト国境沿いのラファに避難できない状況だという。ラファには現在、100万人近くが避難しているとみられている。
子どもが4人いる電気技師のシャバンさんは、「ラファに向かおうとしているが、海岸のすぐ近くに戦車がいて、西に向けて発砲している」とロイター通信に話した。
病院付近でも攻撃か
ハンユニスでは病院への攻撃が報告されている。
パレスチナ赤新月社(PRCS)は23日、運営するアル・アマル病院の入口で、イスラエル軍のドローン(無人機)により民間人1人が殺害されたと発表した。また、近くにあるPRCS本部も砲撃され、けが人が出たとした。
PRCSの広報担当は、「私たちの施設に避難している何千人もの間にパニックと恐怖が広がっている」と、ヨルダン川西岸地区のラマラからBBCに話した。
イスラエル軍はすぐにはコメントを出していない。同軍はこれまで、医療施設やその周辺でハマス戦闘員が民間人の中に紛れ込んで活動していると非難している。
世界保健機関(WHO)の報道官は、ガザで現在も機能している14病院のうち最大の、ハンユニスのナセル病院について、「基本的に包囲されている」と説明。患者約400人と医療スタッフ、避難者らは「出入りできない」状態だと述べた。
ガザの保健当局は、イスラエル軍がナセル病院の「外科専門棟の上階と救急棟に激しい銃撃を加えた」と主張した。
パレスチナ人ジャーナリストが撮影した映像では、ナセル病院の西側の角が銃撃されているように見える。別の映像では、南側から煙が上がっているのが見える。
イスラエル軍は、「その出来事は認識していない」とAFP通信に述べた。

画像提供, EPA
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は23日、ガザの人道状況は「ぞっとする」ほどだとし、すべての住民が「最近の歴史上類のない規模と速度で進む破壊に耐えている」と述べた。
そして、即時の人道的停戦を改めて訴えた。
人質をめぐっては、米ニュースサイト・アクシオスが22日夜、米政府関係者の話として、イスラエルが2カ月の戦闘休止と引き換えに人質全員を段階的に解放するようハマスに提案したと伝えた。
カタール外務省の報道官は23日、潜在的な停戦の合意について「(イスラエルとハマスの)双方と真剣な話し合いを行っている」と述べた。
一方、パレスチナ当局者は、ハマスの代表団がエジプト情報相と「新たな提案を協議する」ため、23日朝にカイロ入りしたとBBCに話した。
イスラエルは、2カ月の停戦を提案したとの報道を否定していない。しかし、恒久的な停戦を要求しているハマスがすでに提案を拒否したと報じられている。

【訂正】2024年2月13日:この記事は発表当初、ハマスは昨年10月7日のイスラエル攻撃で約1300人を殺害したと伝えていましたが、これは当日殺害された約1200人に、負傷のため後日亡くなった方々を含めた人数でした。このため記事本文を修正し、当日殺害された人数を「約1200人」にあらためました。この人数について、イスラエル政府は確定ではないと説明しています。









