ウクライナ、ロシア偵察機を撃墜と発表 ロシア空軍に「打撃」と専門家

オリヴァー・スロウ、BBCニュース

軍事パレードで飛行するロシアのA50早期警戒管制機(2019年ロシア・モスクワ)

画像提供, Reuters

画像説明, 軍事パレードで飛行するロシアのA50早期警戒管制機(2019年ロシア・モスクワ)

ウクライナ軍は15日、南部クリミア半島沖のアゾフ海上空でロシア軍の偵察機を撃墜したと発表した。ロシアの空軍力への打撃となるだろうと、複数のアナリストは指摘している。

ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官によると、ロシアのA50早期警戒管制機(長距離レーダー探知機)1機と空中指揮機「イリューシン22」1機をウクライナ空軍が「破壊した」。

A50は防空システムを探知し、ロシア機が目標を調整するのに使用される。

ウクライナはこのところ、南東部で大きな前進を狙っているが苦慮している。

イギリス国防省は昨年2月23日のブリーフィングで、ロシアは6機のA50を運用している「可能性が高い」としていた。A50の製造コストは数億ドルに上る可能性がある。

BBCはウクライナ軍の攻撃について検証できていない。

ロシア当局は攻撃に関する「情報はない」としたが、戦争支持派の著名なロシア人コメンテーターは、A50の損失は大きいだろうと述べている。

人気軍事チャンネル「Rybar」は、ロシア側が損害を受けたとするウクライナの情報が正しいということが確認されれば、「ロシア空軍にとってまたしても暗い日となるだろう」とした。

別のチャンネルは、ロシアのイリューシン22が「味方から誤って攻撃」されたと伝えた。機体はなんとかロシア国内に着陸したという。

「修復不可能な損傷」与えたとウクライナ

ウクライナ空軍のユーリ・イフナット報道官は、イリューシン22が修復不可能な損傷を受けたと主張した。

ソーシャルメディアに投稿された画像には、尾翼に損傷がみられるイリューシン22と思われるものが写っている。

画像では多くの詳細をはっきりとは確認できず、独立した分析を行うのは難しい。

しかし、BBCヴェリファイ(検証チーム)が、この画像に写っている詳細を、既存の複数の画像と比較したところ、画像に写っている消防車が、ロシア南部クラスノダール地方で使用されている車両と同タイプであることや、背後に写っている青い建物が、クラスノダール地方の黒海沿岸の町アナパの空港にあるものと似ていることが判明した。

ただ、イフナット報道官はウクライナにとっての「最優先の標的」はA50早期警戒管制機だとしている。

ウクライナ軍のザルジニー総司令官はメッセージアプリ「テレグラム」で、ウクライナ空軍がウクライナ南東部アゾフ海での作戦を「見事に計画し実施した」と述べた。

隣国ベラルーシの反体制派組織「BYPOL」は昨年2月、首都ミンスク近郊でドローン(無人機)攻撃を行い、1機のA50に損害を与えたと主張した。

事実ならロシアに「非常に重大な損失」

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の航空戦専門家ジャスティン・ブロンク氏はBBCに対し、A50の損失が確認されれば、ロシア空軍にとって「運用上、非常に重大かつ、きまりが悪い損失」となるだろうと語った。

A50はロシアの航空機と地対空ミサイル・システムに「ウクライナの低空飛行航空機に関する長距離の早期警戒と目標情報」を提供する、「重要な指揮統制・監視プラットフォーム」だと、ブロンク氏は説明した。

また、ロシア空軍はこのような航空機を「少数しか」所有しておらず、「訓練を受けた任務遂行クルーはさらに少ない。つまり、1機の損失が大打撃となる」と付け加えた。

A50の損失が確認されれば、ウクライナが現在保有する地対空ミサイル「パトリオット」を使った攻撃としては「非常に長距離の交戦」となり、「兵器の理論的能力を限界まで」引きのばすことになるだろうと、ブロンク氏は述べた。

BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員は、この明らかな進展は「膨大な数の悪いニュースがあふれる中で、ウクライナにとって小さな良い知らせ」だと指摘した。

ただ、ウクライナは弾薬不足や軍の士気低下、ロシアによるインフラへの継続的な攻撃に苦慮しており、ウクライナにとって戦況は良いとはいえないとした。

協力:オルガ・ロビンソン、ベネディクト・ガーマン