フーシ派が攻撃続ければアメリカは対応する=バイデン米大統領 米軍の攻撃続く

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紅海に展開するアメリカとイギリスの海軍が、イエメンの武装組織フーシ派の拠点をイエメン国内で開始したことをめぐり、ジョー・バイデン米大統領は12日、フーシ派が「とんでもないふるまい」を続けるなら、アメリカはさらに攻撃を続けると述べた。複数メディアによると、米軍は日本時間13日午前にも、フーシ派拠点への攻撃を続けている。
フーシ派のテレビ局は13日早朝、首都サヌアがアメリカに攻撃されたと伝えた。CNNやロイター通信もその後、アメリカ政府筋の話として、米軍がフーシ派拠点をさらに攻撃していると伝えた。NBCによると、米海軍艦がフーシ派拠点を新たに攻撃したという。
これに先立つ12日の攻撃で、米英両軍はイエメン国内のフーシ派の拠点30カ所近くを空爆した。フーシ派は、この攻撃で5人が殺害され6人が負傷したとして、報復を約束した。犠牲者が民間人かどうかは明らかにしなかった。
フーシ派によると、73発のミサイルがイエメンに撃ち込まれた。この事態を受けてもはや、アメリカとイギリスの資産は自分たちにとって正当な標的だとフーシ派は主張。モハメド・アブドルサラム報道官は、「(米英は)この卑劣な攻撃によって、ばかげたまねをした」と述べた。
サヌアでは12日の攻撃を受けて、大規模な抗議行動があった。参加した男性の1人はロイター通信に対し、「イエメン共和国に対する昨晩の攻撃を非難する、これが最初の抗議集会だ」と話した。
「同時にこれは、この侵略について重い代償を払うことになるという、イギリスとアメリカへのメッセージだ」と男性は付け加えた。
昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザ地区で戦争が始まって以来、パレスチナ人を支持する集会はイエメン各地で相次いでいたものの、12日のサヌアでの集会は輪をかけて大規模なものだった。
バイデン米大統領は、12日の攻撃は「成功」で、フーシ派のことはテロ組織だと考えていると発言。「(フーシ派が)このとんでもないふるまいを続けるなら、確実にフーシ派に対応する」と述べた。訪問先のペンシルヴェニア州で、同行記者団の問いかけに答えた。
バイデン氏は、イエメンの民間人に犠牲者は出ていないと考えているとも述べた。
さらに、中東での戦争が石油価格にどのように影響するか「とても心配」していると答え、「くいとめなくてはならない」と話した。
米英がフーシ派への攻撃を開始した12日には、原油価格が一時急伸した。

「我々はイエメンと戦争するつもりはない」と、米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は記者団に述べる一方、「我々の部隊や施設や国際貿易を守るため、引き続き行動することについて、ためらったりしない」とも強調した。
米英による攻撃を、カナダやオーストラリアなど同盟諸国も支援している。
米国防総省は、フーシ派には現在、大規模な報復攻撃を実施する軍事力はないかもしれないとの見方を示した。同省のダグラス・シムズ統合幕僚監部作戦部長は、「(12日に)対艦弾道ミサイルが1発、発射されたのを目にしたが、いずれかの艦船への命中はなかった」と述べた。
イギリスの海上安保企業アンブリーはこれに先立ち、イエメン南岸沖のタンカーに向けてミサイルが発射されたものの、被害や負傷の報告はないと明らかにしていた。同社によると、タンカーはロシア産原油を輸送中で、イギリスと関係があると誤認したフーシ派が誤って攻撃したのだという。

アメリカ政府は、フーシ派を後押しするイラン政府が、フーシ派による紅海での船舶攻撃を画策しているとの考えを明示。攻撃実施に必要な武器や資材もイランが提供しているのだと、アメリカは主張している。
これについてイラン政府は、米英によるイエメンへの攻撃を、国際法違反だと非難した。
フーシ派は、イエメンの少数派イスラム教シーア派の一派、ザイディ派に属する武装勢力。イランが主導する「抵抗の枢軸」の一端を担い、イスラム組織ハマスやヒズボラと共に、イスラエルやアメリカ、さらには西側全般と戦っているのだと自認している。
2014年以降、イエメンの首都サヌアを含む北西部の大部分を支配下に置き、支配地域では事実上の政府として機能している。

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イランの支援を受けているフーシ派はこのところ、紅海とアデン湾で商船をミサイルや無人機(ドローン)で攻撃しており、人員の命の危険だけでなく、世界経済を脅かし、中東地域の不安定化を招いている。
フーシ派はパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスを支持しており、イスラエルとつながりをもつ船舶を狙っていると主張している。また、イスラエルがガザ地区で行っている軍事作戦への対応として、イスラエルに向けてドローンやミサイルも発射している。
フーシ派は2014年以来、サウジアラビアが支援するイエメン政府と、長期化した内戦を戦っている。

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英米両海軍は9日、フーシ派が紅海の海運に対して過去最大規模の攻撃を仕掛けたことを受け、複数のドローンとミサイルを撃墜した。この日の攻撃についてフーシ派は、イスラエルに支援を提供するアメリカの船を狙ったと主張。フーシ派による紅海上での商船への攻撃は、昨年11月19日以降で26回目だった。
紅海におけるフーシ派の攻撃は、昨年11月から12月にかけて6倍に増加した。脅威が大幅に拡大したことから、大手海運会社などはこの海域での航行を中止。保険料は12月上旬から10倍に上昇している。
国際海運会議所によると、現在、世界のコンテナ船の20%が紅海を避け、アフリカ南端を回るはるかに長い航路を使っているという。
<解説> 次はどうなるのか――フランク・ガードナー安全保障担当編集委員
紅海での今後の展開は、楽観的なものから壊滅的なものまで、あらゆるシナリオが考えられる。
最善のシナリオ: 誰もが落ち着き、フーシ派も考え直し、商船攻撃を中止する。これは、ほとんどあり得ない。12日に首都で開かれた集会の規模を見ても、フーシ派が地元で支持されているのは明らかで、すでに報復を誓う強気の警告を発している。
最悪のシナリオ:フーシ派は商船攻撃を続け、さらに米英資産を攻撃するという約束を実行に移し、軍艦をミサイルで直撃する。
フーシ派は、サウジアラビア空軍による激しい空爆を長年受けながらも、これに抵抗し続けてきた軍事組織だ。イランの支援を受けていることもあり、ますますイエメンを強固に統制している。自分たちは無敵だとフーシ派は考えている。彼らは確かに忍耐強く、大量の武器の備蓄を山間のトンネルに隠している。
アメリカが紅海で主導する連合は今や、危険な転換点を迎えた。サウジアラビアと同じように、決して勝てないが非常に高くつく戦争に引きずり込まれる危険に直面している。









