英石油大手BP、紅海でのタンカー運航を一時停止へ フーシ派の攻撃続く中

Loading of huge oil tanker in a port in Jordan

画像提供, Getty Images

イギリスの石油大手BPは18日、イエメンの武装組織フーシ派による船舶への攻撃が続く紅海でのタンカー運航を停止すると発表した。

紅海ではこのところ、イランが支援するフーシ派がイスラエルへ向かうとみられる船を標的にしている。攻撃が続くなか、多くの海運会社が運航を見合わせている。

BPは、この海域での「悪化が進む安全状況」を批判。「検討を続ける中で(運航の)予防的な一時停止を」継続し、この海域を監視していくと述べた。

BPの発表の後には、アメリカが紅海を航行する船舶を守るために国際的な合同海上作戦を主導すると発表した。

これにはイギリス、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セイシェル、スペインの各国が参加するという。

アメリカのロイド・オースティン国防長官は声明で、「イエメン発の無謀なフーシ派の攻撃が最近エスカレートしていることは、自由な通商の流れを脅かし、罪のない船員を危険にさらし、国際法に違反するものだ」と指摘した。

アナリストらは、他の石油大手がBPの動きに続けば、石油価格が上昇する可能性があるとみている。国際的なベンチマークとなっているブレント石油は18日に2.6%値上がりし、1バレル当たり79ドル近くに達した。

コンサルティング会社「ユーラシア・グループ」に所属するアナリストで歴史家のグレゴリー・ブルー氏は、「現時点では影響の大きさは不透明だ」と述べた。

「しかし、もし海運会社が運航を減らし、この妨害が1~2週間続いた場合、石油価格はさらに上がる可能性がある」

紅海は、石油や液化天然ガス、そして生活用品の取引において、最重要の航行ルートの一つ。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの分析によると、アジアと湾岸諸国から欧州や中東、北アフリカに輸出される商品の15%近くが海運で輸送される。精製油は21.5%が、原油では13%以上が海のルートを通る。

同社のクリス・ロジャース氏は、「最も影響を受けるのは生活用品だろうが、現在の妨害行為は海運のオフピークの時期に当たっている」と説明した。

動画説明, フーシ派の攻撃激化、紅海の海運リスク拡大 燃料価格や流通への影響懸念

海軍会社はすでに紅海を回避

海運会社エヴァーグリーン・ラインは18日、イスラエルの貨物を紅海経由で運ばないと発表した。

BBCが確認した資料によると、同社は「船舶と船員の安全を考慮し、イスラエルの貨物の受け入れを一時的に中断するとともに、当面の間、貨物船に紅海航路の使用を中止するよう指示」した。

フーシ派は、紅海のバブ・エル・マンデブ海峡を通過する船を標的にしている。「嘆きの門」とも呼ばれるこの海峡は幅が32キロメートルで、航行に危険が伴うことで知られる。

フーシ派はパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスへの支持を表明しており、ドローン(無人機)やロケット弾を使って、イスラエルへ向かう外国籍の船舶を攻撃している。

バブ・エル・マンデブ海峡を避けた場合、船舶はアフリカ南部から喜望峰を回る長い航路を使うことになる。日程は10日ほど追加され、さらに数百万ドルの追加費用がかかる。

ハマスが10月7日にイスラエルを襲撃し、約1200人を殺害して以来、イスラエルはガザ地区で軍事作戦を続けている。ハマスが運営するガザの保健省によると、これまでに1万9400人が殺された。

フーシ派が攻撃した船がすべて、実際にイスラエルに向かっていたかは定かではない。

直近では、貨物船「MTスワン・アトランティック」が18日紅海のイエメン沖で「特定できていない物体」に被弾したと発表。この船を保有するインヴェンター・ケミカル・タンカーズは声明で、「船舶の所有権(ノルウェー)、技術管理(シンガポール)、輸送貨物の物流チェーンのいかなる部分にも、イスラエルとのつながりはない」と説明した。

紅海を避ける代替海運ルートを示した地図

船舶への攻撃はここ数日で激化しており、海運会社はこの海峡での航行を相次いでとりやめている。

アラビア半島のイエメンと、アフリカのジブチやエリトリアを隔てるこの海峡は、重要な航路であるスエズ運河に南側から入るルートでもある。

海運で世界2位のマースクは15日、現在の状況は「懸念すべき」ものだと述べた。同社のコンテナ船「マースク・ジブラルタル」は先に、フーシ派によるミサイル攻撃が「ニアミス」した。また、別の貨物船も攻撃を受けている。

最大手のMSCも、この海域から船舶を遠ざけると発表した。同社の「MSCプラチナムIII」も15日、紅海を通過中に攻撃を受けている。船員にけがはなかったが、船は航行できなくなった。

このほか、仏CMA-CGMや独ハパック・ロイドといった大手海運会社が、紅海航路を避けると発表している。

物流データ企業「ゼネタ」で主任アナリストを務めるピーター・サンド氏は、船舶会社は現在、貨物の遅延を顧客に連絡しているところであり、「このような状況について、間違いなく代償を払うことになる」と付け加えた。

また、業界は保険料の上昇などの影響にも直面するだろうと指摘。一方で、2021年に貨物船「エヴァーギヴン」がスエズ運河で座礁した時に比べれば、新型コロナウイルスのパンデミックによるサプライチェーン問題が緩和されたことで、現在の危機に対処する体制ははるかに整っていると述べた。

英勅許交通・物流協会(CILT)スー・テルピロウスキー氏は、余分な燃料費と時間に加え、戦争リスクの保険料が「指数関数的」に上昇しており、顧客も価格上昇に直面していると指摘した。