国連、ガザでの「即時停戦」求める決議案採択 イスラエルは「無差別攻撃」で支持失いつつあると米大統領

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国連総会は12日、緊急特別会合を開き、パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘の「人道的な即時停戦」を求める決議案を賛成多数で採択した。アメリカは反対票を投じたが、ジョー・バイデン米大統領は同日、イスラエルはガザ地区に対する「無差別攻撃」によって国際社会の支持を失いつつあると苦言を呈した。ガザではこの日も、南部ハンユニスやラファでイスラエル軍の攻撃が続いた。
国連総会の「人道的な即時停戦」を求める決議案の採決では、日本を含む153カ国が賛成。アメリカやイスラエル、パラグアイ、オーストリアなど10カ国が反対、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、ウクライナなど23カ国が棄権した。決議に法的拘束力はない。
採決に先立ち、アメリカのリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は、「即時停戦はせいぜい一時的なもので、最悪の場合は危険なものになるだろう。イスラエル人にとっては、容赦ない攻撃にさらされる危険性がある。そして自分たちにとってよりよい未来を築くための機会を得て、ハマスから解放されるに値するパレスチナ人にとっても、危険なものになり得る」と述べた。
パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連大使は、ガザ地区での人道的停戦を求める決議が採択されたことについて、「国連総会から力強いメッセージが送られたという点で歴史的な日」だと述べた。
「パレスチナ人に対するこの侵略に終止符が打たれるまでこの道を歩み続けることは、我々の集団的責任だ」
一方でイスラエルは、停戦は「ハマスのテロによる支配を長引かせる」だけだとしている。
国連総会は10月にも「人道的休戦」を求める決議を採択している。この時は121カ国が賛成、14カ国が反対、44カ国が棄権した。

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停戦はハマスの「テロ支配」長引かせる
イスラエルのギラド・エルダン国連大使は採決に先立ち、「本当の停戦を望むなら、ここに適切な宛先がある。これがガザ地区のハマスのオフィスの電話番号だ」と、電話番号とハマス指導者の顔が載ったポスターを掲げながら各国代表に述べた。
「もしイスラエルの立場だったら、あなた方の国はどうするだろうか? 停戦を呼びかけるのか? ロシア政府ならどうする? 中国政府は? トルコは? あなた方ならどう対応する? ここにいる全員、よくわかっているはずだ」
「武器を手放して投降し、人質を返すようハマスに言ってくれ。そうすれば永遠に続く完全な停戦が実現するというのに! あなた方はなぜそうしないのか? なぜハマスの責任を追及しないのか?」
そして、エルダン大使はこう付け加えた。「停戦はハマスのテロによる支配を長引かせるだけだ。だから私は、すべての国連加盟国に対し、この決議に反対票を投じるよう求める」。

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ハマスは決議を歓迎
先月にガザ地区を離れ、いまはトルコ・イスタンブールで取材するBBCのラシュディ・アブ・アルーフ記者は、ハマス高官のバッセム・ナイム氏が決議の採択について、「パレスチナ人民に対する侵略を止めようという国際的な意志が優勢であることを認めるものだ」と述べたと報告した。
同記者によると、ナイム氏は「この意志を妨害しているのは安全保障理事会で(人道目的の即時停戦を求める決議案の採決に)拒否権を行使したアメリカだ」と主張。
「この拒否権は現在進行中の(イスラエルの)侵略行為に隠れ蓑(みの)を与えるだけでなく、アメリカをパレスチナ人に対する犯罪行為の直接的な協力者にするものだ。シオニスト(イスラエル)の孤立につながり、国際レベルでアメリカをも孤立させることになる」と述べた。
イスラエルは「支持失いつつある」とバイデン氏
アメリカのバイデン大統領は12日、2024年米大統領選に向けたワシントンでの資金調達イベントで、イスラエルはガザ地区への「無差別攻撃」によって国際社会の支持を失い始めていると述べた。
この発言は、イスラエルのリーダーらに対するこれまでで最も強い批判となった。
ハマスが10月7日にイスラエルを奇襲して以降、バイデン氏はイスラエルに対して揺るぎない公的支援を行ってきた。
バイデン氏は、イスラエルはアメリカの支援をあてにできると繰り返す一方で、イスラエル政府に直接警告を発した。
「イスラエルの安全保障はアメリカを頼ることができる。しかし、いまはアメリカ以上に頼るものがある。欧州連合(EU)がいて、ヨーロッパがいて、世界のほとんどの国がいる」
「ところが、イスラエルは無差別攻撃を行うことで、そうした支持を失い始めている」
バイデン氏はまた、「ハマスに抵抗する必要性に疑問の余地はない」とも述べ、イスラエルには抵抗するための「あらゆる権利」があると付け加えた。

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ガザ南部で夜通し空爆
ガザ地区南部ラファは12日にかけて夜通し空爆に見舞われた。
ロケット弾攻撃で娘2人と息子1人が殺害されたという男性は、埋葬の準備をしていた。
この男性は息子オマルさんの遺体を抱きながら、自宅と、周辺のほかの4軒の住宅が夜通し攻撃を受けたと、ロイター通信に語った。
ハマスが運営するガザ地区の保健省は、イスラエル国防軍(IDF)の空爆でこの夜、子供を含む22人が殺害されたとした。

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世界保健機関(WHO)の職員は、ガザ地区でいまも機能している病院は全体の3分の1以下で、それらの病院も部分的にしか機能していないと述べた。ロイター通信が報じた。
WHOパレスチナ自治区代表リチャード・ピーパコーン氏は記者会見で、「わずか66日間で、機能している病院の数が36から、北部の1カ所と南部の10カ所の計11カ所に減り、部分的にしか機能していない」と述べた。
「これ以上医療施設や病院を失うわけにはいかない」
「我々は、そうした事態が起こらないことを願い、懇願している」
ヨルダン川西岸で「対テロ」作戦開始と
IDFは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のジェニンで、「対テロ」作戦を開始したと発表した。
ジェニンではドローン(無人機)による空爆があり、少なくとも4人が殺された。
IDFは、ドローン攻撃を開始し、武器や弾薬、爆発物を押収したとソーシャルメディアに投稿した。また、多数の襲撃者を殺害し、「数十人」を拘束したと付け加えた。
ジェニンで取材するBBCのルーシー・ウィリアムソン記者は、作戦が始まって12時間が経過しても、時折大きな爆発音が聞こえ、ジェニン難民ジャンプなどから煙が上っていると報告している。
街の上空ではドローンの音が絶え間なく響いているという。

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イスラエル、人質19人の死亡確認か
イスラエルが、いまもガザ地区で拘束されている人質135人のうち19人の死亡を確認したと、ロイター通信が報じた。
イスラエルは先に、IDFが人質2人の遺体を収容したと発表していた。
遺体は、10月7日にイスラエル南部の音楽フェスティバル会場から連れ去られたエデン・ゼカリヤさん(27)と、IDFがすでに死亡を発表していたジブ・ダドさん(36)だという。
IDFは声明で、このことを2人の家族にすでに報告していると説明。「IDFは遺族に心からの哀悼の意を表し、今後も支援を続ける」とした。
「行方不明者の居場所を突き止め、人質全員を連れ戻すことが、我々の国家的使命だ。人質全員を連れ戻すため、治安当局と連携し、あらゆる情報と作戦手段を行使する」

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