西側諸国、ウクライナに供給する弾薬が不足 NATOと英高官が警告

ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員(ワルシャワ)

A Ukrainian soldier fires a cannon near Bakhmut, eastern Ukraine. File photo

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イギリスと北大西洋条約機構(NATO)の当局者は3日、ロシアの侵攻から自国を防衛しているウクライナに供給する弾薬が、西側諸国内で不足していると警告した。

NATOのロブ・バウアー軍事委員長はワルシャワ安全保障フォーラムで、「弾薬箱の底が見えてきた」と述べた。

また、各国政府や防衛機器メーカーについて、「もっと速いテンポで生産を拡大」しなくてはならないとした。

ウクライナが毎日何千発も撃っている弾薬の大半は、NATOが供給している。

バウアー氏は、数十年にわたる軍備への過少投資の結果、NATO諸国は弾薬庫の備蓄が半分かそれ以下の状態で、ウクライナに武器を供給し始めたと指摘した。

「大量に必要だ。我々が自由主義経済圏で30年間築き上げてきたジャスト・イン・タイム、ジャスト・イナフ(必要な時に必要なだけ提供する)経済は、多くのことに適している。しかし、戦時中の軍には適していない」

イギリスのジェイムズ・ヒーピー閣外相(国防)も同じフォーラムで、西側の軍事備蓄は「少し手薄に見える」と発言。NATO同盟国に対し、約束通り国内総生産(GDP)の2%を防衛費に充てるよう求めた。

「欧州で戦争が起きている今が、防衛に2%を振り向ける時期でないとしたら、いったいいつなのか」と、ヒーピー氏は問いかけた。

「戦いをやめるわけにはいかない」

ヒーピー氏はまた、ジャスト・イン・タイム方式は「明日の戦いに備える必要があるときには、間違いなく機能しない」と述べた。

「備蓄が少なくなったからといって、やめるわけにはいかない」

「ウクライナには今日も明日も、その先も戦い続けてもらう必要がある。我々が止まっても、プーチンが自動的に止まるわけではない」

その上で、「(供給を)昼夜を問わずに続け、我々自身の備蓄を再構築する」と述べた。

「同盟国の誰もがまだGDPの2%を防衛費に費やしていないが、そのことからみなが目を背けている。これは防衛費の上限ではなく、下限でなければならない」

「同盟に関して言えば、アメリカはますます東と西に目を向けており、米連邦議会の議員らは、欧州の大国がNATOの資源確保のために2%を公平に費やしていることを正当に評価する必要があると思う」

Ukrainian Foreign Minister Dmytro Kuleba (left) and EU top diplomat Josep Barrell in Kyiv, Ukraine. Photo: 2 October 2023

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画像説明, 2日には、ウクライナの首都キーウでEU外相会議が開かれた。写真はウクライナのドミトロ・クレバ外相(左)と欧州委員会のジョセップ・ボレル副委員長

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スウェーデンのポル・ヨンソン国防相は、ウクライナへの長期的な支援に向け、欧州各国が防衛産業基盤を整えることが重要だと指摘。「なぜなら我々は今、自分たちのポケットや在庫をかなり深いところまで探っている状態だからだ」と述べた。

「長期的に見れば、ウクライナ人が欧州の産業基盤から防衛資材を調達できるようにすることは極めて重要だと思う。我々はここで、特に大砲の弾薬に関して、規模と量に関するいくつかの厳しい教訓を学んだ」

英国防省によると、昨年2月のロシアによる侵攻開始以来、イギリスはウクライナに30万発の弾薬を供給しており、年末までに「さらに数万発」の供給を約束している。

アメリカ国務省も、同じ期間にNATO標準の口径155ミリ砲弾を200万発供給したと述べている。

ウクライナのアメリカ製弾薬に対する依存度が高いことから、NATO同盟国の間では、ドナルド・トランプ氏が来年の米大統領で再選する可能性が懸念されている。

トランプ氏がロシア政府と何らかの政治的合意を求めた場合、アメリカのウクライナに対する軍事支援がなくなってしまう恐れがあるという。

生産量を増やそうとしても、ウクライナは西側諸国が弾薬を交換するよりも早く弾薬を使用してしまうことが状況を難しくしている。

NATOとEU諸国は、専門知識を共有し、防衛機器メーカーと共同契約を結び、生産にできる限りの補助金を出すなど、さまざまな計画に合意している。

しかし、その必要性を満たすのにまだ苦労しているようだ。

アナリストによれば、これとは対照的に、ロシアは自国の備蓄を補充するための戦時経済の強化がはるかにやりやすいようだ。