EU外相会議をキーウで開催 EUに支援疲れはないとロシアへメッセージ

Ukrainian Foreign Minister Dmytro Kuleba (L) and EU High Representative for Foreign Affairs and Security Policy Josep Borrell (R)

画像提供, EPA-EFE/REX/Shutterstock

画像説明, 欧州委員会のジョセップ・ボレル副委員長(右)とウクライナのドミトロ・クレバ外相(2日、キーウ)

欧州連合(EU)外相会議が2日、ウクライナの首都キーウで開催された。外相らはロシアに対し、ウクライナをめぐる欧州の「支援疲れ」を当てにしないよう警告した。

外相会議がEU域外で行われるのは今回が初めて。ウクライナは加盟国ではないが、かねて加盟を打診している。

一方この前日にはアメリカで、連邦政府の閉鎖を回避する「つなぎ予算案」が可決・成立したが、ウクライナへの追加援助は盛り込まれなかった。

欧州委員会のジョセップ・ボレル副委員長は、ウクライナで進行中の戦争を「存亡に関わる危機」と呼んだ。

「もしかしたら世界中の全員がこう認識しているわけではないかもしれないが、我々ヨーロッパ人にとっては、繰り返し言わせてもらうが、これは存亡に関わる危機だ」

「だからこそ、我々はあなたたちを支援し続けなくてはならない」と、ボレル氏はウクライナ国民に向けて述べた。「そして我々は、同盟相手のアメリカや友人たちに、あなたたちへの支援を続けるよう、協議しなくてはならない」

EUはすでにウクライナに対し、700億ユーロ(約11兆円)相当の軍事・民間支援を決定しており、向こう数年にわたって提供される。

ボレル副委員長はまた、EUが軍事支援で目指すのは「持続可能性と予測可能性」だと説明。加盟国が引き続き、ウクライナ支援とロシア制裁を採択し続けている事実を強調した。

フランスのカトリーヌ・コロナ外相は今回の会談について、「ウクライナが勝つまで、私たちは断固たる支援を続ける。(会談は)そのことを示す場だ」と述べた。

「加えて、私たちが支援に疲れてしまうなど、ロシアはそんなことを当てにしない方がよいと、そういうメッセージでもある。私たちは今後、長いこと、ここにとどまる」

ドイツのアナレナ・ベアボック外相は記者団に対し、送電網への攻撃からウクライナを守る戦略が必要だと訴えた。昨年の冬はこうした攻撃により、数百万人が暖房のない生活を強いられた。

「ウクライナには、防空システム、発電機、エネルギー供給の強化といった防寒計画が必要だ」とベアボック氏は述べた。

<関連記事>

ウクライナのロシアの侵攻に対する反転攻勢では、いくつかの進展があった。南部ザポリッジャ州では、ロシアの防衛線を大きく破っている。

また、ロシアがウクライナ南部の防衛強化のために精鋭部隊の一部を東部バフムート周辺から移動させたことで、バフムート周辺でもウクライナが進軍している。

しかし、地上での進展は全体的に予想よりも遅れている。ウクライナはこれまで軍事的進展を政治的通貨として利用できたが、現在はこれまで以上に外交を活用しなければならない状態にある。

バイデン米大統領は支援を約束、EU内の亀裂も

アメリカ連邦議会が9月30日に可決したつなぎ予算には、60億ドル相当のウクライナ向け軍事支援が盛り込まれなかった。

バイデン政権はロシアの全面侵攻開始以来、460億ドル相当の軍事支援をウクライナに行っている。バイデン大統領はつなぎ予算の可決を受け、ウクライナはアメリカの支援を「あてにできる」と述べた。

ロシア政府は、欧州とアメリカの双方で戦争疲れが高まると考えている。ただし、この戦争へのアメリカの直接関与は続くともみている。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は1日の会議で、アメリカのつなぎ予算について、ウクライナ支持の減退を示すものではなく、単発的な「できごと」だと受け止めていると述べた。

アメリカでは野党・共和党の強硬派議員が、ウクライナへの軍事支援追加に反対し、ウクライナでの戦争に対するバイデン大統領の姿勢にも公然と反対している。

クレバ外相は、「我々は今、米連邦議会の両陣営と協力し、どのような状況でも二度と同じことが繰り返されないように努めている」と述べた。

「なので、アメリカの支援が打ち砕かれたとは感じていない」

一方で、EU内にも亀裂がみられる。特に、ウクライナと最も多くの問題を抱えているポーランドとハンガリーは今回、キーウに外相を送らず、代わりに州レベルの高官が出席した。

先週末には、EU加盟国の中欧スロヴァキアで、親ロ派政党が総選挙に勝利した。

道標・社会民主主義(SMER-SSD)を率いるロベルト・フィツォ元首相率いるフィツォ氏は今後、連立交渉に入る見込み。同氏は、ウクライナへの軍事支援を直ちに停止しすると公約していた。

クレバ氏はスロヴァキア総選挙について、その結果がウクライナに与える影響を判断するのは「時期尚早」だと述べた。

こうしたEU内の政治的な動きは、加盟国内で完全な統一を図ることは容易でないことを意味している。