大英博物館、盗難品は約2000点 一部は回収済み=理事長

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大英博物館のジョージ・オズボーン理事長は26日、同博物館からの盗難品は約2000点に上るとの見方を示した。一方で、その一部は回収が始まっていると述べた。
元財務相のオズボーン氏は、博物館の評判が傷ついたことを認めたものの、「この混乱を我々は解消していく」と話した。
骨董品の盗難に詳しい専門家はBBCの対し、博物館から失われた収蔵品の数は「衝撃的だ」と語った。
これまでに、盗難に関与した疑いのある職員1人が解雇されている。
25日には、ハルトヴィヒ・フィッシャー館長が辞任を表明。最初に盗難の報告があった2021年時点での調査に誤りがあったことを認めた。
大英博物館は、イギリスで最も権威のある文化施設の一つ。今月16日に収蔵品が「紛失、盗難、または損傷」されたことを明かして以来、プレッシャーにさらされている。
失われた収蔵品は紀元前15世紀から紀元19世紀のもの。最近展示されたものはなく、主に学術・研究目的で保管されていたという。
目録化されていない収蔵品も
オズボーン理事長はBBCラジオ4の番組に出演し、「我々は長期間にわたり、盗難被害に遭い続けていた。正直なところ、盗難を防ぐために、もっとできることがあったはずだと考えている」と述べた。
盗難品は今どこにあるのかという質問には、「古美術品コミュニティーのメンバーが積極的に協力してくれている」と話し、回収が「暗雲に希望の光」をもたらしていると語った。
その上で、「正直者」は盗まれた品物を返してくれると確信しているが、「そうでない人たちもいる」ことも認めるとした。
1753年の創立以来、大英博物館のコレクションは約800万点に上る。しかし2019年以降は約8万点しか公開されておらず、残りは保管状態にある。
オズボーン氏は、すべての品物が「適切に目録化され、登録されている」わけではなく、「何が未登録か知っていれば、何を持ち出すか選ぶにあたって、とても有利だ」として、そういう人物が関与していた可能性を示唆した。
また、博物館は警察と緊密に協力しているとともに、失われた収蔵品を特定するための「法医学的調査」を行っているとした。
「今回の件が大英博物館の評判を傷つけたことは確かで、明らかだ。なので私は博物館の代表として謝罪している」と、オズボーン氏は述べた。
この盗難をめぐり、これまでに男性1人が事情聴取されたが、逮捕者は出ていない。
「現代史上最悪の盗難」
今回、最初に盗難の可能性が指摘されたのは2年前だということが明らかになった。大英博物館の幹部らは、この時の対応について説明に奔走している。
オズボーン氏は、2021年2月に盗難の懸念が初めて出た時点で「できることがもっとあったはずだ」と述べた。
なぜ懸念を真剣に受け止めなかったのかという質問に対し、オズボーン氏は、博物館幹部らが事実を「隠蔽(いんぺい)」したとは思っていないと述べた。しかし、美術品を盗む人物が「博物館内部にいるはずがない」という「集団思考」があった「可能性」はあるとした。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)で古美術品の違法取引専門グループを主導する、法医学考古学者クリストス・ツィロギアニス氏は、これは現代史上最悪の盗難事件だと話した。
「私が知る限り、博物館、特にこのような規模の博物館からの盗難としては、間違いなく最大のものだ」と、ツィロギアニス氏はBBCニュースに語った。
「どの博物館にとっても膨大な量だが、大英博物館で起きたということは、さらに悪い事態だ」
ツィロギアニス氏は大英博物館に対し、失われた収蔵品のリストを直ちに公開することで、専門家らの支援をあおぐべきだと述べた。
「確認を始めるための証拠を何も持っていない。盗難品のリストを公表しない限り、助けになるはずの専門家の手を縛っているようなものだ。私も助けたい気持ちはあるが、この状態ではできない」
オズボーン理事長はBBCに対し、博物館は警察と緊密に協力していると説明。警察は、盗難品を国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)に登録できる「唯一の人々」だと述べた。また、盗まれた美術品のデータベース「アート・ロス・レジスター」とも協力していると明らかにした。
英オックスフォード大学ピット・リヴァーズ博物館のダン・ヒックス教授は、英紙ガーディアンで大英博物館の収蔵品の記録状態を批判。盗難は「いずれ起こるべき惨事」だったと述べた。
オズボーン氏は、博物館内の全ての品物が公式に記録されていなかったと認めている。
ただし、大規模な博物館では全収蔵品を完全に目録化していないことは「特別なことではない」と主張。「この作業においては、大英博物館は他より先を行っていた」と述べた。
これについてツィロギアニス氏は、コレクションの記録は「博物館の重要な責任」だと指摘。大英博物館が「収蔵品の記録ではなく、豪華なカタログやイベントに資金を投入するという意図的な選択」をしたと批判した。









