指揮者・作曲家バーンスタインさんの伝記映画、米俳優クーパーさんの鼻が議論に
スティーヴン・マッキントッシュ、エイターテインメント記者

画像提供, Getty Images
世界的な指揮者で作曲家だったレナード・バーンスタインさんの伝記映画で、主演俳優ブラッドリー・クーパーさんの外見が議論になっている。バーンスタインさんの遺族は、クーパーさんの判断を支持すると表明した。
バーンスタインさんを描く伝記映画「マエストロ」の予告編が15日、公開された。クーパーさんが主演と監督を務める。
予告編を見た人たちの間で、クーパーさんの鼻の大きさについて批判の声が上がった。ソーシャルメディアでは、ユダヤ系に対する侮蔑的なステレオタイプに迎合するものだという意見も出ている。
しかしこれに対して、バーンスタインさんの遺族は、クーパーさんが自分の外見を「補強」するためにメイクアップを使うことは「まったくなんの問題もない」とコメントした。
「ウエストサイド物語」などの作曲者として知られるバーンスタインさんを演じるのが、ユダヤ系の俳優でないことも、一部で批判されている。
バーンスタインさんの子供たち、ジェイミー、アレクサンダー、ニーナさんはオンラインに声明を発表し、「(クーパーさんの)努力が事実を曲げて伝えられたり、誤解されたりするのを見るのは、とても悲しい」と書いた。
「レナード・バーンスタインは素敵な大きい鼻の持ち主だった。それは実際、本当のことです。ブラッドリーはメイクアップを使って自分の外見を補強することにしたし、私たちにはそれでまったくなんの問題もありません。私たちの父親も同じ意見だったに違いないと、私たちは確信しています」と、遺族は続けた。

「この件について声高に不平不満を口にするのは、私たちからすると何より、成功している人を攻撃して評判を少し落としてやろうという、不誠実なまねに思えます。私たちの父親が同じような扱いを受けるのを、私たちはあまりに何度も見てきました」
「この映画を作っている間ずっと、レナード・バーンスタインとその妻、つまり私たちの母フェリシアを描くにあたり、ブラッドリーが作品に注ぎ込んだ多大な尊敬と、そして、そう、愛情を、私たちは感じることができました。ブラッドリーとこの経験ができて、私たちは幸運だと思っていますし、彼のこの作品を世界が見るのが待ちきれません」
バーンスタインさんの遺族はさらに、「私たちの父親について映画を作るにあたって、(クーパーさんは)その素晴らしい旅路の一歩一歩に、私たち3人を参加させてくれた」のだとも書いた。
「彼の深い献身、私たちの父親の音楽を愛して抱きとめてくれたこと、ひたすら心を開いて純粋に喜びながら、彼がこの作品作りを探検している様子を目にすることができて、私たちは本当に深いところで感動しました」とも遺族は語っている。
他方、バーンスタインさんに扮したクーパーさんの姿が昨年5月に公表された際、業界紙ハリウッド・リポーターの映画評論家、ダニエル・ファインバーグさんは、クーパーさんの外見が「問題」になり得ると書き、この映画には「人種コスプレ」がたくさん使われていると批判した。
イギリス出身でユダヤ系の俳優、トレイシー=アン・オーバーマンさんは、クーパーさんが付け鼻を使ったように見えることを、ブラックフェイス(黒人以外が化粧などで黒人の外見などを誇張して真似ること。侮蔑的な人種差別だと批判される)にたとえて批判した。
「ブラッドリー・クーパーが演技力だけでできないなら、彼をキャスティングしなければいい。ユダヤ人の俳優を使えばいい」と、オーバーマンさんはインスタグラムに書いた。
ユダヤ人差別と闘う団体の広報担当、ビンヨミン・ギルバートさんは、「ユダヤ人ではない俳優がユダヤ人を演じるにあたって、その俳優に大きな鼻をくっつけるのはいかがなものか、誰も立ち止まって考えなかったことに、びっくりする」と話した。
「なぜこれが問題なのか自分たちは理解していると、映画の製作者たちは明らかにする必要がある。それをしなければ、スクリーンでユダヤ人を演じる際に二重基準があると示すことになる」
「マエストロ」は9月にヴェネツィア映画祭で上映された後、12月にネットフリックスで配信される。
近く公開予定の映画「ゴルダ」も、同様の批判を受けている。
イギリス出身のデイム・ヘレン・ミレンが、イスラエルの故ゴルダ・メイア元首相を演じる伝記映画は、8月下旬にアメリカで一般公開の予定。
ユダヤ系のイギリス人俳優、デイム・モリーン・リップマンは昨年、ロンドン拠点の新聞「ジューイッシュ・クロニクル」に対して、ミレンさんのキャスティングに「反対」だと発言。ゴルダ・メイア元首相を演じるにあたっては「ユダヤ人だという部分が、その役柄においてあまりに核心的だから」だと話した。
(追加取材: クリス・クーニー)











