ツイッター、ラッパーのカニエ・ウェスト氏のアカウント凍結 「暴力を扇動」と

Kanye West

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米ラッパーのカニエ・ウェスト氏のツイッターアカウントが2日、凍結された。攻撃的な投稿で「暴力を扇動した」ためとされている。ウェスト氏は2カ月前にも、ツイッターアカウントを凍結されていた。

現在は「Ye(イエ)」という名義で活動しているウェスト氏は、突飛で不安定な内容のツイートを繰り返す中で、ナチスのシンボルだった「鉤(かぎ)十字」とユダヤ教のシンボル「ダビデの星」を組み合わせたマークを投稿した。

10月にツイッターを買収した米富豪イーロン・マスク氏は、ユーザーの1人から「カニエをどうにかしてくれ」と頼まれたという。これに対しマスク氏は、「アカウントを凍結する」とツイートしていた。

1日には、ウェスト氏はアメリカの陰謀論者アレックス・ジョーンズ氏のインタビュー番組に顔をマスクで覆って登場。アドルフ・ヒトラーを称賛したり、罪やポルノグラフィティー、悪魔などについてわめき散らしたりした。

イギリスのホロコースト教育基金は、ウェスト氏の発言は「おぞましく吐き気がするものだ」と述べた。

「ウェスト氏は有名で、支持者やSNSフォロワーが大勢いる。そのような人物がこうした発言を重ねれば、危険な結果をもたらす」と、同団体のキャレン・ポロック会長は指摘した。

反ユダヤ主義と人種差別的な発言相次ぐ

ウェスト氏は最近、反ユダヤ的、人種差別的な発言で物議をかもしていた。独スポーツ用品大手アディダスは10月、ウェスト氏との契約を解消した。

ウェスト氏は10月、反ユダヤ主義のメッセージを投稿したとして、ツイッターとインスタグラムのアカウントを停止されていた。発言は、ラッパーのディディ氏がユダヤ人にコントロールされているという内容だった。両プラットフォームとも、ヘイトスピーチに関するポリシー違反だとして、この投稿を削除している。

ウェスト氏は、パリ・ファッション・ウィークに開いた自らのブランドのショーで、「White Lives Matter(白人の命は大事)」と書かれたTシャツを着用。これに対する批判への反応として、この発言があったという。

「White Lives Matter」は、2020年のジョージ・フロイドさん死亡事件をきっかけに始まった「Black Lives Matter(BLM、黒人の命は大事)」運動に対抗する言葉として、白人至上主義者や極右団体などが使用している。

アメリカのユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」は、この言葉の使用は「ヘイトスピーチ」に当たると批判した。

Kanye West at Milk Studios on June 28, 2016 in Hollywood, California. adidas and Kanye West announce the future of their partnership: adidas + KANYE WEST

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画像説明, 反ユダヤ的、人種差別的な発言を受け、独スポーツ用品大手アディダスは、ウェスト氏との契約を解消した

ウェスト氏は今年3月にも、南アフリカ出身のコメディアン、トレヴァー・ノア氏に人種差別的な蔑称を使い、インスタグラムのアカウントを24時間凍結されている。

2018年には、数世紀にわたるアフリカ系アメリカ人の奴隷化は「選択」だったかもしれないと主張。これに歌手のウィル・アイ・アム氏が反発する騒ぎがあった。この発言について、ウェスト氏は後に弁解を試みている。

今回のツイッターによるアカウント凍結の数時間前には、主流SNSに代わる「言論の自由」の場を自称する右派SNS「パーラー」が、ウェスト氏による買収を受け入れないと発表したばかりだった。

パーラーを運営するパーラメント・テクノロジーズは声明で、「イエ氏と、売却に関する基本合意を取り消すことで合意した」と述べた。

小規模だが保守派や極右に人気のパーラーは、この決定は11月半ばにされたものだと説明している。

マスク氏はツイッターを買収して以来、物議をかもしたアカウントを復活させるなど、さまざまな変更を実施している。

マスク氏は、ウェスト氏の以前のアカウント復活に自分は関与していないと表明。ツイッターを取得する前に復活されていたと述べた。

ウエスト氏は数年前に双極性障害と診断され、メンタルヘルス(心の健康)について公の場で語ってきた。

しかし、医学専門家やウェスト氏と同じ病状にある人々は、メンタルヘルス上の問題が反ユダヤ主義と密接に関係しているわけではないと警告している。