トランプ前大統領は「選挙に負けたと十分わかっていた」=元司法長官

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ドナルド・トランプ前米大統領に司法長官として仕え、現在は批判に転じているビル・バー氏が2日、前大統領は2020年大統領選に負けたことを「十分にわかっていた」と米CNNに出演中に述べた。前大統領の弁護団は、前大統領が「大統領選に勝ったのは自分だとずっと信じていた」ことを、弁護の柱の一つにしている。
トランプ前大統領を担当するジョン・ローロ弁護士は、前大統領への起訴は、憲法修正第1条が保障する表現の自由への攻撃だと反発している。
しかし、バー元司法長官は、弁護団が表現の自由を主張するのは見当違いだとCNNで指摘した。バー氏は、2020年11月にジョー・バイデン氏が大統領選に勝利した翌月に、トランプ政権の司法長官を辞任した。
「(司法省は)彼の憲法修正第1条の権利を攻撃しているわけではない。彼はなんでも言いたいことが言える。うそをつくこともさえできる。そうじゃないと自分でもわかっているのに、『選挙が盗まれた』と周りに言うことだってできる」
「だからといって、共謀に加担した行為は権利保護の対象にならない」と、元司法長官は述べた。
バー氏はCNNに対して、「自分が選挙に負けたと、彼は十分わかっていた」と確信するようになったと話した。
弁護団は、表現の自由の主張に加え、「前大統領は常に自分が選挙に勝ったと信じ続けてきたため、アメリカ国民をだまそうとしたわけではない」という主張を、弁護の柱の一つにしている。
だが、「トランプ前大統領は自分が負けたとわかっていた」という元司法長官の発言は、弁護団の主張と矛盾することになる。
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バー氏はさらに、大陪審の起訴状がトランプ前大統領による犯罪行為として示す内容は、「胸が悪くなる」ほど「おぞましい」ものだとCNNで述べた。
被告人は選挙で敗れたことを承知=起訴状
連邦議会襲撃事件に関してワシントン(コロンビア特別区)の大陪審が連邦地裁に提出した起訴状で、前大統領は以下の四つの罪で起訴された。
- アメリカを欺くための共謀
- 公的な手続きを妨害するための共謀
- 公的な手続きの妨害
- 市民の権利を妨げるための共謀
起訴状は冒頭で、「被告人ドナルド・J・トランプは(中略)2020年大統領選挙で敗れた。敗れた上でなお、被告人は権力の座にとどまるつもりでいた」と指摘。そのために、前大統領が「うそと詐欺と虚偽を通じて、連邦政府の機能を妨げ、妨害し、無力にするため共謀した」としている。

起訴状はさらにトランプ前大統領が、自分が選挙で敗れたことを承知し、かつ副大統領や司法省幹部、国家情報長官、国土安全保障省など、正確な情報を得ているはずの自分の政権幹部から再三にわたり不正はなかったと説明されているにもかかわらず、事実を意図的に無視したうえで、「選挙は不正だった」という自分の虚偽の主張を何カ月にもわたり広め続け、複数の州政府幹部に圧力をかけ続けたとしている。
起訴状は、前大統領と共謀者たちが、選挙結果を覆そうとする犯罪的なたくらみについて、2020年11月3日の選挙から間もなく着手したともしている。
起訴状は、前大統領が2021年1月6日の議会襲撃を扇動したとしているわけではない。しかし、前大統領への捜査と起訴を主導する司法省のジャック・スミス特別検察官は、議会襲撃事件を「米民主主義の中枢に対する前例のない襲撃だった」と説明。「起訴状に書かれているとおり、うそを燃料としていた」と述べた。

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前大統領は3日、首都ワシントンの連邦地裁に出廷し、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして連邦法違反の罪で起訴された内容について、無罪を主張した。前大統領はその後、ワシントン近郊の空港で記者団に対し、自分が起訴されたのは「政敵への迫害」に相当すると述べた。
ペンス前副大統領「義務を果たした」
45ページに及ぶ起訴状に、マイク・ペンス前副大統領の名前は100回以上、登場する。
アメリカでは副大統領が連邦議会の上院議長を兼務する。大統領選の結果を認定する議会手続きを、2021年1月6日にペンス氏が上院議長として采配していた。
選挙結果認定の議会手続きにおいて、副大統領(上院議長)の役割はあくまでも儀礼的なものだが、トランプ前大統領とその側近たちは、法律上の手続きを曲げ、バイデン氏当選の結果を否定するよう、ペンス氏に圧力をかけ続けていたと起訴状は指摘する。
議会襲撃当時、暴徒たちがペンス氏を捕らえて危害を加えようとしていた様子は、現場の映像で記録されている。
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起訴状の開示を受けてペンス氏は2日、選挙結果を覆すよう圧力をかけられても屈しなかった自分は、「義務を果たした」のだとコメントした。
「残念ながら、大統領が聞きたがっていることばかり何度も繰り返す、頭のおかしい弁護士たちに、大統領は囲まれていた」、「その結果として大統領は、憲法よりも自分を選ぶよう、私に要求し続けた」のだと、ペンス前副大統領は述べた。
ペンス氏は、2020年大統領選から議会襲撃に至った当時、トランプ前大統領と重ねた会話の記録を残していた。今回の起訴状は、ペンス氏によるその当時の記録が一部、根拠となっている。
トランプ前大統領は2024年11月の大統領選で再選を目指しており、現時点で共和党の候補指名獲得レースで圧倒的なリードを維持している。
共和党の議員団はトランプ前大統領を擁護し続け、今回の起訴についても「選挙妨害」だという前大統領の主張を同じように繰り返している。

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