ウクライナ産農産物の輸出協定、 ロシア延長せず失効

画像提供, Reuters
ウクライナ産の穀物を黒海経由で輸出する国際協定は、トルコ時間18日午前0時(日本時間同午前6時)、ロシアが延長しなかったため、失効した。西側諸国は、ウクライナの穀物が届かなければ世界で最も貧しい人々にとって打撃となると批判している。
ロシア政府は同日、国連とトルコ、ウクライナに対して、延長反対を通知。西側諸国が協定上の取り決めを履行していないことを理由として、西側が要求に応じれば協定に復帰する可能性を示した。
ロシアはこれまで、協定にもとづき、黒海に面するウクライナの支配地域にあるオデーサ、チョルノモルスク、ユージネ・ピヴデンニの港からの穀物出荷を認めていた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はかねて、ロシア産の食料や肥料も輸出品に含めるという協定内容が順守されていないと不満をあらわにしていた。さらに、ウクライナ産の穀物は貧しい国に運ぶという協定の条件も守られていないと主張していた。
ロシア政府はさらに、西側の制裁がロシア産食料の輸出を制限していると主張。プーチン氏は、協定離脱を再三警告していた。
ロシアの外務省は17日にも従来の不満を繰り返し、西側諸国が人道的目的よりも自分たちの商業的利益を「利己的」に優先し、協定を堂々と反故(ほご)にしたと批判した。
これについて、協定を仲介したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は記者団に、プーチン氏は「協定の継続を希望している」と説明。来月に直接会談する際に、合意の再開を協議するつもりだと話した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナとしては引き続き穀物の輸出を続けるつもりだと表明。「黒海穀物イニシアチブ」は、ウクライナとロシアがそれぞれ個別に署名した同内容の別々の文書に基づくもので、ロシアとウクライナが互いに同じ文書に署名したわけではないため、ロシア抜きでも輸出継続は可能だと強調した。
「我々は恐れていない」とゼレンスキー氏は述べ、「自前の船舶を持つ企業から申し出があり、ウクライナが受け入れに、そしてトルコが通過に合意するなら、引き続けウクライナの穀物を運ぶつもりだと言われた」と話した。
ゼレンスキー氏の側近、ミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ウクライナの穀物を運ぶ貨物船を護衛する国際的な武装護衛船団の結成を提案した。ただし、それに賛成しない国もいるだろうと、ポドリャク氏は認めた。
ウクライナ穀物協会のニコライ・ゴルバチョフ会長はBBCに、加盟各社はドナウ川の港経由で穀物を運び出す代替手段を見つけたと話した。ただし、運び出せる量は減り、費用は増えるため、黒海経由に比べると効率的ではないと認めた。
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ウクライナは世界有数のヒマワリ、トウモロコシ、小麦、大麦の輸出国。2022年2月の侵攻開始と共にロシアは黒海沿いのウクライナの港を封鎖したため、2000万トンの穀物がウクライナ国内に滞留した。ロシアの海上封鎖の影響で、世界的な食料価格は急騰。ウクライナの穀物に大きく依存する中東やアフリカの一部諸国への供給が滞った。
国連とトルコの仲介を経て、昨年7月に「黒海穀物イニシアチブ」が合意に至り、昨年8月からウクライナの穀物輸出が再開していた。


国際社会がロシア批判
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ロシアの対応を「冷笑的」と批判。アメリカのリンダ・トマス・グリーンフィールド国連大使は「残酷な行為」だと批判した。
ヌゴジ・オコンジョイウェア世界貿易機関(WTO)事務局長は、食料、飼料、肥料を運ぶ黒海経由の貿易は、「世界の食料価格安定に不可欠」なものだとして、ロシアが協定にとどまる望みを消してはならないと述べた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ロシアの決定に「否応なしに」続く「人間の苦しみの拡大」を解決するため、国連として解決方法を探し続けると述べた。
「飢えて苦しむ世界が抱える危険は大きすぎる」と、事務総長は強調した。
ロシア政府が黒海穀物イニシアチブから離脱すると発表した数時間前には、ウクライナ南部でロシア支配下にあるクリミア半島とロシアを結ぶケルチ橋で爆発があった。ロシアによると、ロシア人2人が死亡した。
ウクライナは公式には責任を認めていないが、ウクライナ治安関係筋はBBCロシア語に対して、ウクライナによるものだと認めた。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリ・ペスコフ報道官は、穀物出荷協定離脱とケルチ橋の爆発に関係はないと述べた。「この攻撃より先に、プーチン大統領は(黒海穀物イニシアチブに関する)方針を発表していた」と、ペスコフ氏は記者団に話した。








