ロシア、方針転換 ウクライナの穀物輸出再開に再び合意

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ロシア政府は2日、ウクライナ産穀物を黒海経由で輸出するための国際合意に、復帰する方針を明らかにした。ロシアは10月30日に、ウクライナによる攻撃があったと主張し、それを理由に合意参加停止を表明していた。
ロシアの国防省は、黒海に設けられた輸送路について、これを軍事攻撃に使わないとウクライナ政府が文書で保証したとして、輸出合意に再び参加すると述べた。
ロシアが合意参加停止を発表した4日後、トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領は演説で、「穀物輸送は、今日正午時点で以前の合意通りに継続される」と述べた。これに先立ち、トルコとロシアの国防相同士が協議していた。
エルドアン大統領の発表から間もなく、ロシアの通信各社がその内容を認める報道を開始。ロシア国防省報道官は国営テレビに、ウクライナの港や人道回廊を「ロシア連邦への軍事攻撃に使用しない」と保証する文書をウクライナ政府から得たため、ロシアは当面その保証で満足したと明らかにした。
協議を仲介した国連のアミール・アブドラ氏は、トルコの貢献をたたえ、ロシアの判断を歓迎した。
他方、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は、ロシアのゆすりや脅しに屈しない姿勢を国際社会が貫けば、何が実現できるか証明したことになると評価した。外相はドイツ紙ヴェルトに、「ロシアはまたしても飢餓を武器に、穀物を武器にしようとした。国際社会はこれに対して態度を明示した。ロシアのうそは信じないと。世界の最も貧しい人たちが、この侵略戦争からこれほどひどく苦しまずに済むように、私たちは船を送り続ける」と述べた。
国連とトルコ、ウクライナは、ロシアが合意参加停止を発表した後も、それまで通り黒海経由の穀物輸出を続けていた。
ロシアは、自分たちが不参加なままで「黒海イニシアチブ」と呼ばれるこの輸出枠組みを使い続けるのは危険だと警告していた。それでも輸送船は運航を続け、10月31日だけでウクライナからの出荷高は過去最高の35万4000トンに達した。
11月19日が期限
ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月以降に黒海を封鎖したことから、穀物輸出大国のウクライナに数百万トンの穀物が滞留した。世界的な食糧価格高騰と食糧危機が懸念される中、国連事務総長とトルコの仲介の下、7月に貨物船の安全航行や検査に関する合意文書が作成され、両国がそれぞれ署名。大きな外交的成功と評価されていた。
合意に基づき、貨物船は安全航行が保証された黒海の人道回廊を通過し、トルコ・イスタンブールの調整センターによる検査を経て、ボスフォラス海峡を通る手はずになっている。
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この合意は11月19日に期限を迎え、延長には当事者の合意が必要となる。
国連によると、8月3日の運用開始から、400回以上の出荷で、計980万トンの穀物や食用油、大豆などが運ばれた。
他方、ロシア政府は10月30日に、ウクライナが食料輸出用に黒海に設けられた人道回廊を利用して、ロシアの艦隊を攻撃したと主張し、合意停止を表明していた。
国連はその夜に人道回廊を航行中の船舶はなかったと主張した。またウクライナ政府は攻撃の実施を認めず、ロシアは輸出合意破棄の口実を探していただけだと批判した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナは合意の取り決めを履行するとして、ロシアが「世界を飢餓で脅している」と非難した。


穀物輸出に関する方針転換の前日には、ロシア政府はウラジーミル・プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と協議し、合意再開の条件として、黒海艦隊への攻撃について徹底調査が必要だと強調したことを明らかにしていた。
ロシア政治に詳しいコメンテーターのタティアナ・スタノヴァヤ氏はツイッターで、ロシア政府は脱出方法がわからないわなにはまったのだと指摘。「ロシア政府は結局、穀物輸出を止められないことが判明した」と書いた。
ロシアの方針転換が発表されると、小麦や大豆、トウモロコシ、菜種の価格は世界的に下落した。31日に上昇した先物価格も反落した。










