NATO、ウクライナ加盟の日程示さず 「条件が満たされれば」
ジェイムズ・ランデイル(ヴィリニュス)、ジェイムズ・グレゴリー(ロンドン)、BBCニュース

画像提供, Reuters
北大西洋条約機構(NATO)は首脳会議初日の11日、ウクライナの加盟について、「加盟国が同意し条件が満たされれば」認めるとするコミュニケ(声明)を発表した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国の加盟が「ばかげているほど」遅れていると批判していた。
NATOはコミュニケで、加盟手続きを迅速に進める必要はあるが、具体的な日程は示さないとした。
ゼレンスキー氏はコミュニケが発表される前に、NATOにはウクライナを招き入れたり加盟国にしたりする「構えはない」ようだとツイッターで述べていた。
ゼレンスキー氏は現在、首脳会議(サミット)が開かれているリトアニアの首都ヴィリニュスに滞在している。
ウクライナ政府は、ロシアと戦争している間のNATO加盟が不可能なことは受け入れている。一方で、戦争が終わり次第、加盟したいと意欲を示している。
ゼレンスキー氏はこの日、加盟に向けた日程について合意がないことについて、「ウクライナのNATO加盟が、ロシアとの交渉において駆け引き材料にされる可能性が残っている。不確実性は弱みだ」とツイートした。
NATOは、ウクライナ加盟の時期と方法を明示していない様子。しかし外交関係者らは、加盟への道筋は明確に示されており、厄介な申請手続きも大幅に短縮されたと強調した。
NATOはこれまでに、ウクライナ軍がNATO軍との「相互運用性」と「政治的統合性」を高めていると認めており、ウクライナの民主主義と安全保障面での改革を支援し続けるとしている。
外交関係者らは、12日に初めて開かれる新たな「ウクライナ・NATO理事会」の創設にも着目すべきだとしている。同理事会ではウクライナも、NATOの全体会合を招集する権利を持つことになる。
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それでもなお、加盟への具体的な日程をNATOが明示しないのは、ウクライナにとっては挫折だ。
NATOがウクライナ加盟の具体的な日程を発表する可能性は、もともとほとんどなかった。それにもかかわらず、その日程がないことは「ばかげている」とゼレンスキー氏はあえて発言した。このことはむしろ、大統領による外交の失敗を強調するだけだった。
NATO加盟国の一部は、ウクライナにほぼ自動的な加盟を認めれば、ロシアが戦争をエスカレートさせたり長引かせたりすることにつながりかねないと懸念している。
今後の焦点は、NATO加盟国がどのような長期安全保障をウクライナに約束するかに移る。
西側がこれまで提示してきた安全保障の約束は、ロシアの2度にわたる侵攻を食い止められなかった。NATO加盟諸国は3度目の約束で今度こそ、ロシアを説得したい考えだ。これ以上の侵攻は犠牲が大き過ぎるとロシアを説得するだけの、協力で明確な安全保障を、西側としてウクライナに約束したいというのが、NATO加盟諸国の意向だ。
ゼレンスキー氏はこの日、ヴィリニュスで群衆を前に演説。「NATOはウクライナに安全を与える。ウクライナはNATOの同盟をより強固なものにする」と訴えた。
他方、スウェーデンのNATO加盟については10日、トルコが反対を取り下げた。トルコは、スウェーデンがクルド人武装勢力を受け入れているとして、数カ月にわたってスウェーデンの加盟申請を阻止していた。
スウェーデンは、4月に加盟したフィンランドに続き、32番目のNATO加盟国となる見通し。両国ともロシアがウクライナに侵攻した後に、NATOに加盟する意向を表明した。
ウクライナへの追加支援
11日の首脳会議では、ウクライナに対するさまざまな軍事支援も発表された。
加盟11カ国は連合を結成し、ルーマニアに8月に設立される施設で、ウクライナのパイロットにアメリカ製のF-16戦闘機の操縦訓練を始めるという。
アメリカは5月、西側同盟国がF-16など新型戦闘機をウクライナに供与することを認めた。ソヴィエト連邦時代の戦闘機を使っているウクライナにとっては、重要な軍備のアップグレードとなる。
ウクライナは西側に対して繰り返し、戦闘機を供与することで、最近開始した反転攻勢を支援してほしいと訴えてきた。
ただし専門家らは、ウクライナのパイロットが西側の戦闘機を操縦できるようになるには時間がかかるとしている。
ロシアもクラスター爆弾に言及
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、アメリカがクラスター爆弾をウクライナに供与すれば、ロシアも「同様の」兵器を使用せざるを得なくなると述べた。ロシアの通信社が伝えた。
クラスター爆弾は、広範囲に小型爆弾をばらまく兵器。民間人への影響を理由に100カ国以上が使用を禁止している。
ショイグ氏は、ロシアも同様のクラスター兵器を保有しているが、これまでは使用を控えてきたとした。
しかし人権団体などによると、ロシアが昨年2月にウクライナを侵攻して以降の17カ月間で、両国とも戦闘においてすでにクラスター爆弾を使用しているという。








