新SNSアプリ「スレッズ」が提供開始、米メタ ツイッターの競合になるのか
クリス・ヴァランス、ジェイムズ・クレイトン、テクノロジー記者、BBCニュース

インスタグラムやフェイスブックを運営する米メタは6日、新しいソーシャルメディア「Threads(スレッズ)」の提供を開始した。同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、スレッズが競合のツイッターをしのぐことを目指していると語った。
専門家は、ツイッターの最近の改変に不満を抱く利用者の多くが、スレッズを使い始める可能性があるとみている。
スレッズでは、最大500文字まで投稿できる。多くの仕様がツイッターと似ているのも特徴だ。
ザッカーバーグCEOはスレッズへの投稿で、このプラットフォームを「フレンドリーに保つことが(中略)最終的には成功の鍵になる」と述べた。
また、このスレッズが「ツイッターより大きくなるか」との質問には、「時間はかかるだろうが、10億人以上が利用する、公共の会話アプリができるはずだ」と答えた。
「ツイッターにはその機会があったが、うまくいっていない。自分たちにはうまくやれると思いたい」
これに対しツイッターを所有する米富豪イーロン・マスク氏は、「痛みを隠すインスタグラムの偽りの幸せに浸るより、ツイッターで見知らぬ人たちから攻撃される方がはるかにましだ」と反応した。
競合サービスからは、スレッズが収集するデータの量を批判する声があがっている。アップストアの情報によると、スレッズは携帯末からユーザーの健康情報、購入履歴、閲覧履歴といった情報を取得する可能性がある。
スレッズは現在、イギリスや日本を含む100カ国以上でダウンロード可能。ただし、欧州連合(EU)では規制上の懸念から配信が開始されていない。
ザッカーバーグ氏によると、配信開始から2時間で200万人が登録した。
「初期バージョン」
メタは、提供している現行アプリを「初期バージョン」と位置づけている。今後追加される機能では、マストドンなど他のSNSサービスのユーザーとのやりとりが可能になるという。
「スレッズのビジョンは、インスタグラムが最も得意とすることを、文字の世界にも広げることだ」と、メタはスレッズ公開前に説明していた。
スレッズは単独で機能する、いわゆる「スタンドアローン」型のアプリだが、ユーザーはインスタグラムのアカウントを使ってログインする必要がある。ユーザー名はインスタグラムのものになるが、プロフィールなどはスレッズ独自のものに差し替えられる。
ユーザーはまた、インスタグラムでフォローしていたアカウントをスレッズでそのままフォローすることもできる。さらに、インスタグラムでは非公開のアカウントを、スレッズでは公開することも可能だ。
スレッズのサービス開始に先立ち、メタ社のビジネス慣習も批判されていた。
フェイスブックの元プロダクト・マネージャーで内部告発者のフランシス・ハウゲン氏は昨年、米連邦議会で行われたインターネットの安全性に関する公聴会で、同社は「安全性より利益を優先させている」と批判した。過去には、フェイスブック利用者のデータを選挙コンサルティング会社の英ケンブリッジ・アナリティカを含む第三企業に不正に共有していたとしてスキャンダルとなった。
ツイッターを所有する米富豪イーロン・マスク氏は3日、スレッズの提供開始発表を受け、「向こうの運営はまともで、何よりだ」と反応した。メタ社にまつわ過去のこうした経緯を、あてこすった発言と思われる。
ツイッターに代わるSNSとしては、他にブルースカイやマストドンなどが挙がっているが、いずれも大勢がこぞって使うという状況にはなっていない。
しかし、すでに数億のユーザーを持つインスタグラムと連携するスレッズは、これらの競合よりはるかに有利な状況にある。

画像提供, Threads

スレッズの仕様は?
スレッズでは、500字までの投稿の他、リンクや写真、5分までの動画を投稿できる。また、投稿を「簡単に」インスタグラムと共有できるという。
ただし、早くも5日から使い始めたユーザーの間では、画像投稿に問題があったとの指摘もあり、サービス開始当初のトラブルが多少起きている様子がうかがえる。
「スレッズ」と呼ばれるフィードには、フォローしたアカウントや推奨アカウントの投稿が表示される。
投稿の際には、返信や引用が可能な範囲(メンション)を選ぶことができるほか、「非表示ワード」を設定すれば、特定の語句が含まれる返信を非表示にすることも可能だ。
他ユーザーのフォロー解除、ブロック、制限、報告などの機能もある。インスタグラムですでにブロックしているアカウントは、スレッズでもブロックされる。
しかし、メタがインスタグラムとの連携を強調している一方で、メディアが注目しているのはツイッターとの類似性だ。中には「ツイッター殺し」だという声もある。

画像提供, Threads

ツイッターのマスク氏は1日、ツイッターユーザーが1日に閲覧できる投稿数を一時的に制限した。過剰な「データ奪取」があったためとしている。
3日には、アカウントを整理して一覧表示できる公式ダッシュボード「ツイートデック」を30日以内に有料化すると発表。マスク氏は、ツイッターの有料サービス「ツイッター・ブルー」への誘導を進めており、その一環とみられる。
マスク氏がツイッターを買収して以降、多くのユーザーがこのプラットフォームへの不満、そしてマスク氏の運営姿勢に不満を表している。多くの人がマスク氏のとっぴな行動や政治的姿勢を、不満の理由に挙げている。
マスク氏とザッカーバーグ氏は先月、「ケージの中で取っ組み合いをしよう」と合意したかに見えたが、どこまで本気だったかは不明だ。
スレッズはイギリスでも使えるが、EUではデジタル市場法をめぐる規制との関係が不透明で、まだ使えない状況だ。メタは、EUでのサービス開始を可能にする方法を検討中だとしている。
EUのデジタル市場法は、特にメタのような大企業が所有するプラットフォーム間でデータを共有する方法についての規則を定めている。スレッドとインスタグラム間のデータ共有は問題の一部だ。
競合プラットフォームの幹部らも、スレッズが取得する可能性のあるデータ量について疑問を呈している。ドーシー氏は、位置情報や閲覧履歴、連絡先、購入履歴など、スレッドが要求する可能性のあるデータの種類のスクリーンショットと共に、「あなたのスレッド(本来はインターネット上での発言の意味)はすべて私たちのものだ」とツイートした。

マスク氏は「Yeah(ああ)」とだけ反応した。ただし、ツイッターも同様の情報をユーザーから取得している。
メタは、プライバシーの保護がビジネスの根幹だと主張している。
(追加取材:マックス・マザ、ジョージ・ボウデン)








