平和記念資料館でG7首脳ら、それぞれの決意記す
白石早樹子、BBCニュースジャパン(広島)

画像提供, Reuters
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島市で始まった19日午前、初めてG7首脳がそろって平和記念資料館を視察し、館内で芳名録にそれぞれの決意を記した。
横一列に座った首脳らの前には、平和のシンボルの折り鶴が置かれていた。
岸田首相は、「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に『核兵器のない世界』をめざすためにここに集う」とつづった。
イギリスのリシ・スーナク首相は、シェイクスピア作「マクベス」から「悲しみは言葉で表せ(Give sorrow words)」という言葉を引用。続けて、「だが、原爆の閃光(せんこう)の前では言葉は無意味だ。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉でも言い表せない。ただ我々は心と魂を込めて、繰り返さないと言うことができる」と書いた。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、「この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くという我々全員の義務を思い出させてくれることを願う。世界から核兵器を最終的に、そして永久になくせる日に向けて、共に進んでいこう。信念を貫こう!(May the stories of this Museum remind us all of our obligations to build a future of peace. Together-let us continue to make progress toward the day when we can finally and forever rid the world of nuclear weapons. Keep the faith!)」と書いている。

画像提供, Reuters

バイデン氏が核をなくすと記したことに、日本の専門家らは注目している。
同志社大学の三牧聖子准教授は、「バイデン大統領が『核兵器を永久になくせる日』にコミットしたことの意義は過小評価できない」とニュースサイトでコメントした。
「核廃絶を理想として掲げながら、核抑止力が不可欠だという認識を改めないことは矛盾だという声もある。しかし、核なき世界への道は、矛盾に耐えながら、理想を見失わず、粘り強く進んでいくしかないのかもしれない」と、三牧氏は述べた。
「私たちに課された使命だ」
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「感情と共感の念をもって、広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命だ」とつづった。
カナダのジャスティン・トルドー首相は英語とフランス語で、「多数の犠牲者、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛な弔慰と敬意を表明する。皆さんの体験は我々の心に永遠に刻まれるだろう」と書いた。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は「この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。(中略)核の戦争は決して再び繰り返されてはならない」と記帳。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は「きょうという日に少し立ち止まり、祈りを捧げよう。(中略)過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描こう」とつづった。
欧州連合(EU)から参加しているウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長とシャルル・ミシェル欧州理事会議長も、戦争の代償と平和の実現についての思いをしたためた。
資料館の芳名録には、各国の首脳や著名人の直筆のメッセージが残されており、ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世やミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領、バラク・オバマ元米大統領なども、広島を訪れた際に記帳した。
「未来の世代が苦しむ」

資料館では、被爆者の小倉桂子さんが首脳らと面会した。
NHKによると、小倉さんは資料館の中で、「そのとき見たもの、心で感じたことをそのまま」語った。
また、首脳らは興味を持って小倉さんの体験談を聞き、質問も多く投げかけたという。
BBCのローラ・ビッカー特派員の取材で小倉さんは、「心の声を聴いてください。この地面の下で多くの犠牲者が発見されずに眠っていることに、あなたは何を考え感じているのか」と、首脳らへのメッセージを語った。
「未来の世代が苦しみます。いま動かなければ、彼らが苦しむのです」
ソーシャルメディアなどでは、G7の首脳が一堂に会し、資料館の視察と献花を行ったことに意義を見いだす意見もある。「こんな光景がみられるなんて」という強い気持ちのこもったツイートも散見された。
一方で広島市内では、サミットに反対するデモが連日行われている。
平和記念公園に近い商店街では、抗議参加者たちが警察に囲まれながら、サミットは戦争会議だと主張するプラカードを掲げて行進した。
G7の中でアメリカとイギリス、フランスは核保有国。ドイツとイタリアも各共有の条約を結んでいる。











