ゼレンスキー氏、日本に到着 「今日、平和は近づく」とツイート

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は日本時間の20日午後3時半ごろ、広島空港に到着した。サウジアラビア・ジッダで開かれたアラブ連盟サミットに出席していたゼレンスキー氏は、ジッダから日本へ向かった。
ゼレンスキー大統領は、フランス政府機で広島県三原市の広島空港に到着した。タラップを降り、木原誠二内閣官房副長官ら日本政府関係者や、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使らウクライナ大使館関係者の出迎えを受けると、素早く車に乗り込み空港を離れた。
大統領はツイッターで、「日本。G7。ウクライナのパートナーや友人たちと、大事な会議がたくさんある。我々の勝利のため、安全保障と協力関係の強化だ。今日、平和は近づく」と英語で書いた。
その後、イギリスのリシ・スーナク首相は主要7カ国首脳会議(G7サミット)会場に到着したゼレンスキー大統領を抱きしめて歓迎し、「着いたね!」と声をかけて喜んだ。今日は良い1日だったか質問されると、ゼレンスキー氏はほほ笑んでうなずき、「ありがとう」と答えた。スーナク氏は15日にロンドン近郊の首相別荘でゼレンスキー氏を歓迎している。

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ゼレンスキー氏はインドのナレンドラ・モディ首相とも会談。ツイッターで「ウクライナ平和フォーミュラについて説明し、インドに参加するよう呼びかけた。ウクライナは人道的な地雷撤去や移動式病院を必要としていると伝えた。我々の領土的一体性と主権を、とりわけ国際機関などの場でインドが支持してくれていることに感謝した。ウクライナへの人道援助にも感謝した」と書いた。
ウクライナは昨年11月、「平和の公式(平和フォーミュラ)」と呼ぶ10項目の和平案を提示した。原子力、食料、エネルギーの安全保障、捕虜と送還者の解放、領土回復、ロシア軍の撤退、ロシアの戦争犯罪訴追、地雷撤去など環境保全、紛争拡大を防ぐ安保体制の構築、戦争終結の確認――がその内容。
インドは西側諸国と異なり、ロシアに中立的な態度をとっている国の一つ。インド国営バローダ銀行によると、インドのロシア産原油の輸入量は昨年、前年比10倍に増加した。

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ゼレンスキー氏はほかに、イタリア、フランス、ドイツの各国首脳やシャルル・ミシェル欧州理事会議長らと、精力的に個別会談を重ねた。防衛力の強化のほか、長期的な金融・経済支援の枠組みなどを、話し合ったという。
ゼレンスキー氏は20日夜にツイッターへ、ウクライナ国民にこの日の取り組みを説明する動画を投稿。「平和フォーミュラ。ウクライナのため、できるだけ多くの国やリーダーに関心を持ってもらう。防衛。ウクライナへの長期的な支援プログラム。金融と経済」について、複数の首脳と建設的な話し合いを重ねたとして、「広島初日はとてもパワフルだった。2日目はさらにパワフルになる」と書いた。

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日本政府は20日朝、ゼレンスキー大統領がG7サミットに出席するため、広島を訪問すると発表した。「ゼレンスキー大統領から、今次サミットへの対面参加にかかわる強い希望が表明され」たことから、同大統領はウクライナ情勢をテーマにしたG7首脳とのセッションに参加するほか、G7首脳と招待国首脳による平和と安定に関するセッションにもゲストとして参加するという。さらに、岸田文雄首相とも会談する予定。

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20日夕方には、G7と欧州連合の首脳に加え、インドや韓国、ブラジルなど招待国の首脳、国連のアントニオ・グテーレス事務総長や国際通貨基金のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事らが、グランドプリンスホテル広島で集合写真を撮影した。この約90分前に広島空港に降り立った、ゼレンスキー大統領の姿はなかった。

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19日の時点で、ウクライナ大統領府はウクライナのメディアに対して、ゼレンスキー氏が「数日中に」日本でアメリカのジョー・バイデン大統領と会談すると明らかにしていた。
今年3月に岸田首相がウクライナを訪問した際、ゼレンスキー氏をG7に招待。ゼレンスキー氏はオンラインで参加するつもりだと当時の記者会見で話していた。
ロシアによるウクライナ侵攻後、ゼレンスキー氏がアジアを訪れるのは初めて。開戦後に訪れる外国として、日本はウクライナから最も遠く離れた国となる。
「違法な併合が見えないふり」
ゼレンスキー氏は19日にアラブ連盟サミットに出席し、「残念ながら世界には、そしてここにいる皆さんの間にも、(戦争捕虜を入れる)おりや、違法な併合が見えないふりをする人たちがいる」と述べた。
「私がここへ来たのは、みなさんがまっすぐに事実を見据えられるようにするためだ。ロシアからの圧力がどれだけ強くても、独立していなくてはならない」と、大統領は強調した。
アラブ連盟加盟国の間で、ロシアによるウクライナ侵攻を公然と支持しているのは、今回12年ぶりに連盟に復帰したシリアのみ。ほかの中東諸国は、ロシアとの良好な関係維持に努めてきた。

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そうした中東諸国の首脳を前にゼレンスキー氏は、ウクライナは帝国主義者や植民地主義者から自分たちを守っているのだと強調。かつて侵略され植民地にされた歴史を持つ多くのアラブ諸国の共感を得ようと働きかけた。
開催国のサウジアラビアはウクライナでの戦争について、これまで慎重な対応を続けてきた。ロシアに撤退を呼びかける国連決議に賛成し、ウクライナへ4億ドル相当の人道援助を約束する一方、ロシアへの制裁には参加してこなかった。
サウジの実質的な支配者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ロシアとウクライナの停戦交渉を仲介する意向をあらためて示した。
ゼレンスキー大統領は、アラブ連盟に加盟していないイランについても、ロシアにシャヘド・ドローンを提供していると厳しく批判した。イランはドローン提供を否定している。









