シリアのアサド大統領、アラブ首脳会議に復帰 地域立て直しの「歴史的好機」と訴え
ラフィ・バーグ、デイヴィッド・グリテン、BBCニュース

画像提供, Reuters
シリアのバシャール・アル・アサド大統領が19日、アラブ連盟(21カ国・1機構)の首脳会議(サミット)に12年ぶりに出席した。サウジアラビアに集まった加盟各国の首脳に向かい、アラブ諸国は「外国の介入が最小限」の間に地域を作り直す「歴史的好機」を迎えていると訴えた。
シリアは内戦が始まった2011年に、アラブ連盟から参加資格を停止された。
しかし、反政府勢力を支持してきた国々が、アサド氏は安定的に権力を掌握していると認めるようになり、シリアはアラブ連盟への復帰を果たした。
アサド氏はサミットに先立ち、アラブ首脳らに関係修復を呼びかけていた。
アサド氏はこの日、加盟各国の代表に向け、「私たちの連帯、地域の平和、戦争と破壊ではなく開発と繁栄のための、アラブの行動の新たな段階の始まりとなることを願っている」と訴えた。
また、「今は、外国の介入が最小限の中で私たちの問題を整理し直す歴史的好機だ」とした。
ゼレンスキー大統領も出席
この日のサミットには、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も招待された。
ゼレンスキー氏は会議の場で、一部のアラブ首脳について、ロシアによる侵攻を意図的に無視していると非難。「残念ながら世界には、そしてここにいる皆さんの中にも、(戦争捕虜の)おりや違法な併合に目をつぶっている人たちがいる」と主張した。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、アラブ連盟の中ではシリアだけが公然と支持を表明している。
歓迎と冷ややかな声
アサド氏は先週になって、サミット開催国のサウジアラビアから招待を受けた。現地入りすると、サウジアラビアの事実上の指導者のムハンマド・ビン・サルマン皇太子からハグを受けるなど、温かく迎えられた。
サウジアラビアは長年、反アサド政権の勢力を資金と武器の面で支援してきた。しかし、シリアでジハーディスト(イスラム聖戦主義者)集団が勢いを増し、2015年にロシアが介入してアサド政権が反政府勢力を粉砕すると、サウジアラビアは支援を縮小した。
17日に開かれた加盟国の外相会合では、アラブ連盟のアフメド・アブル・ゲイト事務局長が、「シリアの復帰は紛争終結の前触れになる」ことを望むと述べた。
だが、すべての国がシリアの復帰を熱望していたわけではない。
カタールの外相はドーハでの記者会見で、「アラブの総意から逸脱」したくないという理由だけから、復帰反対をやめたと説明した。
米国務省のヴェダント・パテル報道官は、「シリアが復帰に値するとは思わない」と主張。「私たち立場は明快だ。アサド政権と関係を正常化することはないし、他国がそうすることも支持しない」と述べた。
シリアのアラブ連盟復帰については、反政府の一般市民も非難している。
シリア北部の都市アレッポの自宅を追われた教員で活動家のアブドゥルカフィ・アルハムド氏は、BBCの番組「ニューズアワー」で、「何人が殺され、何人が投獄され、何人が拷問で殺されたのか?」と問い、次のように話した。
「アサドをアラブ連盟の会議に参加させたのは、信じられないことであり、次の世代から許されない」
大地震きっかけに関係修復へ
アラブ諸国とシリアの関係修復は、2月にトルコとシリア北西部を大地震が襲ったのをきっかけに加速している。この地震では、シリアと敵対していた国々が、シリアの政府支配地域に人道支援を行った。
また、中国が3月に、サウジアラビアと、長年敵対していたイランの外交関係の正常化を仲介したことも影響している。イランはロシアと共に、アサド政権がシリアの大都市を再び支配するのを支援してきた。
とはいえシリアの広い地域は、トルコの支援を受けた反政府勢力やジハーディスト集団、アメリカが支援するクルド人主導の民兵組織が、依然として支配している。
シリア内戦では約50万人が死亡。戦前の人口2200万人の半数が、故郷を離れざるを得なくなっている。約680万人が国内避難民となり、さらに600万人が国外で難民や亡命希望者になっている。
大地震の発生前から、シリアでは推定1530万人が何らかの人道的支援を必要としていた。これは内戦が始まって以降で最多となっている。









