スーダン、再び「停戦」も戦闘続く 首都から多数の市民が避難

モハメド・オスマン、マット・マーフィー、BBCニュース(ハルツーム、ロンドン)

Smoke billows over the Sudanese capital Khartoum

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画像説明, 黒煙に覆われる首都ハルツーム上空

スーダン国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の激しい戦闘が19日、5日目に入った。数千人の民間人が首都ハルツームから逃れ、各国は自国民を避難させようとしている。

複数の目撃者によると、市民は19日朝、銃撃と耳をつんざくような爆発音に見舞われたハルツームから、車や徒歩で避難した。

こうした中、日本とタンザニアの政府関係者は、自国民の避難計画を検討していると明らかにした。

スーダン国軍とRSFは18日午後6時から、24時間の人道的停戦を実施することで合意していた。しかし、開始時刻を過ぎても銃声や戦闘機の飛行音は鳴りやまず、停戦合意は守られなかった

RSFは19日、同日午後6時からの停戦を再提案した。国軍は停戦を順守するとしたが、ハルツーム中ではいまも銃声が聞こえている。

戦闘の大半は、市中心部の軍司令部付近で起きており、上空に煙が立ち上っているのが確認できる。

ハルツーム拠点のジャーナリスト、モハメド・アラミン氏はBBC番組「フォーカス・オン・アフリカ」で、停戦のはずなのに銃撃が止まらないと語った。

「本当に恐ろしい。戦っている双方が、あらゆる場所で無差別に発砲している」と、アラミン氏は述べた。「何百人もの人がハルツーム市外に出て、急いで近隣の州へ移動しようとしているのを、私自身も目にした」。

市民の中には、何が起きているのか分かっていない人もいれば、国軍とRSFの双方に怒りを向ける人もいる。

「基本的に市民は、この戦闘は自分たちへの攻撃だと考えている」、「道端で会う人たちは口々にそう話した」と、アラミン氏は述べた。

また、ハルツーム市内で部隊がばらばらに分断されていることが、停戦実施の際に問題になるかもしれないとした。

「市内各地にいる部隊は、ばらばらに戦っている様子だ。離れた場所に別々にいて、あまり連絡がとれていない状態で戦っている」

現時点での戦闘は砲撃によるものがほとんどで、激しい空爆は起きていない。

市民が避難、強盗被害も

19日早朝、戦闘が再開され、軍司令部付近で起きた爆発でハルツーム上空が黒煙で覆われる中、市民は街からの避難を開始した。

重武装したRSF戦闘員がピックアップトラックで市内をパトロールし、国軍側の戦闘機はRSFが占拠しているとみられる場所を攻撃したと、複数の目撃者は報告している。

燃料が不足し、公共交通機関の運行も滞っていることから、避難者の多くは徒歩での移動を余儀なくされた。フラットベッドトラックに乗って、親族が暮らすスーダン中部や西部に向かおうとする人もいた。

首都から逃れたという地元住民の1人はBBCに対し、RSFがハルツーム周辺の道路に検問所を設置していたと述べた。また、一部のRSF戦闘員に携帯電話や金銭を盗まれたとした。

ハルツームの複数地域でも強盗被害が報告されている。18日には、RSFの民兵が家々を回り、水や食料を要求してきたと、BBCに話す人もいた。

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Presentational white space

各国が自国民の避難計画

戦闘が激化する中、多くの国が自国民をスーダンから避難させる準備を開始したと発表している。

日本はスーダンに滞在する邦人約60人を避難させるため、自衛隊機を派遣する準備を始めている。

タンザニアのステルゴメナ・タックス外相は、自国民約210人の避難が可能か検討中だとしている。

一方で、在ハルツームのアメリカ大使館は、首都の「不確実な治安状況」を理由に、「米政府主導の避難」を行う計画はないとしている。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、戦火に巻き込まれないためにじっとしているよう、救援を求める地元住民に助言していると、BBCに述べた。

スーダンのIFRC責任者ファリド・アブドゥルカディール氏は、「私たちに電話をかけてくる人に対し、真実を伝えている。『いいですか、現時点で逃げ出すのは難しい。いま自分がいる場所に留まる方が安全です』と」と、BBC番組「フォーカス・オン・アフリカ」に語った。

民間人犠牲者は

戦闘による死者数は不明だが、スーダン医師中央委員会(CCSD)は18日、暴力行為によって少なくとも174人の市民が死亡したと発表した。

Civilians wait to flee Khartoum

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画像説明, ハルツームから避難しようとする市民

日米英など14カ国と欧州連合(EU)の在スーダン外交使節団は19日の共同声明で、死者が270人に達したとした。

複数の病院が砲撃を受けていると報じられており、多くの負傷者は病院にたどり着けずにいると、専門家たちは指摘する。実際の人数は発表されているよりもはるかに多い恐れがあるとしている。

ハルツームで働くインド人のタンジール・カーン氏はBBCに対し、首都での空爆は市民の命を危険にさらしていると語った。

「今朝から、この地域の空爆は激しさを増している。いつ私たちがいる建物を攻撃してくるかわからない」と、カーン氏は述べた。「同じ建物には、ほかに15人くらい暮していて、同様の困難に直面している」。

支援状況は

ハルツームのギリシャ正教の教会から移動できずにいるというロシア人女性は、自分たちのグループは力や食料、水が底を尽き、絶望的な状況になっていると話した。

「戦闘開始直後から都市部の電気は遮断されていた」、教会に電力を供給する発電機の燃料も切れてしまったと、女性はBBCに語った。

紛争から逃れた人を支援する人道団体「ノルウェー難民評議会」は、スーダンでは「事実上、すべての人道的活動がまひしている」とし、激しい戦闘が起きている中、現地で支援を提供することは不可能だとしている。

「あちこちで戦闘が起き、道路を車で走行するのも安全ではなく、空港も閉鎖されている状態下では、活動することはできない」と、同団体のヤン・エグランド事務局長はBBCに述べた。

「複数の人道支援団体では、倉庫が略奪被害に遭い、施設が占領され、スタッフに銃口が向けられ、同僚たちが性的虐待を受けている。本当に、本当に、ひどいことが起きている」

(追加取材:クロイー・キム)