G7などによるロシア産石油の価格上限設定「弱い」=ゼレンスキー氏

The NS POWER oil/chemical tanker is moored at the NNK-Primornefteproduct petroleum depot in the far eastern port of Vladivostok, Russia

画像提供, Russia

主要7カ国(G7)と同盟諸国は2日、ロシア産石油の価格に上限を設けることを正式に承認し、12月5日か「それ以降、速やかに」に始まると発表した。しかしこれを受けてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日、ロシアに対抗する国際社会の取り組みとして「弱い」と批判した。

G7やオーストラリアは、ロシア産原油の価格を1バレル当たり60米ドル(約8000円)を上限とすることで合意した。ロシアへの圧力を強めることが狙い。

これについてゼレンスキー氏は、価格上限は「弱い立場」で、ロシア経済に十分な打撃を与えられるほどの「本気」のものではないと批判した。

毎晩定例の国民へのメッセージで大統領は、「ロシアはすでに、エネルギー市場を意図的に不安定にすることで、世界中のすべての国に甚大な被害をもたらしてきた」と述べ、「さらに強力な武器を使わなくてはならなくなるのは、時間の問題だ」と話した。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は3日、ロシアはすでにG7による価格上限に備えていたとし、上限設定を「受け入れない」とコメントした。

G7は2日の共同声明で、上限設定は「ロシアがウクライナへの侵攻から利益を得ることを阻止する」ためのものだと説明。

「世界のエネルギー市場の安定を支援し、ロシアの侵略戦争がもたらす経済的な負の波及効果、特にプーチンの戦争の影響を不当に受けている中低所得国への影響を最小限に抑えること」が目的だとした。

EU全域では、同じ5日から、ロシア産原油の海運での輸入が禁止される。EU以外の広い地域で適用されるG7の価格上限は、これを補完するものとなる。

G7のこの政策に賛同する国は今後、海運で輸入する石油と石油製品について上限以下の価格で取引されているものしか購入できなくなる。

ウクライナを支援する西側諸国は、価格上限を守らない国について、ロシアの石油を運ぶタンカーへの保険を拒否する計画だ。これによって、ロシアは上限価格以上で石油を売ることが難しくなる。

9月に開かれたG7財務相会談では、ロシア産石油の価格を制限することで同国の石油からの利益を減らし、「侵略戦争の資金調達」能力を削ぐことができるとしていた。

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は、EUでの合意形成を歓迎。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「戦争マシーン」の動きを遅らせられると述べた。

この措置はロシアにとって大きな痛手だが、現在ロシア産原油の最大の買い手になっているインドや中国など、他の市場への販売にシフトすることで、その影響は部分的に軽減されるとみられる。

国際エネルギー機関(IEA)によると、戦争が始まる前の2021年、ロシア産石油の50%以上が欧州に輸出されていた。最大の買い手はドイツで、これにオランダとポーランドが続いていた。

しかし侵攻開始以降、EU各国は必死にロシアへの依存度を下げようとしてきた。アメリカはすでにロシア産石油の輸入を禁止。イギリスも年内に取引を止める方針をとっている。