ノルド・ストリームでガス漏れ ウクライナはロシアの「テロ攻撃」と非難
ロシアと欧州をつなぐ海底パイプライン「ノルド・ストリーム1」と「ノルド・ストリーム2」から天然ガスが漏れ出した。ウクライナは27日、ロシアによる「テロ攻撃」だと非難した。
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ノルド・ストリームに損害を及ぼすことは欧州連合(EU)への「攻撃」だと指摘。ロシアは冬を前にパニックを引き起こそうとしているとし、EUに対しウクライナへの軍事支援を拡大するよう求めた。
地震学者は、ガス漏れが発覚する前に海中で爆発を観測している。
スイスの国立地震センターのビョルン・ルンド氏は地元メディアに対し、「爆発が複数回あったことは間違いない」と話した。
ノルド・ストリーム2の運営会社は、26日午後にパイプラインの圧力が低下していると警告。これを受けてデンマーク当局は、ボルンホルム島周辺の航行を避けるよう船舶に警告を発した。
ノルド・ストリーム1の運営会社も、パイプラインが1日で「前例のない」損害を一斉に受けたと発表した。
デンマークの国防司令部は、バルト海のボーンホルム島近くで天然ガスが漏れ出し、海面に泡が立っている映像を公開した。
これにより、直径1キロにわたる範囲で、海上での往来に影響が出たという。

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ウクライナのポドリャク大統領顧問は「ノルド・ストリーム1のガス漏れはロシアによるテロ攻撃であり、EUへの攻撃にほかならない。ロシアは欧州の経済状況を不安定化させ、冬を目前にパニックを引き起こしたいのだ」と、英語でツイートした。
その上で、ドイツをはじめとする欧州の同盟国に、ウクライナへの軍事支援を拡大するよう求めた。
「最善の対応と安全への投資は、ウクライナへの戦車供給だ。特にドイツ製の」と、ポドリャク氏は付け加えた。
欧州各国の首脳も、パイプラインの損害は故意によるものだと指摘している。
ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相はパイプラインが破壊されたとして非難し、おそらくウクライナでの戦争に関連していると述べた。
デンマークのマッテ・フレデリクセン首相は、結論を出すのは早いが、複数のガス漏れが偶然であるとは考えにくいと話した。
故意の攻撃の可能性
こうした中、ドイツのメディアは不確実な情報として、当局が海底送ガス網への攻撃があったとの見方を排除していないと報じている。
ロシアのドミトリ・ペスコフ大統領報道官は、この件を「非常に懸念している」と発言。故意の攻撃である可能性は否定できないと述べた。
EUはこれまで、ロシアがウクライナ侵攻で受けた制裁に対抗するため、天然ガス供給を経済的兵器として使っていると非難してきた。
ロシアはこの疑惑を否定し、制裁によってガスインフラを正常に維持できなくなったと述べている。

今回の損害の原因が何であれ、欧州へのガス供給にすぐ影響があるわけではない。現在、両パイプラインは操業を停止している。
ロシアは保守点検のためにノルド・ストリーム1を停止しており、8月以降、欧州にガスを運んでいない。ノルド・ストリーム2は、2月のウクライナ侵攻開始を機に停止された。
ただし、操業していなくてもパイプライン内にはガスがたまっている。
現在、ドイツとデンマーク、スウェーデンの各当局がこの件を調査している。
デンマークのエネルギー当局はロイター通信に対し、ガス漏れは数日から1週間にわたる可能性があると述べた。
パイプラインの運営会社は、システムインフラがいつ復旧するか推測できない状況だとしている。
ウクライナ侵攻以降、エネルギー価格は上昇し続けており、ガス不足でさらに加速するとみられている。
これまでガス供給の多くをロシアに依存していたEU加盟国では、今冬の暖房代をまかなえないのではと懸念する家庭が増えている。
ポーランドはロシアへの依存から脱却するため、ノルウェーとの間に新たなガスパイプライン「バルティック・パイプ」を設置・開通させた。ポーランドやスロヴァキア、チェコなどにガスを供給する。












