欧州、石油・ガス施設のセキュリティーを強化 ガス漏れはロシアの「破壊工作」

A Danish navy vessel

画像提供, EPA

画像説明, ガス漏れが発生した場所から近いバルト海のボーンホルム島に停泊するデンマーク海軍の艦船

ロシア産ガスを欧州に供給する海底パイプライン「ノルド・ストリーム1」と「ノルド・ストリーム2」が破壊工作を受けた疑いがあることを受け、欧州各国は28日、石油・ガス関連施設周辺のセキュリティーを強化すると発表した。

ロシアとドイツをつなぐ「ノルド・ストリーム1」と「ノルド・ストリーム2」をめぐっては、26日と27日に天然ガスが漏れ出していることが確認され、ウクライナは27日にロシアによる「テロ攻撃」だと非難した。

欧州連合(EU)、アメリカ、北大西洋条約機構(NATO)は、同パイプラインが故意に損傷されたと示唆しているが、ロシアを直接非難はしていない。

ロシアはアメリカが関わっている可能性を指摘し、自らの関与は否定している。

ウクライナ侵攻を続けるロシアはこれまでも、ウクライナを支援する西側諸国に対してエネルギー供給を「武器」として利用していると非難されてきた。

ノルド・ストリーム2の運用計画は2月のウクライナ侵攻を機に中止された。ノルド・ストリーム1もメンテナンスが必要との理由から、ロシアが9月に停止し、現在はいずれのパイプラインも稼働していない。

ただ、パイプライン内にはガスがたまっており、バルト海のボーンホルム島近くで直径1キロにわたり、海面に泡が立っている状態が確認された。

デンマークのダン・ヨルゲンセン・エネルギー相は、ガス漏れは数日から1週間にわたる可能性があるとしている。デンマークはこの件を調査している。

動画説明, ノルド・ストリームからガスが漏れ出している様子とされる映像。デンマーク国防当局が撮影した

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Presentational white space

意図的なら「強力な対応取る」

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ガス漏れが意図的な攻撃によるものだと証明されれば、「可能な限り強力な対応」を取ると約束した。

ロシア政府ドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアによる破壊工作だとする非難の声が上がるのは「予測可能」なことだったとし、「愚かでばかげている」と一蹴した。

そして、ガス漏れについて「非常に懸念している」と述べ、意図的な攻撃の可能性を排除できないと付け加えた。

欧州最大のガス供給国であるノルウェーは、今回の事案を受け、重要なインフラを保護するために軍を配備することを決定した。

ノルウェーのヨーナス=ガール・ストーレ首相は記者会見で、石油・ガス関連施設に軍を「より目立つように」配置すると表明。いかなる攻撃にも同盟国と共同で対処すると述べた。

海軍は海上施設の保護のため配備され、陸上施設では警察がプレゼンスを高めることになるという。

ノルウェーの国営エネルギー企業エクイノールも、28日に安全対策を強化したと発表した。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、デンマークの国防相と重要インフラの保護について協議したと述べた。同国はパイプラインが損傷した地点に最も近い。

アメリカのジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、欧州のエネルギー安全保障を守るための取り組みを継続すると述べた。

米海軍のタマラ・ローレンス大佐は、「必要であれば同盟国やパートナーと緊密に連携し、支援と援助を提供する用意がある」と述べた。

「爆発」の報告も

全長約1200キロのノルド・ストリーム1はバルト海の海底を通り、ロシアのサンクトペテルブルク近くからドイツ北東部までガスを供給できる。これに並行して走るノルド・ストリーム2は開通が中断されている。

複数の地震学者は、ガス漏れが発覚する前に水中で爆発があったと報告している。デンマークの国防軍司令部はバルト海の水面に直径1キロにわたり泡が浮かぶ映像を公開した。

スウェーデンの国立地震学センターのビョルン・ルンド氏は、「これらが爆発であることは間違いない」と話した。

英オックスフォード大学エネルギー研究所のマイク・フルウッド上級研究員はBBCに対し、ガス漏れの原因として可能性が最も高いと考えられるのは破壊工作だと語った。

「沖合に設置されたパイプラインが破裂するのはまれで、それが18時間の間に3回起きるというのはかなりの偶然といえる」

もし本当にロシアによる破壊工作だとすれば、すでにガス供給は停止しているので「奇妙な」行動だと、フルウッド氏は指摘した。

損傷した部分を交換する必要があるため、パイプラインの修理には推定3カ月から6カ月かかるという。過去に別のパイプラインが損傷した際には、9カ月を要した。

ノルドストリームとガス流出地点