メルケル氏、自分にはプーチン氏を止められなかったと 雑誌インタビューで

Ex-Chancellor Angela Merkel with President Vladimir Putin, Berlin, 19 Jan 20

画像提供, Getty Images

画像説明, ソ連時代に東独に駐在していたプーチン氏は、メルケル氏とはドイツ語で会話したという。写真は2020年1月、ベルリンで

ドイツのアンゲラ・メルケル前首相は、自分にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領を動かすだけの力はなかったとして、ロシアによる今年2月のウクライナ侵攻開始に至る自分の対ロ政策を弁護した。24日付の独誌シュピーゲルが、インタビューを掲載した。

メルケル氏はシュピーゲルに対して、2021年夏にプーチン氏やフランスのエマニュエル・マクロン大統領と、欧州について会談しようとしたものの、「それを実現するだけの力が、自分にはなかった」と話した。「秋になれば(私は)いなくなると、みんな知っていたので」。

ドイツ首相を4期16年務めたメルケル氏は、2021年12月に退任した。首相としてモスクワを最後に訪れたのは2021年8月で、その時点で自分にかつての影響力がないことはすでにはっきりしていたと、メルケル氏はシュピーゲルに話した。

「パワー・ポリティクスの観点から言えば、私はもうおしまいだった。プーチンにとって大事なのはパワー(権力)だけだ」

最後の会談に、プーチン氏がセルゲイ・ラヴロフ外相を同席させたことの意味は大きかったと、メルケル氏は振り返った。それまではプーチン氏との会談は、1対1だったという。

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プーチン氏は昨年末からウクライナ国境沿いにロシア軍の部隊を大量に集めた後、今年2月24日に侵攻を開始した。この事態を受けて、メルケル氏や他の欧州連合(EU)首脳はロシア政府にもっと厳しい態度で臨むべきだったという指摘が相次いだ。

メルケル氏が率いた「キリスト教民主同盟(CDU)」の議員で外交に詳しい、ロデリッヒ・キーゼヴェッター氏もそう指摘する1人だ。プーチン氏が欧州を分断して弱体化させようとしているのを、メルケル氏は承知していたが、「ソフトパワー」による対応が正解だとメルケル氏は考えていたのだと、キーゼヴェッター議員は言う。

シュピーゲル誌のインタビューでメルケル氏は、ミンスク合意に至る和平協議で自分がとった姿勢によって、ウクライナはロシア軍に対する防衛力を増強するための時間稼ぎができたのだと話した。

ロシアは2014年にウクライナのクリミア半島を併合し、東部ドンバス地方では後押しする親ロシア勢力を通じた代理戦争をウクライナに対して戦った。ミンスク合意はこれについての和平合意だったが、その内容の主な部分(違法勢力の武装解除や欧州安全保障協力機構<OSCE>による国境管理の検証など)は実現しなかった。

メルケル前首相は、昨年12月に退任したことを後悔していないと、シュピーゲル誌に話した。

ドイツ政府が成果を上げられずにいるのはウクライナ危機に限らず、ロシアがかかわるモルドヴァやジョージア、シリア、リビアなど他の場所での紛争も同様だからだという。

メルケル氏もプーチン氏も共に、かつての東ドイツでの暮らしを経験している。メルケル氏は東独で育ち、プーチン氏はソ連国家保安委員会(KGB)の将校として東独に駐在した。プーチン氏はドイツ語を流暢(りゅうちょう)に話すし、メルケル氏はロシア語を多少話す。