FIFA前会長、カタールでのW杯開催は「間違いだった」 人権問題で批判広がる中

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国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター前会長(86)が、20日に開幕するワールドカップ(W杯)について、カタールを開催地に選んだのは「間違い」だったと語った。スイス紙が7日にインタビュー内容を伝えた。
スイス紙「Tages Anzeiger」のインタビューでブラッター前会長は、カタールは大会開催地としては「小さすぎる国」で、「サッカーとワールドカップはこの国にとって大きすぎる」と述べた。
ブラッター氏は開催地が決まった2010年12月当時、FIFA会長を務めていた。FIFA執行委員会の投票結果はカタールが14票、アメリカが8票だった。
ブラッター氏は自分はアメリカに投票したとし、当時の欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長がカタールに有利になるよう票を動かしたと非難している。
「悪い選択だった。当時FIFAの会長だった私に、その責任がある」
「プラティニと彼の(UEFA)チームが投じた4票のせいで、ワールドカップはアメリカではなくカタールに渡った。それが真実だ」
カタール・ワールドカップは92年の歴史の中で初めて、中東で開催される。また、北半球の冬の時期に開催されるのも今回が初めて。
カタールは同性愛や人権問題、移民労働者の扱いなどをめぐり批判にさらされている。
ブラッター氏によると、カタールでワールドカップ・スタジアムを建設する移民労働者の扱いについて懸念が生じたため、FIFAは2012年に開催国選定に用いる基準を調整したという。
「それ以来、社会的配慮と人権が考慮されるようになった」と、ブラッター氏は付け加えた。
ブラッター氏はさらに、ワールドカップの開催国としてカタールは「国として小さすぎる」、「サッカーとワールドカップは、(カタールが開くには)大きすぎる」とも話した。
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ブラッター氏は17年間FIFA会長を務めたが、プラティニ氏への200万スイスフラン(約2億9000万円)の送金を違法に手配した疑惑が浮上し、2015年末に活動停止処分を受けた。プラティニ氏も同様に活動停止処分を受け、FIFA副会長とUEFA会長を退任した。
ブラッター氏は当初、プラティニ氏への送金をめぐりFIFAから8年間の活動停止処分を受けたが、後に6年間に短縮された。2021年3月にはFIFAの倫理規定に対する「様々な違反」があったとして、2028年までの追加の活動停止処分を受けた。
スイスの検察当局は昨年11月、ブラッター氏とプラティニ氏を詐欺、業務上横領、文書偽造などの罪で起訴した。しかし今年7月に無罪判決が言い渡された。
2018年大会をロシアで、2022年大会をカタールで開催するとの決定をめぐっては、広範な汚職があったとの告発があり、2015年にスイスの検察当局と米司法省による捜査が開始された。
カタールとロシアは不正はなかったと主張している。2017年に実施されたFIFAの独自調査では両国とも事実上潔白とされた。
人権侵害への懸念
FIFAは最近、出場国に対して、物議を醸した大会開催までの準備の過程ではなく「今はサッカーに集中する」よう求める書簡を出した。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)やアムネスティ・インターナショナル、 LGBTQ+(性的マイノリティー)活動家はこの書簡を批判。英イングランドとウェールズを含む欧州の10のサッカー協会も「人権は普遍的で、どこでも適用される」ものだと述べた。
カタールではLGBTQ+の人々の扱いが懸念されている。同性愛関係や、それを広めることが犯罪とされ、罰金が科されたり死刑判決を言い渡される可能性がある。
アムネスティ・インターナショナルによると2010年以降、ワールドカップ開催に必要な広範なインフラ建設のために雇われた移民労働者数十万人が、人権侵害に直面しているという。
一部の選手は平和的な抗議行動を計画している。イングランド主将のFWハリー・ケイン選手をはじめとする欧州チームの主将9人は、多様性と包括性を促進するために「One Love」の文字があしらわれた腕章を着用する予定。
デンマーク代表はカタールに抗議するため、無地に近い地味なデザインと色のシャツを着用する。オーストラリア代表は、カタールに同性愛に関する法律を廃止するよう訴える動画を公開した。
BBCスポーツはFIFAとワールドカップ組織委員会にコメントを求めている。







