キーウ市長、市民に「避難準備」呼びかけ ロシア攻撃による「完全停電」に備え

画像提供, Shutterstock
ロシア軍による攻撃で、ウクライナは断続的な停電と断水に見舞われている。こうした中、首都キーウのヴィタリー・クリチコ市長は6日、市民は電力が完全に失われた場合にキーウを離れられるよう準備をしておくべきだと述べた。
クリチコ市長は同国のテレビ放送で、ロシアによるインフラへの攻撃は「テロ」であり「ジェノサイド」(集団虐殺)だと主張した。
また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、「我々ウクライナ人を必要としていない。彼が必要としているのは領土であり、我々のいないウクライナだ」と述べた。
「だから、いま起きていること(インフラへの攻撃)はすべてジェノサイドだ。彼(プーチン氏)は我々を死なせ、凍りつかせ、あるいは我々の土地から逃がしてこの土地を手に入れようとしている」
キーウの冬の平均気温は氷点下で、夜間にはさらに気温が下がる。
クリチコ市長は、明かりをともすための電力と水を供給し続けるために当局は「あらゆること」を行っているとしつつ、異なるシナリオを想定した準備も確実に行っていると述べた。
さらに、キーウの約300万人の住民に対し、水と電力の供給が続く郊外に住む友人や親戚の家に滞在できるよう手配し、キーウへの供給が途絶えるという「最悪のケース」を想定した計画を立てておくべきだとした。
また、当局は燃料や食料、水を備蓄しており、市民も同様に備蓄すべきだとも付け加えた。緊急時に市民が暖を取れるよう、少なくとも1000の暖房尽きシェルターを市内に設置するという。
キーウ市のほかの関係者も、全面的な停電が起きれば上下水道も機能しなくなるだろうと警告している。
インフラ攻撃で断続的な停電と断水続く
ウクライナではここ数週間、重要インフラを狙ったロシア軍の空爆により、数百万人が断続的な停電と断水に見舞われている。
過負荷電流(オーバーロード)を回避し、インフラの修理を可能にするための計画停電も実施されている。
ロシアはウクライナの発電所や送電線を攻撃しており、ウクライナのエネルギーシステムの約40%が損傷を受けたり破壊されたりしている。
戦時下の人道的基準をまとめたジュネーヴ条約では、「民間の物」に対する攻撃は行ってはならないとされている。
<関連記事>

市民の避難計画は
キーウの治安責任者ロマン・トカチュク氏は、クリチコ市長に同調するメッセージをメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。
トカチュク氏は停電に備えて市当局が計画を立てていると強調したが、「現時点で避難について話す理由はない」とした。
キーウの住民たちは、電力が失われ、物資が不足する可能性があることを承知していると話している。
2児の父親であるドミトロさん(30)はすでに、事態が悪化した場合に備えてキーウを離れる計画を立てているとBBCに語った。燃料を備蓄し、発電機を購入したという。家族をキーウ郊外の祖父母の家に移す予定だと、ドミトロさんは話した。
2週間前に「当局が暖を取る場所を開設する予定だと発表した」のを受けて、計画を立て始めたのだという。
「いずれ電気が使えなくなることは理解していたので」と、ドミトロさんは付け加えた。
別の住民、アナスタシアさん(36)はたとえ電気が止まっても街に残るつもりだと語った。
「私たちを守ってくれている兵士たちは地面で寝ている。だから私たちは暖房がなくてもなんとかアパートで過ごせると思う」

画像提供, Shutterstock
ヘルソンでも停電、戦略上重要なダムが破壊
ロシア軍の占領下にある南部ヘルソン州について、ロシアに任命された当局は、電力と水の供給が止まったと報告。ウクライナ軍が近くの送電線と重要なダムを攻撃したためだと非難した。
そして、住民に「冷静さを保つ」よう求め、「速やかに」事態を解決するとした。
一方でウクライナ側の地方行政トップは、停電の原因はロシア側にあると非難した。
ロシアメディアによると、停電の一部は、カホフカ水力発電所のダムがミサイル攻撃を受けて損傷したことが原因だと伝えた。独自に検証できていないこの報道について、ウクライナはコメントしていない。
ウクライナはここ数週間、ロシア軍が同ダムを爆破し、周辺地域に住む数十万人に壊滅的な洪水を引き起こすつもりだと警告していた。
ドネツクで「大きな損失」
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、東部ドネツク州で「激しい」攻撃を行うロシアが「大きな損失」を被っていると、毎晩定例のビデオ演説で述べた。
ロシアの反政権派ニュースサイト「インサイダー」は、この4日間でロシア軍の旅団の兵士300人がルハンスク州パウリウカで死傷あるいは行方不明になっていると報じた。
親ロシア派のテレグラム・チャンネルでは、同旅団の悲惨な状況に関する内容が注目を集めている。
ゼレンスキー大統領は、ロシアが「部隊と手段を集中させ、我々のインフラ、まずはエネルギーに対する大規模攻撃を繰り返す可能性がある」と警告した。









