トラス英外相、BBCインタビュー番組の出演中止 保守党党首選の結果目前

Liz Truss appears before an audience in Belfast

画像提供, PA Media

リズ・トラス英外相が29日、翌日夜に放送予定だったBBCのインタビュー番組への出演をキャンセルした。BBC広報によると、トラス氏のスタッフは、番組に出演している時間がなくなったと説明している。トラス氏は現在、9月5日に結果が発表される保守党党首選での勝利が有力視されている。次の保守党党首は、イギリスの新首相になる。

トラス外相は30日夜放送予定だった、ニック・ロビンソン元BBC政治編集長による単独インタビュー番組への出演が予定されていたが、「その時間がとれない」として出演を取りやめた。

保守党党首選でトラス氏と争うリシ・スーナク前財務相は、今月10日に、ロビンソン記者のインタビューを受けている。

BBC広報は声明で、「両候補からじっくり話を聞くインタビューをする予定で、そのように同意も得ていたものの、それが実現しなかったのは残念」だとした。

ロビンソン記者はツイッターで、「がっかりしているし、残念だ」と書いた。

次期首相を決める保守党党首選は、複数の候補を対象に議員の投票を繰り返し、現在はスーナク氏とトラス氏のどちらを選ぶか、保守党議員のほか全国の党員も投票している段階。投票は2日に締め切られ、5日に結果が発表される。

現時点では、トラス氏が優勢とみられている。

スーナク氏の陣営は、トラス氏がBBCの単独インタビューをキャンセルしたことについて、「じっくり質問される事態を避けようとした」と反発。首相として国を率いるための「計画がまったくない」か、もしくは「この冬に我々が直面する課題に、まったく及ばない計画しかない」のだろうと批判した。

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最大野党・労働党は、トラス氏がインタビュー出演を中止したのは、新首相としての政権運営方針について詳しく質問されたくなかったからだとして、イギリスが直面する課題について「まともな答え」を何も持っていない証拠だと非難した。

かつてBBCの政治番組や選挙番組の司会者を長年務めたアンドリュー・ニール氏は、トラス氏の態度は「尊大で横柄」だと批判。政界首脳のインタビューは死んだも同然で、トラス氏が今回「その棺おけにくぎを打ち付けた」に等しいと述べた。

ニール氏はBBCラジオに対して、これまで放送メディアと政治家は互いに「信義誠実の原則」に基づいて選挙前インタビューを実施してきたが、トラス氏の今回の行動を機に、将来的にはそれが難しくなるだろうとの見通しを示した。

ニール氏によると、トラス氏は今夏、ニール氏による英チャンネル4でのインタビューも拒否したという。

新党首の決定と共に退任するボリス・ジョンソン首相もかつて、2019年12月の総選挙に先立ち、ニール氏によるBBCインタビューに応じなかった。当時、他の主要政党の党首は全員、ニール氏のインタビューに応じていた。

トラス氏とスーナク氏はこれまで国内各地で選挙集会に出席したほか、テレビ討論会にも出演している。

トラス氏は今月上旬には、保守系GBニュースの生番組で1時間にわたり市民の質問に答えた。スーナク氏はこれに応じていない。

経済政策に厳しい目

光熱費の大幅上昇など家計費の高騰がイギリスで深刻化する中、両氏が掲げる経済政策は厳しい精査の対象になっている。

トラス外相はこれまでに、スーナク氏が財務相として4月に導入した国民保険料の引き上げを非難し、これを廃止すると言明している。また気候変動対策のためのグリーン・ガス課徴金を一時的に停止し、グリーン政策の財源は借り入れで補う方針を示している。

一方のスーナク前財務相は、生活費や光熱費の急騰について、低所得者や特に手厚い支援を必要とする国民を救済するため、100億ポンド規模の包括的支援策を発表。エネルギー利用に対する付加価値税の廃止などを盛り込んだ。

BBCのロビンソン記者による単独インタビューで、スーナク氏は「偽の約束」で勝つくらいなら負けた方がいいと発言している。

党首選の最後の公式演説会は31日、ロンドンで開かれる予定。