核拡散防止条約再検討会議、ロシアの反対で決裂 ウクライナへの言及めぐり

Countries' representatives at the 2022 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons at the United Nations in New York on 1 August 2022

画像提供, AFP

画像説明, 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は8月1日、ニューヨークの国連本部で始まった

ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は最終日の26日、最終文書の採択にロシアが反対したため、決裂したまま閉会した。

ロシアは、ウクライナの原発周辺、特にザポリッジャ原発周辺での軍事行動に「深刻な懸念」を示す内容の最終文書案に強く反対した。

文書案はさらに、「軍事行動の結果、ウクライナの有能な当局がそうした地域を管理できなくなったため、安全性に重大な悪影響が出た」と言及していた。

NPTの締約国191カ国は5年ごとに条約の内容を再検討する。本来2020年に予定されていた今回の再検討会議は、新型コロナウイルスのパンデミックのため、今年まで延期されていた。前回2015年の再検討会議は、中東の非核化を目指すという内容が盛り込まれた最終文書に米・英・カナダが反対し、決裂した。

ロシア外務省の核不拡散担当、イーゴリ・ヴィシュネヴェツキー代表は、最終文書案が「バランス」を欠いていると批判。「我が国の代表団は、あからさまに政治的な性質の一部の段落について、重大な異論がひとつある」として、文書案にはほかの国も反対していると述べた。

文書案の採択には、締約国のコンセンサスが必要だった。

オーストラリアのペニー・ウォン外相は、意見の一致が得られなかったことは「非常に残念」だとして、「ロシアは他のすべての国が受け入れた文書案について、譲歩を拒否し、前進を妨げた」と批判した。

アメリカの代表、ボニー・ジェンキンス国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は、アメリカが「この結果と、それに増して今日のこの事態に至ったロシアの行動を、深く憂慮」しているとコメントした。

中国の李松軍縮大使は、最終文書にコンセンサスが得られなかったことは「きわめて残念」だとした上で、今回の交渉を経て「複雑な国際状況と、核不拡散体制が直面する課題に対応する喫緊の必要性への理解が深まった」、「これは共通の安全保障と真の多極主義の、重要な実践だ」とも評価した

他方、国際NGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、「核保有国が非核保有国を侵略したこの年に、世界のほぼすべての国が集まった会議が、核不拡散について行動できなかった」ことは残念だとコメント。米政策研究機関「軍備管理協会」(ACA)は、「この条約と世界的な安全保障強化の機会を失った」と述べた。

ウクライナ南部にある欧州最大のザポリッジャ原子力発電所では25日、原発近くの火災の影響で、原発につながる送電線が一時的に国内の電力網から切り離され、放射線災害につながりかねない事態になったという。ウクライナとロシアは互いに、相手の攻撃が原因だと非難し合っている。

ロシア軍は同原発を3月初旬から占拠しているが、ウクライナ側の原子力技術者によって稼働が続けられている。

ロシア政府は国際原子力機関(IAEA)によるザポリッジャ原発視察を認める意向を示しているが、それが実現するまでは現場で何が起きているのかを検証することは難しい。