国連総長、ウクライナでゼレンスキー氏らと会談 原発への損傷は「自殺行為」

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ロシアの侵攻が続くウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とトルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は18日、ウクライナ西部リヴィウで三者会談を行った。グテーレス氏は南部ザポリッジャ原子力発電所付近での戦闘に「重大な懸念」を示した。
グテーレス事務総長とゼレンスキー大統領が会談するのは、ロシアが2月にウクライナへの侵攻を開始して以来初めて。
グテーレス氏は「ザポリッジャ(原発)に起こり得るいかなる損傷も自殺行為だ」と、警告した。
エルドアン大統領はグテーレス氏の懸念に同調。ザポリッジャ原発で「もう1つのチョルノービリ原発」事故が起きる危険性があると心配していると、記者団に語った。
ロシアが3月に占拠したザポリッジャ原発の周辺はここ数週間、激しい砲撃を受けている。ウクライナとロシアは、互いに相手が関与していると非難し合っている。
18日の会談に先立ち、ゼレンスキー氏は同原発に対するロシアの「意図的な」攻撃を批判した。
ロシア政府は、ザポリッジャ原発を軍事基地化したとして非難を受けている。ゼレンスキー氏、グテーレス氏、エルドアン氏の3人はロシア側に、原発周辺を早急に非武装地帯とするよう求めている。
原発スタッフ、「核の大惨事」が起きると警告
ロシア軍の監視下でいまもザポリッジャ原発で働いているウクライナ人スタッフは、この2週間で原発が「継続的な軍事攻撃の標的」になっており、核の大惨事が起きる可能性があると警告している。
「いま起きていることは恐ろしく、常識や道義を超えている」と、原発スタッフはメッセージアプリ「テレグラム」にウクライナ語で書いた。
ウクライナ政府の公式ツイッターチャンネルは18日、ロシアの国営原子力企業ロスアトムのメンバーが原発から「緊急に」離れ、「予期せぬ休日」が発表されたとした。
ウクライナの情報セキュリティセンターは、「ウクライナ情報当局は、ロシアが(原発施設での)挑発行為を準備していると考えている」とツイートした。
「彼ら(ロシア軍)の大規模な砲撃に続いて(中略)、(ロシア軍は)『緊張を高め』、欧州最大の核施設に真のテロ攻撃を仕掛けるかもしれない」
BBCはこの主張を検証できていない。
「核による恐喝」
これらのツイートに先立ち、ゼレンスキー氏は「世界は核災害の危機にひんしている」と警告。「ロシアの無責任な行動と核による恐喝」だと非難した。
こうした懸念があるものの、ザポリッジャ原発は史上最悪の原発事故が起きたチョルノービリ原発と比べればはるかに安全だと言われている。
原子炉には鉄骨鉄筋コンクリートでできた建物に覆われ、「航空機の墜落や爆発など、自然現象や人為的な極端な外部事象に耐えられる」と、複数の専門家が3月にBBCに語っている。

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トルコの仲介は
三者会談に先立ち、エルドアン氏がゼレンスキー氏とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談を提案するのではないかとの報道もあった。
エルドアン氏はプーチン氏と緊密な協力関係を維持している。エルドアン氏は会談後、この戦争が「交渉の席で終結する」ことを信じていると記者団に述べた。
ゼレンスキー氏は、エルドアン氏のウクライナ訪問とトルコの「力強い支援のメッセージ」を歓迎する一方で、同国が和平交渉を仲介する立場になる可能性についてはきっぱり否定した。
ゼレンスキー氏は記者団に対し、エルドアン氏からロシア政府が「何らかの和平に向けた用意がある」と聞いて「非常に驚いた」と述べた。
「ロシア連邦に対する信頼はない」とした上で、ロシアは何よりもまず軍隊を撤退させなければならないと語った。
ウクライナ産穀物の輸出
ウクライナとロシアは7月、トルコと国連の仲介を受けて、ウクライナ産穀物の輸出再開に合意した。この合意はこれまでのところ、ウクライナ侵攻における唯一の外交的突破口となっている。
ウクライナ政府は18日、この合意に基づく25隻目の貨物船がウクライナから出港したと発表した。
グテーレス氏はこの合意を歓迎し、合意をもたらした「互譲の精神」を採り入れるようロシアとウクライナに促した。
「初日から、当事者は食料の流れを維持するために専門的かつ誠実に取り組んできた」とグテーレス氏は述べた。「私はこれを継続し、互譲の精神のもと全ての障害を克服し、全ての困難を恒久的に解決するよう訴える」。
ロシア軍基地近くで爆発
こうした中、地元の情報筋によると、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島の、ロシア軍ベルベク空軍基地付近で18日、大きな爆発が複数回起きた。
ロシアが任命したクリミア半島セヴァストポリのミハイル・ラズフォザエフ知事は、爆発による負傷者は出ておらず、被害も受けていないとした。しかし、ソーシャルメディア上では、夜空を照らすほどの大爆発が起きたように見える場面の動画が拡散されている。
一方、ウクライナ東部ハルキウ州では、ロシア軍の砲撃で複数の住宅が被害に遭い、17人が死亡したと、オレフ・シネフボフ知事が明らかにした。
ロシア外務省は西側諸国との衝突はあり得るが、アメリカや北大西洋条約機構(NATO)との直接的な核紛争はロシアの利益にならないとした。
同省のイワン・ネチャエフ報道官は、「ロシアの軍事ドクトリン(原則)は、大量破壊兵器を使用した侵略に対応する場合、あるいは国家の存立が脅かされる場合にのみ、核を用いた対応を認めている」と述べた。










