トランプ氏家宅捜索のFBI供述書、米連邦地裁が部分開示を命令

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ドナルド・トランプ前大統領が政府の機密書類をフロリダ州の自宅で保管していたとされる問題について、現地の連邦地裁判事は25日、トランプ邸への家宅捜索令状を連邦捜査局(FBI)が請求した際に、捜査の必要性を裏付ける資料として裁判所に提出した宣誓供述書の開示を命令した。捜査方針および捜査員や目撃者の氏名など公表にそぐわない部分の黒塗りを認めた上で、26日正午(日本時間27日午前1時)までに公開するよう指示した。
トランプ邸の家宅捜索を認めた南部フロリダ州連邦地裁のブルース・ラインハート判事は、FBIの宣誓供述書の開示を命令。ただし、司法省が要求していた黒塗りは認めた。
同省は捜査中の事案について、「捜査の戦略や方向性、規模や情報源、手法」に関する内容は公表すべきでなく、同様に証人や捜査員ならびに起訴対象ではない当事者の氏名も公表すべきではないとして、該当箇所を黒塗りした修正版の宣誓供述書をあらためて、同地裁に提出していた。
ラインハート判事は、司法省のこの主張は「説得力」があるものだと認め、修正版を26日正午までに開示するよう命令した。
FBIの宣誓供述書は、連邦地裁に捜索令状を請求する際に、なぜトランプ邸を家宅捜索する必要があるのか、FBIが裁判所に説明するため提出したもの。その一部が黒塗りされた状態でも、内容が開示されれば、トランプ氏がなぜ政権末期の混乱の中で最高機密と指定されたものも含む大量の政府文書をホワイトハウスから持ち出したのか、そしてフロリダ州パームビーチの自宅兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」で機密文書をどのように扱っていたのか、これまで以上に明らかになる可能性がある。
アメリカの大統領は退任時に、政権中のすべての政府文書や電子メールなどを、国立公文書館に移転する決まりになっている。
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FBIの捜索令状と押収品目のリストは、司法省の請求によってすでに8月12日に公開されている。それによると、トランプ邸への捜索容疑は、(1) 国家安全保障を脅かし得る国防情報の収集や逸失および無権限の者への共有(スパイ防止法違反)、(2)公文書の隠匿・持ち出し・破棄、(3)連邦捜査にかかわる文書の破棄や改ざん――の法律違反3点の疑いだった。上記の法令に違反して得られたもの、違法な文書や記録や証拠などが押収対象とされていた。
その結果、押収品リストによると、「トップシークレット(最高機密)」を含む11組の機密文書などが押収された。中には「TS/SCI」(トップシークレット/機密隔離情報、盗聴などの危険を避けるため特別な扱いが必要な情報)と定められたものもあった。この指定を受けた情報は、漏洩(ろうえい)すればアメリカの国家安全保障に「きわめて重大」な打撃を与え得るものを意味する。

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これに対してトランプ氏は、一切の不法行為を否定し、「マール・ア・ラーゴ」でFBIが発見した機密文書は全て、自分が機密指定を解除したものだと主張している。
これまでに複数の報道機関が、FBIの宣誓供述書の開示を請求していた。アメリカ大統領経験者の自宅が強制捜査の対象になるという前代未聞の事態の、歴史的重大性を請求の理由にしていた。
これに対して司法省は、供述書を公表すれば進行中に捜査に「取り返しのつかない打撃」を与えかねないと反論。また必要な黒塗りを加えれば、公開する供述書の内容は「無意味」になるとも述べていた。
これに対して、家宅捜索は違法で政治的動機によるものだと非難しているトランプ氏と弁護団は、黒塗りのない完全版の供述書の公開を求めている。
トランプ氏の広報担当、テイラー・ブドウィッチ氏は、供述書の内容を「隠そう」とするのは「シニカル」で、「政府の腐敗を隠す」ために使われかねないと述べた。
トランプ氏と弁護団はこれに先立ち22日に、FBIが自宅から押収した政府文書などについて司法省による捜査の差し止めを求める訴えを起こしている。

トランプ氏と政府文書 捜査の経緯
2022年1月:米国立公文書館は「マール・ア・ラーゴ」から政府資料15箱分を回収。トランプ氏の大統領退任時に政権から提出された文書の一部は、破られていたと明らかにした。
2月:国立公文書館が「マール・ア・ラーゴ」から回収した政府資料の中に、機密文書も含まれていたため、公文書館は司法省に捜査を依頼したと報道。
4月:なぜ政府の機密文書が「マール・ア・ラーゴ」にあったのか、FBIが捜査に着手と報道。
6月3日:司法省幹部とFBI捜査員3人が「マール・ア・ラーゴ」を訪れ、地下室に置かれているものを確認。報道によると、トランプ氏は現場を訪れ、司法省関係者らに「何かいるものがあったら、何でも知らせてくれ」とあいさつ。
6月8日:問題のものが保管されている場所に簡単に出入りできないよう、FBIがトランプ氏の側近に手紙で、鍵の強化を依頼したと報道。トランプ氏は、ただちにこれに応じたと発言。
6月22日:司法省がトランプ・オーガナイゼーションに対して、「マール・ア・ラーゴ」の防犯カメラ映像の提出を正式に要求と報道。
8月8日:FBIが「マール・ア・ラーゴ」に対する捜索差押許可状を執行し、約10箱分の資料を運び出す。
8月12日:捜索令状と押収品リストが開示される。「最高機密」指定のものを含む機密書類11組がその中に含まれていたことが判明。











