「ロシア人を入国禁止に」 ゼレンスキー氏が西側諸国に要請

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9日、西側諸国に対し、ロシア人の入国を禁止するよう要請した。ロシアは反発している。
ゼレンスキー大統領は米紙ワシントンポストの取材で、「ロシア国民はその哲学を変えるまで自分たちの世界で生きるべきだ」と発言。ロシアの飛行機や政府関係者の西側諸国への入国を拒否することは制裁よりも効果が大きいと説明した。
ロシア国民は現在、欧州連合(EU)やアメリカへの渡航ビザ(査証)を申請することが可能だ。
しかしゼレンスキー氏をはじめ一部の欧州首脳は、これを制限するべきだと提言している。
一方、ロシアのドミトリー・ペスコフ政府報道官は、ゼレンスキー氏の提案を非難し、「非常にマイナスの方向にしか受け取れない」、「ロシアやロシア国民を孤立化させようという動きに未来はない」と述べた。
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ゼレンスキー氏は、「最も重要な制裁は国境を封鎖することだ。ロシア人は他人の土地を奪おうとしているからだ」と話した。
同氏は先に、ロシアのウクライナ侵攻を後押ししているロシア産の石油とガスの輸入を、西側諸国が全面禁止しなかったことを非難している。
禁止要請への賛同も
エストニアのカヤ・カラス首相は9日、「ロシア人に観光ビザを発行するのはやめよう。欧州に来るのは人権ではなく特権だ」とツイートした。
先月にはラトヴィアの外相がニュースサイト「ポリティコ」の取材で、EU加盟国はロシア人へのビザ発行を、人道的な理由の場合を除いて制限するべきだと語っている。
8日には、ロシアの隣国フィンランドもこの動きに賛同。サナ・マリン首相は国営テレビに出演し、「ロシアがヨーロッパで攻撃的で残忍な侵略戦争を繰り広げているのに、その国民が普通に生活し、ヨーロッパを旅行し、観光できるのはおかしい」と語った。
さらに、エストニアとフィンランドはこの件を、近くEU外相会議で取り上げる見通しだ。

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EUでは国境を越えた人の自由な移動を可能にする「シェンゲン協定」により、域外からの渡航者でも最大90日間、観光やビジネスなどで加盟国間を自由に行き来できる。
同協定にはEU加盟国の22カ国と、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインが加盟している。
ロシア人も、目的地への直行便がなくても、ほとんどのEU加盟国を行き来することができる。ただし、西側諸国の制裁により渡航禁止措置を受けているロシアのオリガルヒ(富豪)やウラジーミル・プーチン大統領、軍関係者は入国できない。
エストニアとラトヴィアはすでに、ロシア人へのシェンゲンビザの発行を停止している。しかし、ロシア人が他の協定加盟国でビザを取得し、両国に入ることは可能だ。
ブルガリアはロシアと外交紛争を起こしており、互いに観光ビザの発行を取りやめている。
ただ、ゼレンスキー氏の要請に対する支持は、限定的かもしれない。ロシアは制裁を受けてはいるものの、世界各地でビジネスを展開しており、エジプトやトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)などでは、ロシア人が観光客として歓迎されている。
また、2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、西側の厳しい制裁を受けて数万人のロシア人が外国にわたった。これには反政府活動家なども含まれているが、政治とは無関係にロシア国外に機会を見いだした人も多数いる。
ロシアへの反発は言語や文化でも
ロシアの侵攻を受け、ウクライナではロシア語やロシアの文化への反発も高まっている。
ウクライナでは数百年にわたりロシア語が使われ、現在でも広く使用されている。しかしウクライナの著名人の中には、公共の場でロシア語を使わないとソーシャルメディアで宣言する人もいる。
首都キーウでは今年前半、ロシアや旧ソ連と関連する名前の地下鉄駅について、オンライン上で新しい名前の公募があった。
その結果、「レオ・トルストイ広場」駅はソ連時代の詩人兼反政府活動家の名前を取って「ワシル・ストゥス」駅に、「ヘロイフ・ドニプラ(ドニエプルの英雄)」駅は「ヘロイフ・ウクライニ(ウクライナの英雄)」駅に、「ドルズビイ・ナロディフ(人民の友情)」駅は、近くの国立植物園にちなんで「ボタニカル」駅となった。
各国の反ロシア的な動きやウクライナのナショナリズムに対し、ロシアのペスコフ報道官は、第2次世界大戦直前のようだと批判した。
「こうした国々の多くは、友好的でないからこそ、物忘れに陥っている。だから、80年前にヨーロッパの中心の国々から聞いたような発言に頼ることになる」








