中国、台湾周辺に弾道ミサイル発射 米下院議長の訪台受け

China conducts a long-range live-fire drill into the Taiwan strait from an undisclosed location

画像提供, EASTERN THEATRE COMMAND via Reuters

画像説明, 中国は台湾海峡に向けて長距離の実弾射撃演習を行った

中国軍は4日、台湾の周りで大規模な演習を開始し、台湾の周辺海域に向けて複数の弾道ミサイルを発射した。アメリカのナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問を受けてのこと。アジア歴訪中のペロシ氏と米議員団は4日夜、日本に到着し、5日に岸田文雄首相と会談した。

日本、中国を強く非難

U.S. House of Representatives Speaker Nancy Pelosi shakes hands with Japan's Prime Minister Fumio Kishida before their breakfast meeting in Tokyo

画像提供, Reuters

画像説明, 会談の前に握手するペロシ議長と岸田首相(5日、総理大臣公邸)

日本の岸田首相は、アジア歴訪の最終地として日本を訪問中のペロシ氏との朝食会後、「わが国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題であり、中国に対し強く非難し、抗議をした」と記者団に語った。

4日夜に日本に到着したペロシ議長は5日朝、岸田文雄総理と会談。午前8時からおよそ1時間、朝食を交えながら会談したという。

ペロシ氏は岸田首相との会談後に都内の米大使館で記者会見し、アメリカの政治家の台湾訪問を阻み、中国が台湾を「孤立化させることは許さない」と述べた。

また、自身の訪台に対して中国が怒りをあらわにしていることについては、「我々の渡航スケジュールを組んでいるのは彼ら(中国)ではない」とした。

アメリカ大使館で記者会見したペロシ議長(5日、都内)

画像提供, Reuters

画像説明, アメリカ大使館で記者会見したペロシ議長(5日、都内)

東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会談のためカンボジアに滞在中のアントニー・ブリンケン米国務長官は、中国による台湾周辺での軍事演習は「過度の、重大かつ不当なエスカレーション」だと指摘した。

そして、「(中国の)行動は正当化できるものではない」と述べた。

中国はペロシ氏を「制裁」

中国は5日、ペロシ氏の訪台を受け、ペロシ氏とその近親者に対し制裁を科すと発表した。

ブリンケン氏と同様にカンボジアに滞在中の中国の王毅外相は5日、声明で、ペロシ氏が「中国の内政に著しく干渉し、中国の主権と領土保全に深刻な損害を与え、『一つの中国』の原則を踏みにじり、台湾海峡の平和と安定を深刻に脅かした」と述べた。

こうした中、台湾の国防部(国防省)は、2日連続で「複数の」中国船舶と航空機が台湾海峡の「中間線」を超えたと発表した。

ロイター通信は台湾の情報筋の話として、中国海軍の艦船10隻が5日朝に「中間線」を超え、その海域にとどまったと報じた。また、中国軍機20機も一時的に「中間線」を超えたという。

この情報筋によると、台湾海軍の艦船が中国海軍の活動を監視するため、この海域付近にとどまっているという。

台湾海峡の「中間線」は、中国大陸と台湾島との間に設けられた非公式の境界線。

日本のEEZに落下と推定

動画説明, 中国、台湾周辺でミサイル発射 「重要軍事演習」と

台湾国防部は、中国軍が4日午後、台湾の北部、南部、東部の周辺海域に向けて11発の「東風」弾道ミサイルを発射したと発表。関連する防衛システムを発動し、状況を注視していると述べた。

台湾外交部(外務省)は4日、中国が「北朝鮮をまねし、わざと他国の水域近くへ試射している」と非難した。

日本政府は、中国が発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)の内側に落下したと推定されるとして、中国側に抗議。軍事演習の即刻中止を求めた。

岸信夫防衛相は「日本の安全保障や国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する。非常に威圧的な訓練だ」と述べた。

日本の批判に対して中国は、「両国は関連海域で境界を画定していない。そのため、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と反論した。

中国人民解放軍東部戦区は3日の声明で、「共同封鎖、対艦攻撃、対陸打撃、制空作戦などを重点的に訓練し、戦区部隊の合同作戦能力を検証した」と発表している。

台湾を独立国家として認めない中国政府は、米与党・民主党幹部のペロシ下院議長による台湾訪問を、重大な主権侵害とみなして反発。中国の王毅外相は、ペロシ氏の台湾訪問は「中国の主権を侵害する挑発的な行為だ」とした上で、「アメリカの冷静さを失った無責任で極めて不合理な行動」に中国が「断固として抵抗」する姿勢を強調した。

<関連記事>

Presentational white space

ペロシ議長は議員団を率いてアジア歴訪中で、2日深夜に台湾入りし、翌日に立法院(議会)で演説したほか、台湾の蔡英文総統と会談した。議長の訪問は、過去25年間で最も高位の米政治家による訪台だった。

アメリカ政府は台湾を国家として正式承認していないものの、防衛用の兵器を提供するなど、台湾との強い結びつきを維持している。

U.S. House of Representatives Speaker Nancy Pelosi is welcomed by U.S. Ambassador to Japan Rahm Emanuel at Yokota U.S. Air Force Base in Fussa, on the outskirts of Tokyo, Japan August 4, 2022. REUTERS/Issei Kato

画像提供, Reuters

画像説明, 米軍横田基地に到着し、ラーム・エマニュエル駐日大使に出迎えられたペロシ議長(4日夜、東京都)

船舶や民間機に影響

中国のミサイル発射によって、台湾を発着する航空機や船舶に影響が出ている。

貨物船が航路変更を余儀なくされているため、国際的な流通に遅れが出るものと懸念されている。

台湾桃園国際空港を出発予定だった国際便50便以上が、キャンセルされた。

台湾周辺の緊張悪化をを受け、米海軍は4日、空母ロナルド・レーガンを中心とする空母打撃群が、台湾南東部を含む海域へ向かっていると発表した。

「空母ロナルド・レーガンと空母打撃群は、フィリピン海に展開し、自由で開かれたインド太平洋を支える通常のパトロール活動の一環として、平常の予定通りの行動をとっている」と、海軍報道官は述べた。

taiwan_china_military_exercises