ウクライナ、ロシア旗掲げる穀物輸送船の拿捕求める トルコ沖

BBCリアリティーチェック、BBCトルコ語

Zhibek Zholy anchored outside Karasu Port

ウクライナ政府は1日までに、ロシア旗を掲げてトルコ沖で停泊する穀物輸送船の拿捕(だほ)を求めた。輸送船の航路追跡から、船はロシア支配下のウクライナから穀物を搬送していることが分かった。

ニュースのファクトチェックを担当するBBCリアリティー・チェックは、BBCトルコ語と共に、ロシア旗の貨物船「ジベク・ジョリ」の航路を追跡。ウクライナのベルディヤンスク港から、トルコのカラス港まで移動する様子をたどった。

船荷の由来は不明だが、ロシア軍はウクライナの占領地域から穀物を盗んでいるという非難が出ている。ロシアはこれを否定している。

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ベルディヤンスクはウクライナ南部ザポリッジャ州にあり、アゾフ海に面する。

貨物船がベルディヤンスクから出港したことは、ザポリッジャ州のロシア占領地域の知事としてロシア側に任命されて間もない、イエヴヘン・バリツキー氏がソーシャルメディアアプリ「テレグラム」で発表した。

バリツキー氏は、穀物7000トンが「友好的」な国に運ばれるとして、ロシア軍の黒海艦隊がその航行の「安全を確保」すると説明。ベルディヤンスク港の機雷は全て撤去されたとした。

Image of a Russian Shmel-class gunboat

画像提供, Telegram

画像説明, 貨物船「ジベク・ジョリ」を護衛するロシア軍のシュメーリ級砲艦

バリツキー氏は後にこの投稿内容を編集し、積み荷の中身や船の目的地についての言及を削除した。

輸送船「ジベク・ジョリ」の出港を伝える動画ニュースリポートも、複数の親ロシア政府系テレグラム・チャンネルが共有している。ロシア海軍艦艇と「ジベク・ジョリ」が映る映像の中で記者は、ベルディヤンスク港にいると話している。

Screengrab of news reporter standing near the Zhibek Zholy

画像提供, Telegram

画像説明, テレグラムに掲載されたニュース動画で、トルコへ向けて出港する前の「ジベク・ジョリ」が映っている

ニュース映像と港の衛星画像を比較して、BBCは映像がベルディヤンスクで撮影されたものだと確認した。映像の気象状況や、港にかかる影の角度などから、撮影日は6月28日だと推測できる。

船体に描かれた船名などは映像でぼかしがかかっていたが、テレグラムに投稿される画像や、ウクライナの海運専門家が聞いた目撃者の話などから、ベルディヤンスク港を出た船は、トルコ沖にいま停泊中の船と一致すると結論した。

The Zhibek Zholy pictured in Berdyansk

画像提供, Telegram

画像説明, ベルディヤンスクで撮影された貨物船「ジベク・ジョリ」

これ以前の「ジベク・ジョリ」の動きについても、貨物を積みにウクライナへ向かうまでの航路をたどることができた。

「ジベク・ジョリ」は6月22日にトルコから、ロシアのノヴォロシースクへ向かい、積み荷を降ろした。ウクライナ沿岸へ向かう途中で、追跡信号が途絶えた。船の側で信号を切ったと思われる。

追跡信号が復活したのは6月29日で、ウクライナ沿岸から再び南へ離れていった。追跡信号は船の水深も報告するため、「ジベク・ジョリ」が新たに貨物を積んでいることが分かった。

海運情報を提供する英ロイズ・リスト・インテリジェンスの市場編集長、ミシェル・ボックマン氏は、これは「あやしい」動きだと指摘する。

アゾフ海を航行中に信号を切る貨物船は多いが、ほとんどの船は目的の港に到着した時点で発信を再開するものだとボックマン氏は言う。

「ジベク・ジョリ」が現在の積み荷をトルコ・カラス港で降ろすつもりなのか、ボスフォラス海峡を通ってさらに別の目的地へ向かうつもりなのかは、まだ不明だ。

「ジベク・ジョリ」の所有者として登録されているのは、カザフスタン拠点の「KTZエキスプレス」社だ。同社はロイター通信に対して、「ジベク・ジョリ」はロシアの企業に貸与したと話している。また、全当事者と協議中で、全ての制裁や規制を順守するつもりだとしている。

(取材: ジョシュ・チーザム、マリア・コレニユク、ダニエル・パランボ、エーワン・リヴォールト、オヌル・エレム、マフムート・ハムシチ)