ウクライナ侵攻で「世界的な景気後退」の恐れ 世界銀行トップが警告
アナベル・リアン、ビジネス担当記者

画像提供, EPA
世界銀行のトップは25日、ロシアによるウクライナ侵攻で食料、エネルギー、肥料の価格が跳ね上がっており、世界規模の景気後退が生じる恐れがあると警告した。
世銀のデイヴィッド・マルパス総裁はこの日、アメリカで開かれたビジネス関連のイベントに出席。「景気後退の回避」は難しいとの見方を示した。
また、中国で相次ぐ新型コロナウイルス対策のロックダウンが、景気減速の懸念を強めていると述べた。
世界経済が縮小に向かうリスクが高まっているとする警告は、これまでも様々な人から出されている。マルパス氏の発言は、その最新のものとなった。
「世界の国内総生産(GDP)を見ると(中略)景気後退の回避は難しい」と、マルパス氏は述べた。ただ、具体的な予測は示さなかった。
さらに、「エネルギー価格が2倍になると考えるだけで、景気後退を引き起こすには十分だ」と付け加えた。
世銀は先月、今年の世界経済の成長率予測をほぼ1%ポイント引き下げ、3.2%とした。
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GDPは経済成長の指標だ。経済がどれだけ好調または不調なのかを測る、最も重要な手がかりの一つで、エコノミストや各国の中央銀行が注目している。
企業にとっても、事業拡大や人員増を行うべきか、それとも投資や人員の削減を行うべきかの判断材料となる。
政府もまた、税金や支出など、あらゆる決定の指針としてGDPを利用している。中央銀行にとっては、インフレ率と並び、金利の上げ下げを検討する際の重要な指標となっている。
欧州はロシアのエネルギーに「依存し過ぎ」
マルパス氏はまた、ヨーロッパの多くの国々が、石油とガスをロシアに依存しすぎていると述べた。
西側各国はロシアのエネルギー依存度を引き下げようと計画しているが、マルパス氏は、まだ不十分だとした。
同氏はさらに、米商工会議所の仮想イベントで、ロシアによるガス供給削減の動きが、この地域に「大幅な景気減速」をもたらす可能性があると述べた。
そして、エネルギー価格の上昇はすでに、ドイツに重くのしかかっていると指摘した。ドイツの経済はヨーロッパで最大で、世界でも第4位。
中国のロックダウンの影響
マルパス氏は、発展途上国も肥料、食料、エネルギーの不足によって影響を受けていると述べた。
また、金融、製造、海運の中心地である上海など、中国の主要都市で実施されているロックダウンに懸念を示した。そして、それが「今なお世界に影響や減速を及ぼしている」と述べた。
「中国ではすでに、不動産の収縮が起こっていた。そのため、ロシアが(ウクライナに)侵攻する前の中国の今年の成長予測は、すでに大幅に引き下げられていた」
「その後、新型コロナウイルスの感染の波によってロックダウンが実施され、中国の成長への期待は一段と低下した」
中国首相は国内向けにハッパ
同じ25日には、中国の李克強首相が、世界2位の経済大国の中国にとっては、2020年のパンデミック開始時よりも、今回のロックダウンの方が打撃が大きかったと述べた。
また、ロックダウン後に工場を再開させるため、より多くの行動を取るよう当局者らに求めた。
李氏はさらに、「進展は十分ではない」、「一部の地方からは、再開した企業は30%だけだと報告が上がっている。(中略)この割合は短期間のうちに80%に引き上げられなくてはならない」と述べた。
中国の数十の都市では、3月から4月にかけて、全面的または部分的なロックダウンが実施された。上海では閉鎖が長期にわたった。
この措置により、中国各地で経済活動が急減速している。
ここ数週間に公表された公式統計からは、製造業から小売業まで、経済の大部分に影響が及んでいることが読み取れる。









