サウジ記者殺害事件、トルコが裁判を停止 人権団体は非難

画像提供, AFP
2018年にトルコでサウジアラビア人記者ジャマル・カショジ氏(当時59)が殺害された事件で、関与したとされるサウジアラビア人26人について、トルコで行われている欠席裁判が停止された。審理は今後、容疑者の引き渡しを拒否しているサウジアラビアに引き継がれるという。
カショジ氏の婚約者のハテイチェ・チェンギスさんは、正義のため闘い続けると述べた。
サウジアラビア政府に批判的だったカショジ記者は2018年10月、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺され、遺体を切断された。サウジの工作員による犯行は、国際的な非難を浴びた。
サウジアラビアの裁判所は2019年、この殺害事件で匿名の8人を有罪にした。
トルコの司法相は先に、被告の欠席によって裁判が妨げられているという理由で、検察官が出していた裁判停止の要求に同意した。検察当局は、サウジアラビアの司法当局が、被告に対する疑惑を精査すると約束したと述べている。
「明らかに政治的」
しかし人権活動家らは、この判断によって事件の真相が葬られると非難している。
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルのトルコ担当者ミレーナ・ブユム氏は、「ぞっとするような、明らかに政治的な決定」だと述べた。
AFP通信によると、チェンギスさんは裁判所の前で、異議を申し立てる予定だと記者団に語った。
チェンギスさんはツイッターで、「私のジャマルに対する正義の闘いはまだ終わっていない。裁判所はこの事件の真実を無視できると決定したかもしれないが、私は止まらないし、沈黙もしない。ジャマル殺害で誰が有罪なのか分かっているし、今こそ私が闘い続けることが大事だと思う」と表明した。
トルコはこのところ、サウジアラビアとの関係修復を模索している。
この地域の2大国の関係は、カショジ氏の殺人事件後に大幅に悪化。サウジアラビアは非公式に、トルコの輸出品に対するボイコットを行った。
領事館内で殺害
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子を批判していたカショジ氏が最後に目撃されたのは、2018年10月2日、イスタンブールのサウジ領事館に入るところだった。チェンギスさんとの結婚に必要な書類を取りに行ったところだった。
当時、国連特別報告者だったアグネス・カラマール氏は、カショジ氏がサウジアラビア政府から派遣された15人強の工作員チームによって領事館内で「残酷に殺害され」、遺体を切り刻まれた結論づけた。カラマール氏は、トルコの情報機関によって録音された領事館内の会話の音声とされるものを聞いて、この判断に至った。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は当時、カショジ氏はリヤドから派遣された「死の部隊によって冷酷に殺された」と主張。「彼の殺害が計画的であったことが立証された」と述べた。
死刑判決を減刑
一方、サウジアラビアの皇太子はいかなる関わりも否定。サウジアラビアの検察当局は「ならず者」の工作員を非難した。
事件から1年後、サウジアラビアの裁判所は殺害に直接関与した5人を有罪とし、死刑判決を下した。しかしその後、禁錮20年に減刑された。また、別の3人が、犯罪を隠蔽(いんぺい)したとして禁錮7~10年の刑を言い渡された。
トルコはこの判決を「恥ずべきものだ」とし、認めないとした。その後2年にわたり、イスタンブールの裁判所が計画的殺人や証拠隠滅の罪で、サウジ当局者26人を欠席裁判で審理していた。









