ゼレンスキー氏、「第2次大戦以降で最悪の犯罪」とロシアを非難 国連安保理演説

Ukraine's President Zelensky addresses UN Security Council
画像説明, 5日の国連安保理でオンライン演説したウクライナのゼレンスキー大統領

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、国連安全保障理事会でオンライン演説し、ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍が第2次世界大戦以降で最悪の犯罪を犯していると非難した。

ゼレンスキー大統領はロシアの侵攻開始後初めて、国連安保理で演説。ロシア軍の「快楽のためだけに」ウクライナの民間人が殺害され、ロシア軍の戦車に押しつぶされていると語った。

そして、その責任を負う者は、ニュルンベルク裁判でナチス・ドイツの戦争犯罪が裁かれたのと同様に、裁かれるべきだと訴えた。

首都キーウ(ロシア語でキエフ)近郊のブチャなどで路上に複数の遺体が横たわっている陰惨な状況が画像で明らかになっており、世界中から非難の声が上がっている。

ゼレンスキー氏は演説の後、焼かれたり、外見が損なわれたりしたウクライナ人の遺体の動画を流した。BBCはこれらの真実性を独自に検証できていない。

「ロシア軍は、我が国に貢献した人々を探し出し、意図的に殺害した」とゼレンスキー氏は述べた。

「ロシア軍は一家全員を、大人も子供も殺し、遺体を焼こうとした」

Bucha bodies

画像提供, BBC/Maxar

画像説明, 衛星写真では、ブチャの路上に複数の遺体が横たわっているように見える(3月19日撮影)

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「国際機関の意味がないことに」

ゼレンスキー氏は、国連が行動を起こさなければならないと主張。行動しないなら、この国際機関に意味がないことになると述べた。

「国連を閉鎖する覚悟はありますか? 国際法の時代は終わったのでしょうか? もし答えがノーなら、直ちに行動する必要がある」とゼレンスキー氏は述べ、ロシア政府は「説明責任から避けられないはずだ」と付け加えた。

「我々は、国連安全保障理事会での拒否権を、死をもたらす権利に変えてしまう国家を相手にしているのです」

ゼレンスキー氏はウクライナでの犯罪行為を扱う特別な国際裁判所の設立と、ロシアを国連安保理の常任理事国から排除することを求めた。

そして、「ロシア軍が犯さない犯罪は1つもなかった」と付け加えた。

「ロシア軍に占領された他の都市や地域でロシア軍が行ったことを、世界はまだ知らないでいる」

President Zelensky addressed the United Nations Security Council

画像提供, Getty Images

画像説明, ゼレンスキー大統領はロシア軍が第2次世界大戦以降で最悪の犯罪を犯していると非難した

ウクライナ、欧州の民主主義の中心地に

ゼレンスキー氏は安保理での演説後、フェイスブックにビデオ演説を投稿。「国連安保理は存在するが、世界の安全保障は存在しない」と語った。

国連は「現在、創設された目的を遂行できていない」とし、機能不全の原因は安保理の常任理事国であるロシアにあると指摘。

ロシアが「国連と、ロシアが参加を続けているすべての国際機関の信用を失墜させている」と述べた。

また、国連におけるロシアの役割は「あらゆる建設的なことを妨害し、うそを広め、悪事を正当化するためにグローバル構造を利用すること」だとした。

「特に西側の指導者たちにとっては、いまが正念場」であり、ロシアに科す次の制裁は「占領者の戦争犯罪の重大さに見合ったもの」にすべきだと求めた。

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長と欧州連合(EU)外務トップのジョセップ・ボレル氏は、数日中にウクライナを訪問する予定で、その準備を進めているとゼレンスキー氏は述べた。

「キーウはいまや、世界的な民主主義の中心地であり、欧州大陸のすべての人にとっての自由のための戦いの中心地となっている」

ロシアの主張

ロシアのヴァシリー・ネベンジア国連大使は、ロシア軍が残虐行為を行ったという証拠はないと安保理で述べた。

「我々は、ロシアの兵士と軍隊に関する膨大な量のうそを再び耳にしている」

ネベンジア氏は、ウクライナと西側メディアで報道された内容には「重大な矛盾がある」とし、ブチャで取材していた記者が発見した遺体は、ロシア軍が撤退した際にはなかったとの主張を繰り返した。

「国際秩序に対する挑戦」

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ブチャで市民が死亡している光景を目撃したことを「決して忘れない」だろうと述べた。

グテーレス氏は安保理で、ロシアの侵攻は「その性質、激しさ、それがもたらす結果から」、国際秩序に対する過去最大の挑戦の1つだといえると警告した。

アメリカはロシアの国連人権理事会メンバーの資格停止を繰り返し求めた。

「ロシアは人権尊重の促進を目的とする機関において、権威ある立場を持つべきではない」と、アメリカのリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は述べた。

ウクライナ侵攻をめぐりロシアへの批判を避けてきた中国は、ウクライナの民間人の死亡に関する報告は「非常に憂慮すべきもの」だとした。ただ、検証された事実に基づく告発が必要だと、中国の張軍国連大使は述べた。