バイデン氏、ウクライナ侵攻の「可能性まだ大いにある」 ロシア軍の一部撤収は確認できず

Joe Biden

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画像説明, アメリカのジョー・バイデン大統領

アメリカのジョー・バイデン大統領は15日、ロシアによるウクライナ侵攻の「可能性は大いに残されている」とし、その人的損失は「計り知れない」ものになるだろうと述べた。ロシア国防省は先に、ウクライナ国境付近に集結させている部隊の一部を撤収させていると発表。16日も、クリミアでの軍事演習が終了し、部隊の一部を撤収させているとの声明を出した。

バイデン氏はテレビ演説で、ロシアに侵攻の動きがあれば断固として対応する用意があると述べた。

また、ロシアがウクライナ国境付近に約15万人規模の部隊を集結させているとした。

ロシアの国防省はこうした部隊の一部を撤収させているとしているが、バイデン氏はそれが事実なのかまだ確認していないと述べた。

「(ロシア部隊が撤収するのは)いいことだが、我々はまだその事実を確認していない。ロシア軍部隊が自国の基地に戻ったかどうかは確認していない」

「実際、我々の分析では、彼らが依然として非常に脅威的な位置にとどまっていることが示されている」

ロシアがクリミアから部隊撤収と発表

ロシアは16日、併合しているクリミアでの軍事演習を終えたと発表。国防省は声明で、「南部軍管区の部隊が戦術演習への参加を終えて、常駐地点に戻っている」とした。

ロシアの国営テレビは、軍用車が橋を渡ってクリミアを去っている場面とみられる映像を放送した。

一方、ウクライナは15日、国防省と銀行2行のウェブサイトがサイバー攻撃を受けたと発表した。原因は不明。ウクライナは過去にも、オンラインのインフラが大規模な攻撃を受けており、その時にはロシアによるものだとしていた。

ロシアについては、全面的な軍事侵攻ではなく、基幹インフラへのサイバー攻撃など、より目立たない方法でウクライナの不安定化を図るのではないかとの懸念が、以前から指摘されている。

この日のバイデン氏の演説の何時間か前には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、同国の安全保障上の懸念について、真剣に受け止められ対処されるべきだと述べた。

プーチン氏はかねてからウクライナ侵攻は計画していないと主張。ロシアは欧州で再び戦争が起きることを望んでいないとしている。しかし昨年11月以降、ウクライナをめぐる緊張は高まっている。

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ロシアは旧ソヴィエト連邦構成国のウクライナと文化的・歴史的に深いつながりがある。

ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の拡大を脅威とみており、ウクライナのNATO加盟を認めない確約を西側諸国に求めている。NATO側はこの要求を拒否している。

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民主主義を守るために代償を

バイデン氏は演説で、外交を継続するというロシア政府の提案に同意すると述べた。

また、ロシアがウクライナに侵攻して制裁が科されれば、アメリカ経済もエネルギー供給の遮断や価格上昇に見舞われる可能性があると警告した。

「アメリカ国民は、民主主義と自由を守るためには代償を払わざるを得ないと理解している」、「私は、それには苦痛は伴わないと偽るつもりはない」と、バイデン氏は述べた。

政府は今後起こり得るエネルギー供給問題を回避するため、生産者らと緊急時対応策に取り組んでいるという。

ロシアの天然ガスを西ヨーロッパに送る主要パイプライン「ノルド・ストリーム2」については、ロシアが侵攻すれば運用は「実現しないだろう」と警告した。

そして、「ロシア市民の皆さん、あなた方は我々の敵ではない。あなた方がウクライナとの血なまぐさい破壊的な戦争を望んでいるとは思えない」と続けた。

楽観論と警戒感

NATOは15日、ロシア軍がウクライナ国境から部隊の一部を撤収させたと発表したことについて、「慎重な楽観論」を示した。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相との電話会談で、「検証可能で信頼できる、意味のある緊張緩和」を確認する必要がある述べた。

これに先立ち、ボリス・ジョンソン英首相は、ロシアの野戦病院がウクライナ国境付近に建設されていることを英情報機関が確認しているとし、「侵攻の準備をしているとしか解釈できない」と指摘。ロシアから「複雑なシグナル」が発信されているとツイートした。

A graphic showing Nato's expansion since 1997
画像説明, 紫色は1997年より前にNATOに加盟した国。黄色は1997年以降に加盟した14カ国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、ルーマニア、スロヴェニア、クロアチア、モンテネグロ、アルバニア、北マケドニア、ブルガリア)

ロシアの主張

プーチン氏は15日、モスクワでオラフ・ショルツ独首相と約4時間にわたり会談した。終了後、ロシアは戦争を望んでいないと述べた。

「我々がそれを望んでいるかいないか? もちろん望んでなどいない。だからこそ、我々は交渉プロセスを提案している」

また、NATOがこれまで、ロシアの「基本的な」安全保障上の懸念に対処してこなかったと主張。ウクライナがNATOへの加盟申請を開始するには程遠い状況だが、プーチン氏はこの問題をいますぐ解決するよう要求している。

ショルツ氏は共同記者会見で、ロシア軍の増強は「理解しがたい」が、外交的解決によって緊張を緩和できる可能性はまだ残されていると述べた。

また、「私は部隊の増強が脅威とみなされていると伝えた」、「我々は当然、(この事態を)非常に懸念している」と、メディアブリーフィングで述べた。