ウクライナ、ロシアに48時間以内の会合を要求 軍事行動の「透明性」確保目指し

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ウクライナ情勢をめぐり緊張が一段と高まる中、同国外相は13日、ロシアと欧州安保協力機構(OSCE)の他の加盟国に48時間以内の会合開催を呼びかけた。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、ロシアが国境付近で部隊を集結させていることについて、11日に同国に公式に説明を求めたが、無視されたと述べた。
説明の要求は、OSCEの軍事行動に関する合意「ウィーン文書」に基づくものだったという。OSCEにはロシアも加盟している。
クレバ外相はその上で、「次のステップ」は48時間以内に会合をもち、ロシアの計画について「透明性」を確保することだと説明。
「ロシアがOSCE内の安保の不可分性について真剣なら、緊張緩和と安全強化のため、軍事的透明性を保つという約束を守らなくてはならない」と話した。
ウクライナのNATO加盟めぐり揺れる大使発言
ロシアは西側への要求の1つとして、ウクライナに北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めないことの確約を挙げている。
これに対しNATOと西側各国は、ウクライナを含む主権国は自己決定権を持つと反論。権利の中には、防衛同盟への加盟を求めるかどうかも含まれるとしている。
しかし、ウクライナのヴァディム・プリスタイコ駐英大使は13日、BBCラジオで、「戦争を避けられるならNATOに加盟しないことも、(ウクライナ政府は)検討するか」との質問に対して、「そうするかもしれない」と答えた。
司会者が重ねて、NATO加盟を目指す方針はウクライナ憲法に明記されていると確認すると、大使は「最善の解決策を見つけるため、柔軟に対応する用意がある」と答えた。
大使はまた、ロシア周辺の他の国がNATOに加盟しても、ロシアの安全保障状況に影響はなかったと主張。それなのに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナのNATO加盟にだけ強く反応しているのは、ウクライナがロシアと違う統治体制の国になればなるほど、ロシア国内でプーチン政権への不満が高まりかねないのを懸念しているからだと述べた。
しかしプリスタイコ大使は14日朝、BBCの情報番組「ブレックファスト」に出演し、NATO加盟の方針は変わらないと、前日の発言の「意図を明確に」した。
大使は、「自分たちは戦争を避けるため多くの譲歩をする用意があり、今まさにそれをロシアと協議しているのだ」としつつ、「それはNATO加盟とは関係がない。NATO加盟は憲法に明記されているので」と述べ、この方針に変更はないと言明した。
大使はさらに、ウクライナは現在はNATO加盟国ではないので、「現状を生き延びるために、(NATO以外の)たとえば二国間の取り決めを模索している」のだと述べた。また、NATO加盟という憲法上の規定に変化はないのかと司会者に重ねて念を押されると、「変わりはない」としつつ、ウクライナの加盟が認められるかどうかは「NATOそのものにその用意があるかどうか」次第だと述べた。
ウクライナ外務省も、NATO加盟について「柔軟」に対応する用意があるとした大使の13日の発言は、「文脈から外れて受け止められた」とコメント。自国のNATO加盟は「憲法に定められている」として、「我が国にとって肝心なのは安全保障の確約で、それはただちにNATOに加盟することだ」と述べた。
イギリスのジェームズ・ヒーピー国防閣外大臣は、ウクライナがどのように決断するにしても、イギリスはそれを支援すると話した。
米政府は全職員の退避準備か
ロシアはウクライナとの国境周辺に10万人規模の兵士を集めている。だが、ウクライナに侵攻する計画はないとしている。
一方、西側のいくつかの国は、ロシアが侵攻の準備を進めていると警戒。アメリカは、ロシアによる空爆が「いつでも」始まり得るとの見方を示している。
自国民にウクライナ出国を呼びかけている国は十数カ国以上に上る。首都キーウ(キエフ)から大使館職員を引き上げた国もある。米CBSニュースは米政府関係者3人の話として、アメリカが48時間以内に現地の政府職員全員を退避させる準備をしていると伝えた。

ロシアは、ウクライナとの国境沿いに部隊を集結させていることについて、自国の事情による領土内での行動だとしている。ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官は13日、アメリカがロシアによる侵攻が近いと警告を発していることについて、「ヒステリーが最高潮に達している」と述べた。
ウクライナとアメリカの大統領が電話協議
こうした中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが近日中の侵攻を計画している証拠はないと説明。侵攻が近いとの説から広がり得る「パニック」について批判した。
ゼレンスキー氏は13日、アメリカのジョー・バイデン大統領と1時間近く電話で協議した。米政府によると、バイデン氏はウクライナへの支援を改めて強調。両首脳は「外交と抑止の努力を続ける重要性」で一致したという。
ウクライナ政府は電話協議の内容について、ゼレンスキー氏がバイデン氏に「揺るぎない支援」への謝意を述べたと説明した。終了間際には、ゼレンスキー氏がバイデン氏をウクライナに招待したという。米政府はこれについてコメントしていない。
前日の12日には、バイデン氏とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が電話で協議したが、事態の打開には至らなかった。
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現地からの報道によれば、キーウではパニックが広がる様子は見られていない。ただ、アメリカなどがロシアによる侵攻について警告を発していることが、一部で影響を及ぼしている。
週末には航空会社の一部が、ウクライナ行きの便を欠航した。ウクライナ政府は、数億ドル相当を投じて、航空機の安全と航路の確保に努めているとした。
ウクライナでは2014年7月、ロシアの支援を受けた反政府勢力が支配する東部で、マレーシア航空機が撃ち落とされて298人が死亡している。

英国防相発言をウクライナ批判
一方、イギリスのベン・ウォレス国防相は13日付の英紙サンデー・タイムズで、現在のウクライナ情勢を第2次世界大戦直前のナチス・ドイツに対するイギリスの宥和政策になぞらえ、ウクライナ側から批判を浴びた。
ウォレス氏は、「(プーチン大統領が)戦車のスイッチを切れば、みんな家に帰れるかもしれないが、西側の一部にはかすかにミュンヘンのにおいがしている」と発言。ナチス・ドイツによるチェコスロヴァキア侵攻を容認したミュンヘン協定に言及した。当時のこの譲歩は、その後の戦争を防ぐことにつながらなかった。
この発言を受けてウクライナのプリスタイコ駐英大使はBBCのラジオ番組で、「協力国にいやな思いをさせるべきタイミングではないが、当時の行動は平和ではなく、その反対の戦争をもたらしたのだと、念押ししておく」とくぎを刺した。
ドイツ首相がプーチン氏と会談へ
各国の外交努力は続いている。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、14日にウクライナのゼレンスキー大統領とキーウで会談を予定している。15日にはロシアのプーチン大統領とモスクワで会談する。
昨年12月に首相に就任したショルツ氏は、ロシアが侵攻すれば厳しい経済制裁を受けることになると警告している。これは、西側諸国やNATO加盟国と同調するものだ。
ドイツ政府関係者は、事態打開の可能性は高くないとしている。







