ジョコヴィッチ選手が「真実を語っていないなら国外退去」=豪副首相

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テニスの全豪オープンに出場予定の男子世界ランキング1位のノヴァク・ジョコヴィッチ選手(34)のビザ(査証)が取り消された問題で、オーストラリアのバーナビー・ジョイス副首相は6日、同選手が新型コロナウイルスワクチンの接種免除について真実を語っていないのであれば国外退去されるべきだと、BBCに述べた。
ジョイス豪副首相はBBCの取材に対し、金持ちが「自分たちは法律を超越している(省略)と考え、世界中を飛び回ることなどできない」と語った。
全豪オープンに出場予定のジョコヴィッチ選手は5日深夜にメルボルンに到着したが、豪当局は医学的理由で新型ウイルスワクチン未接種であることを認めるビザを同選手が申請していないことに気づいた。
ジョコヴィッチ氏は入局を拒否され、入国管理局によって拘束状態に置かれている。
10日にも裁判所がジョコヴィッチ氏の国外退去の可否を決定する。
入国に必要なワクチン接種が免除
セルビア出身のジョコヴィッチ氏は以前から新型ウイルスワクチン接種に反対している。全豪オープンに出場するため、オーストラリア入国の際に義務付けられている接種を医学的理由から免除されていた。
免除に至った具体的な理由は明らかになっておらず、この決定に多くのオーストラリア人が激怒していた。
大会主催者によると、この接種免除は大会運営団体テニス・オーストラリアとメルボルンがあるヴィクトリア州が組織した2つの独立した医療委員会が与えたものだという。
ところが、オーストラリア国境警備隊(ABF)の職員は5日、ドバイからメルボルンに到着したジョコヴィッチ氏がオーストラリアへの入国要件を満たす「適切な証拠を提出できなかった」とした。
ジョコヴィッチ氏は入管収容所として使用されているメルボルン郊外のホテルに収容されている。
「他国の主権をばかにしている」可能性
ジョイス副首相はBBC番組「ニューズアワー」で、「もし彼(ジョコヴィッチ氏)が書類に適切に記入していないとすれば、彼は他国の主権をばかにしていることになる」と語った。
「(この一件では)100%誰かがミスをしている。彼が真実を語っていないのであれば、ミスを犯したのはジョコヴィッチ氏だといえる」
さらに、「自分がすごい金持ちだからといって、他国の法律を超越していると考え、世界中を飛び回ることなどできない」と付け加えた。
ジョコヴィッチ氏のチームは、ABFの決定に異議を申し立てており、オーストラリアの連邦巡回・家庭裁判所での審理が10日に予定されている。同氏がそれまでの間、同じホテルにとどまるのかは明らかになっていない。
「特別扱い」を否定
これに先立ち、スコット・モリソン豪首相はジョコヴィッチ氏が特別に厳しい扱いを受けているとの見方を否定し、誰も同国のルールを超越できないとした。
接種免除の理由は明らかになっていないが、連邦政府が定める接種免除の基準には、過去半年以内の感染歴は含まれていないと、モリソン首相は述べた。
モリソン氏は当初、ヴィクトリア州政府がジョコヴィッチ氏ら複数のテニス選手に医療免除を与えたことを認めると発言していた。
首相は現在、この問題を政治化していると非難されるなど、国民の大きな反発を受けている。オーストラリアでは感染者が急増しており、首相自身もプレッシャーにさらされている。5月には総選挙が行われる可能性が高い。
セルビアでの反応
セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、同国のスターが「嫌がらせ」の被害者になっているとし、「セルビア全体が」彼をサポートしていると述べた。
モリソン氏は、「セルビアとの関係において何か特別な立場にあるから」ビザが取り消されたわけではないとした。
ジョコヴィッチ氏の父親スルジャン・ジョコヴィッチ氏は、警察が警備する一室に息子は入れられたと語った。
父親は「これはノヴァクのためだけでなく、全世界のための闘いだ」と、メディアを通じて声明を発表した。
テニス界の反応
スペイン出身のテニス界のスターで、全豪オープンの準備のためにメルボルン滞在中のラファエル・ナダル選手は、オーストラリア国民が「この件に関して非常にイライラしている」のは「当たり前」だと語った。
「私にとって唯一明確なことは、ワクチンを接種していれば全豪オープンでプレーできるということだ」
そして、「2年にわたって多くの人が亡くなっているのだから当然だ。このパンデミックを止める唯一の方法はワクチンだと、私は思う」と付け加えた。
一方で全豪オープンの元ディレクター、ポール・マクナミー氏は、一度認められたビザが取り消されるというのは前例がなく、政治の「においがする」と地元メディアに語った。
公共放送オーストラリア放送協会(ABC)が報じたところによると、ほかの2選手についても現在、医学的免除の見直しが進められている。モリソン氏は、ABFがビザの見通しについてテニス・オーストラリアに助言したことがあるとしている。
全豪オープンは1月17日にメルボルンで開幕する。ジョコヴィッチ氏は過去に同大会で9度優勝している。







