イギリスのガソリン不足、英軍が週明けから輸送支援

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イギリス各地のガソリンスタンドでガソリン不足が続く中、週明けの4日からは英陸軍の兵士約200人が「一時的」に輸送作業を支援することになった。
英政府によると、燃料輸送の技術を持つ運転手100人を含む英兵200人近くが、ガソリンを国内各地のガソリンスタンドに運ぶ。兵員はすでに、輸送作業の訓練を開始しているという。
ベン・ウォラス国防相は、「状況は安定しつつあるものの、喫緊の不足を埋めるため軍が待機している。燃料を給油場へ運ぶため業界を支援し、この国が活動し続けられるよう手伝う」と述べた。
クワシ・クワルテング・ビジネス相は、「業界が大いに努力したおかげで、ガソリンスタンドの状況は改善しつつある。給油場の備蓄量は上昇し、給油場への供給量も通常以上で、燃料需要は安定しつつある」と状況を説明した上で、「イギリスで全国的な燃料不足は起きていないので、誰もが引き続き普段通りに燃料を買うように。普段通りの買い方に速やかに戻れば、その分だけ速やかに普段通りに戻れる」と呼びかけた。
英政府はすでに、最大300人の外国人タンクローリー運転手に対して、来年3月末までイギリス国内でただちに働くことができる査証(ビザ)を提供する方針を示している。
イギリス各地のガソリンスタンドでは9月下旬から、給油を求める人たちの車列が続いた。
政府は、消費者が通常のペースで給油を続ける限り燃料は不足していないと主張し続けてきた。加えて、すでに供給量が販売量を上回るようになったため、給油場の状況は改善しつつあるとしている。
ただし、地域によっては混乱がなお続く場所もあると政府は認めている。
10月1日には、王立自動車クラブ(RAC)が、輸送の混乱は改善しつつあるものの、多くの場所でまだ供給量が不足していると指摘した。
週末を前に多くのドライバーが給油したため、小さいガソリンスタンドは備蓄不足に苦しんでいるという。
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国内8300軒のガソリンスタンドのうち5500店舗が加盟する英石油小売協会(PRA)は同日、独立事業主にとっては状況はほとんど変わっていないと指摘した。
1日に1100店舗を調査したところ、そのうちの26%でガソリンも軽油も底をついていた。9月30日の時点では27%だったという。

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「燃料は不足していない」
各地のガソリンスタンドで燃料が枯渇している問題について、政府や石油各社は製油所の備蓄は十分だとしている。ただし、タンクローリーの運転手不足が供給不足に影響しているという。
低賃金など厳しい労働条件が原因で、重量物運搬車(HGV)の運転手不足は、欧州全体で起きているという実態があるものの、イギリスは特に打撃を受けている。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を受けて、欧州連合(EU)圏出身の運転手の多くが母国に戻ったり、通関手続きが増えて収入に影響するため別の国で働くことにしたりと、イギリスを離れた。
それに加えて新型コロナウイルスのパンデミックが起き、さらに多くの運転手が母国に帰り、ほとんどがイギリスに戻らなかった。
こうした状況で英政府は、最大300人の外国人タンクローリー運転手に来年3月までの短期ビザを提供する。さらに、食料輸送の外国人トラック運転手4700人にも、10月末から来年2月末までの短期ビザを発行する。
加えて、外国の鶏肉作業員5500人にも、今年10月末から同12月31日までの短期ビザを出す。政府はこれまで鶏肉作業員の短期ビザは12月24日までとしていたが、31日まで延長することにした。
最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、外国人労働者のビザ発行を急ぐため「緊急対策」が必要だとして、議会審議を再開するようボリス・ジョンソン英首相に呼びかけた。
一方ジョンソン首相は、輸送業界が低賃金の外国人労働者に依存しすぎているのが問題だと非難した。
ジョンソン氏は、問題の短期的解決のために大勢の移民労働者を受け入れることで、イギリス人労働者にとって「低賃金で低技能の経済」を作り出してしまうような、過去の「失敗」を繰り返すつもりはないと強調した。
リシ・スーナク財務相は、複数の業界でサプライチェーン(供給連鎖)の混乱が世界的な問題となっており、クリスマスまでは続くと警告。英紙デイリー・メールに対して、「物不足は現実に起きている問題だ」と財務相は述べ、「この国だけでなく世界中で、様々な分野でサプライチェーンが具体的な形で混乱している。影響をできるだけ軽減するため、最善を尽くす」と話した。
英経済紙フィナンシャル・タイムズによると、ブレグジットのため低賃金の外国人労働者が減った影響で、イギリスの養鶏農家は七面鳥の育成を大幅に削減。今年の供給は約100万羽少なくなる見通しで、スーパーなど小売業者はフランスやポーランドなどEU諸国からの輸入を増やすことになるという。







