タリバン、アフガニスタン第2の都市カンダハール奪還と主張

Farzia, 28, who lost her husband in Baghlan one week ago to fighting by the Taliban sits with her children, Subhan, 5, and Ismael ,2, in a tent at a makeshift IDP camp in Kabul

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画像説明, アフガニスタン各地から大勢が首都カブールに避難し、テントなどで野宿している。写真のファルジアさん(28、中央)はタリバンの攻撃で夫を失い、子供2人とバグランからカブールへ避難してきた

アフガニスタン反政府勢力タリバンは12日、南部カンダハルを奪還したと主張した。事実なら、タリバンにとって大勝利を意味する。同国第2の都市のカンダハールはかつてタリバンの一大拠点だった。今も主要な貿易の要衝として、戦略的にきわめて重要だという。

12日にはまた、数時間のうちにヘラート、ガズニ、ガライナウといった主要都市が次々とタリバン支配下に入った。

タリバンの広報官は「カンダハールもほぼ完全に制圧した」と発表したが、これは確認されていない。

消息筋はBBCに対して、南部ヘルマンド州の州都ラシュカル・ガーもタリバンが掌握したと話しているが、これも確認できていない。

タリバンはすでにアフガニスタン北部の大部分と、国内の州都の約3割を支配下に収めた。

アメリカは同日、大使館スタッフの避難を支援するため、約3000人の兵をアフガニスタンに戻す方針を示した。

米政府は、首都カブールの空港に部隊を派遣し、「相当数」の大使館職員を特別機で脱出されると述べた。

イギリス政府も、アフガニスタンから出るイギリス市民を支援するため、短期的に兵約600人を配備すると明らかにした。在カブールのイギリス大使館スタッフは、少数の必須人員にのみ削減されている。

米軍を中心とした外国駐留軍が20年の軍事作戦を経て撤退すると、タリバンは一気に国内で進撃を続けて、勢力範囲を拡大してきた。

タリバンが電光石火の進撃を首都カブールへと続けるのではないかと、懸念が高まっている。カブールには、国内の戦闘を逃れようと数万人の市民が避難し、テント生活などを強いられている。

BBCのアンバラサン・エティラジャン南アジア編集長は、「タリバンの進撃のスピードには、ベテランの軍事アナリストさえ衝撃を受けている」と話す。

なぜカンダハルが重要なのか

カンダハールはタリバン発祥の地であり、かつての一大拠点だった。それだけに、ここの奪還はタリバンにとって大勝利を意味する。加えて、カンダハールには国際空港があり、農産物や工業製品も製造している。重要な貿易拠点として戦略的にきわめて重要と位置付けられる。

タリバンは数週間前から街の郊外を占拠した後、中心部に向かって進攻を開始した。

11日には市内の中央刑務所を突破し、12日にソーシャルメディアで浮上した映像からは、市の中心部に入ったタリバン戦闘員の様子が見て取れた。

地元住民はAFP通信に対し、政府軍は市外の軍事施設に一斉退避したようだと話した。

Taliban militants patrol after taking control of the Governor"s house and Ghazni city, in Afghanistan, 12 August

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画像説明, タリバンが制圧したガズニで、州知事公邸の外をパトロールする戦闘員(12日、アフガニスタン・ガズニ)

タリバンが12日に制圧したガズニは、首都カブールとカンダハールをつなぐ幹線道路沿いにあるため、きわめて重要とされる。

一方、かつての「シルクロード」沿いにある古都ヘラートは、数週間前からタリバンに包囲されていた。政府軍が兵舎に撤退すると、タリバンが一気に市内に流れ込んだもよう。ソーシャルメディア上の動画からは、発砲しながら市内の中央通りを走る戦闘員の様子や、警察本部に掲げられたタリバンの旗などが見て取れる。

ヘラートに住むマスーム・ジャン氏はAFP通信に、「午後になって全てが変わった。(タリバンは)大急ぎで市内に入ってきた。あらゆる街角に旗を掲げた」と話した。

カブールの米大使館は、タリバンが降伏する国軍兵を処刑しているという情報が複数あるとして、「きわめて気がかりで、戦争犯罪に相当する可能性がある」と述べた。

Map showing who is control of districts in Afghanistan
画像説明, 赤がタリバン支配地域、赤い点はタリバンが制圧した都市。青がアフガニスタン政府の支配地域、黄色は係争中(12日現在)
White space

国連によると、アフガニスタンではこの1カ月間で1000人以上の民間人が殺害された。

今週だけでも戦闘が続く北部地域から数万~数十万人が首都カブールへ避難。国際団体「セイブ・ザ・チルドレン」によると、ここ数日だけでも推定7万2000人の子供が首都にたどりつき、道端や放置された倉庫などで野宿しているという。

各地の戦闘激化を受けて、多くの住民が家を避難している。クンドゥーズの自宅をタリバンに焼かれたという35歳の露天商は、「パンを買う金も、子供の薬を買う金もない」とBBCに話した。

タリバンによる反乱に対応し、ドイツ政府はタリバンが国内を完全掌握した場合、これまで毎年アフガニスタン政府に提供してきた5億ドルの支援金を停止する方針を示した。

ドイツ政府はさらに、ドイツへの難民申請を却下されたアフガニスタン市民の強制送還を中止した。フランスとデンマークの政府もそれぞれ、同様に対応するとしている。

アフガニスタン政府は何を

アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領はこれまでのところ、国内各地の軍閥(部族部隊)や民兵組織をタリバンに対して結集できずにいる。

大統領は11日に北部マザーリシャリーフへ移動し、政府系勢力を鼓舞した。マザーリシャリーフは伝統的に、反タリバン勢力の拠点。

マザーリシャリーフではさらに、ウズベキ系部族軍の長、アブドル・ラシド・ドストゥム司令官や、タジク系部族のリーダー、アッタ・モハンマド・ヌール司令官と、マザーリシャリーフ防衛について協議した。

ガニ大統領は長年、アフガニスタン国軍を増強するため、各地の軍閥を遠ざけてきた。しかし、タリバンが進攻を続ける緊急事態となり、その助けを求めていると、BBCのエティラジャン・アンバラサン記者は指摘する。

大統領はこれまでに、政府寄りの民兵組織に武器を提供すると約束している。