香港、国安法で初の有罪判決 「香港解放」うたうスローガンは分離独立を扇動 

Tong Ying-kit 23-year-old man appears at West Kowloon Court on 06 Jul, 2020

画像提供, Felix Wong/South China Morning Post

画像説明, 唐英杰被告は分離独立とテロ行為を扇動した罪で有罪となった。写真は西九龍の裁判所に出廷する唐被告(2020年7月6日)

香港の高等法院(高裁)は27日、香港国家安全維持法(国安法)違反の罪に問われた男性に対し、有罪判決を言い渡した。国安法違反で有罪判決が下るのは今回が初めて。

昨年7月にバイクで警官に突っ込み、香港の「解放」を呼びかける旗を掲げた唐英杰被告(24)は、分離独立とテロ行為を扇動した罪で有罪となった。

国安法が昨年6月に施行されたことで、香港の自治は後退し、デモ参加者を処罰しやすくなった。これまでに100人以上が国安法違反で逮捕されている。

違反者は最高で無期懲役が科される。量刑言い渡しは後日行われる予定。

今回の裁判は香港の慣習法の慣習とは異なり、陪審員なしで行われた。弁護団は陪審員の参加を要求していた。しかし香港の司法長官は、香港の微妙な政治情勢を考慮すると、陪審員の安全が脅かされると主張した。

香港で2019年に起きた一連の大規模な民主化運動の後に導入された国安法は広く批判されている。中国政府は、国安法は香港に安定をもたらすために必要だと主張している。

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「香港を解放せよ」

唐氏は昨年7月、路上で警官の集団にバイクで突っ込んで逮捕された。唐氏は当時、「香港を解放せよ、我々の時代の革命だ」と書かれた黒い抗議の旗を持っていた。

今回の裁判では、この旗に書かれたスローガンが分離独立を扇動するおそれがあると判事が指摘したと、地元メディアHKFPは報じた。

判事はさらに、このスローガンには中国大陸から香港を分離することを意味する、分離主義的な意味合いが含まれることを、唐氏が理解していたと付け加えた。

また、警察の検問所で止まらずに最終的に警官に衝突したのは「警察に対する意図的な挑戦」だと判断したと、地元メディアは伝えた。

「被告は、自分の政治的目的を達成するために、市民を威嚇する目的でこれらの行為を行った」と判事は指摘したという。

狭い法廷には数十人の記者や一般市民が詰めかけ、裁判を傍聴した。

裁判を傍聴したBBCのグレイス・ツォイ記者によると、判決文が読み上げられた時に法廷は「完全に静まり返っていた」。唐氏は非常に落ち着いた様子で、被告席から連れ出される前に支持者に手を振っていたという。

今回の判決は今後、国安法をめぐる事件の解釈の基準となる。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋地域担当ヤミニ・ミシュラ氏は声明で、「唐英杰に対する有罪判決は、香港での人権にとって重要かつ不吉な瞬間となった」と述べた。

「今日の判決は、香港で特定の政治的意見を表明することが公式に犯罪となり、無期懲役になる可能性があるという、粛然たる事実を明確に示している」

なぜ国安法が物議を醸しているのか

かつてイギリスの植民地だった香港は、1997年に中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。

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これにより香港では、中国大陸では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護された。こうした権利は少なくとも2047年まで維持されるはずだった。

しかし昨年6月、中国は香港での反政府的な動きを取り締まる国安法を可決・施行した。同法は香港の法制度を根本的に変えるものだと、弁護士や法律の専門家は指摘した。

同法では、裁判が非公開で行われたり(第41条)、陪審員なしで行われたり(第46条)する可能性がある。また裁判官は、中国に対して直接的な責任を負う香港特別行政区行政長官が任命できる(第44条)。

同法の施行以降、デモ参加者や民主派の政治家、ジャーナリストなど100人以上が逮捕されている。