ドイツやベルギーの洪水、水位下がり片付け始まる 死者170人に

Debris in the town of Bad Neuenahr

画像提供, Reuters

画像説明, 川の氾濫のためドイツ各地で濁流に自動車や家財が流された(写真:独バート・ノイエナール)

ドイツやベルギーなど西欧の広い地域を襲った大規模な洪水で、17日までに少なくとも170人が死亡した。記録的な豪雨で氾濫した各地の川は、水位が下がり始め、被災各地の住民は泥やがれきに覆われた家屋や市街地の片づけにとりかかっている。

ドイツでは消防隊員4人を含め、少なくとも143人が洪水のため死亡したと確認されている。ノルトライン・ヴェストファリア州、ラインラント・プファルツ州、ザールラント州が特に甚大な被害を受けている。

増水の影響で、各地のダムが今後さらに決壊する恐れが懸念されている。

ドイツ西部のボンから南東にあるシュタインバッハタル・ダムを点検した当局者は、きわめて不安定な状態だと警告した。下流地域の住民はすでに避難。さらに避難勧告の対象地域が広がる可能性もある。

デュッセルドルフに近いハインスベルク地区では16日夜にダムが決壊し、数百人が避難した。

この間、被災地を訪れた与党・キリスト教民主同盟(CDU)のアルミン・ラシェット党首が、同僚たちと冗談を言い合い笑っている様子がテレビカメラに捉えられ、批判されている。ノルトライン・ウェストファーレン州首相のラシェット氏の前では、フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領が記者団に対して被災者をいたわる発言をしていた。ラシェット氏は今年9月の総選挙後、引退するアンゲラ・メルケル首相の後継と目されている。

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ラシェット氏は自分の行動を後悔しているとツイートしたが、独政界やコメンテーターから非難が相次いでいる。

大衆紙ビルトはサイト上で「国が泣く間、ラシェットは笑う」と見出しを掲げた。

メルケル氏は18日にも西部シュルト村を訪れる予定。住民の1人は、被災後のシュルトがまるで「戦場」のようだと話している。

B265 federal highway in Erftstadt, North Rhine-Wesphalia

画像提供, EPA

画像説明, 独ノルトライン・ヴェストファリア州エルフトシュタットを走る連邦道路B265では、多くの車両が沈んだ

ラインラント・プファルツ州アールヴァイラー地区にある温泉町バート・ノイエナールでは、住民が道路から泥やがれきを取り除く清掃作業にとりかかっていた。しかし、多くの商店や家屋が濁流に破壊され、電気やガス、電話回線などのライフラインは断たれたままだ。

「なにもかも完全に破壊された。街の様子は一変してしまった」と、ワイン店の経営者ミカエル・ラング氏はロイター通信に話した。

パン屋のグレゴール・デーゲン氏はAFP通信に、近隣住民を集めて泥やがれきの清掃を始めたと話した。洪水の翌日には着手したかったものの、当時はまだ水位が高すぎたのだという。

アールヴァイラー地区では100人近くが亡くなったとみられている。

ノルトライン・ヴェストファリア州では連邦道路B265が冠水し、複数の車両が沈んだ。救急隊は中に閉じ込められた人の有無を確認後、撤去作業を開始した。

ドイツの隣国ベルギーでは、洪水で少なくとも27人が亡くなった。救助活動や避難を支援するため、各地に陸軍が派遣された。

ベルギーのアレクサンダー・ドゥクロー首相は、20日を全国的な服喪の日にすると発表。「最終的な犠牲者の人数はまだ分からないが、この国の史上最も壊滅的な洪水になるかもしれない」と話している。

Flood damage in Pepinster

画像提供, Reuters

画像説明, ベルギー・ペパンステルは特に甚大な被害を受けた

鉄砲水が発生して住民が避難したリエージュには、フランス、イタリア、オーストリアから災害救助隊が派遣された。

洪水によって、オランダ、ルクセンブルク、スイスでも被害が出ている。

オランダ・リンブルフ州では堤防決壊で市街地が冠水し、数千人が避難した。

一方、南部マーストリヒトや近隣の町村では16日には水位が下がりはじめ、多くの住民が帰宅することができた。

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スイスの首都ベルンではアーレ川が氾濫し、記録的な濁流となった。

ルツェルン湖も市街地にあふれ出し、バーゼル市はライン川に接近しないよう住民に呼びかけている。

欧州各国の首脳たちは、河川氾濫の原因は気候変動だと述べ、対策強化を呼びかけている。

洪水発生の原因は複合的だが、気候変動による気温上昇は激しい降雨のきっかけになる。

地球の平均気温はすでに、工業化以前(1850~1900年)に比べて1.2度上昇している。各国政府が温室効果ガスの排出量を大幅に削減しなければ、平均気温は上昇し続ける。

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気候変動が洪水を引き起こす仕組み

  • 気候変動によって地球の気温が上昇すると、大気へ蒸発する水分量が増える
  • 大気中の水分量が増えると年間降雨・降雪量が増える
  • 同時に気温上昇によって空気中の飽和水蒸気量(大気中に存在できる水蒸気の量)が増えるため、これも降雨の勢い激化につながる
  • このため、穏やかに降る雨とは異なる、洪水や土砂崩れにつながる豪雨が頻発するようになる
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画像説明, 赤印が洪水・浸水した地点