ハイチ、アメリカと国連に部隊派遣を要請 大統領暗殺受け

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ハイチのジョブネル・モイーズ大統領(53)が自宅で襲撃され死亡した事件をめぐり、同国当局は9日、国内の主要インフラを守るため、アメリカと国連に外国部隊の支援を要請した。
これに対しアメリカは、「現時点」では軍を派遣する計画はないとしている。その一方で、連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省の職員を派遣し、捜査を支援すると発表した。
国連では、国際部隊の派遣には安全保障理事会の承認が必要となる。
大統領暗殺事件は、南北アメリカで最貧国とされるハイチに社会不安をもたらしている。ハイチ全土に非常事態宣言が出ているが、大統領不在の中、権力の空白が生じている。
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ハイチの警察当局は8日、大統領暗殺は元コロンビア軍兵士らを中心とした28人からなる暗殺団が実行したとの見方を示した。
そのうち17人が拘束されている。また、3人が警察によって殺されたほか、8人が逃走中。容疑者のうち11人は、台湾が所有する外交施設に押し入ったところを拘束された。
9日には拘束された容疑者らと、押収された武器の写真が公開された。容疑者のほとんどはコロンビア国籍だが、ハイチ系アメリカ人2人も含まれているという。
アメリカ当局はこの2人について確認していないが、一部報道では、米フロリダ州出身のジェイムズ・ソラジェス(35)という男が拘束されたとされている。
この男はアメリカとカナダの二重国籍を持ち、ハイチのカナダ大使館で警備員を務めていた経歴があるという。
ハイチメディアでは、この男ともう1人、ジョゼフ・ヴィンセントという名の男が、通訳として暗殺に関わっていたと報じている。
また、コロンビア紙エル・ティエンポは、コロンビア人容疑者の名前が書かれた極秘文書を確認したと報道。そのうち4人が6月4日にコロンビアからドミニカ共和国に渡航し、徒歩でハイチに入国したと分析した。
逃走中の容疑者の捜索には、怒りをあらわにしたハイチ市民も参加している。中には容疑者の車に火をつけたり、証拠品を破壊してしまうケースも見られた。
レオン・シャルル警察長官は、市民に落ち着くよう訴え、自分たちの手で裁くようなことをしてはいけないと呼びかけた。

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大統領殺害の首謀者や動機はまだ明らかになっていない。
大統領暗殺は7日午前1時ごろ発生した。銃を持った一団がモイーズ大統領の自宅に押し入り、大統領と妻を銃撃した。
当局によると、大統領はあおむけに倒れているところを発見された。12発の銃弾を受けており、その場で死亡したという。
妻のマルティーヌ氏は重傷を負っており、治療のため米フロリダ州に航空機で運ばれた。容体は安定しているとされる。
権力は誰の手に?
モイーズ大統領をめぐっては、かねて辞任を求める抗議活動が拡大していた。
憲法では、議会が次期大統領を決定するとされている。しかし2019年10月に実施されるはずだった議会選挙は延期されており、モイーズ氏が法に基づき実権を維持していた経緯がある。
一方、完全に認められているものではないが、憲法の修正案では首相が権力を継承すべきだと示唆されている。
ただ、モイーズ大統領は暗殺前日の5日に、7人目となる新首相にアリエル・アンリ氏を指名したばかりだった。
アンリ氏はまだ就任宣誓をしていないが、自身が政権を握るべきだと主張。一方で、現在、暫定首相を務めているクロード・ジョゼフ氏も正当性を主張している。
国連は、年内に大統領選挙が実施されるまで、ジョゼフ暫定首相が国政を担うべきだとしている。
こうした中、9日には議会のあるグループが、ジョゼフ・ランベール議長を新大統領に、アンリ氏を首相に据える案に署名した。
一連の状況は、政治的にも経済的にも長く混迷の中にあるハイチの問題を解決する兆しにはなっていない。





