マクロン氏平手打ち事件で逮捕の男性、自宅にヒトラー著書=仏報道

動画説明, マクロン仏大統領、訪問先で顔面を平手打ちされる

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が訪問先で顔面を平手打ちされた事件で、逮捕された2人のうちの1人の自宅から、ヒトラーの著書「わが闘争」が見つかった。地元メディアが報じた。

同国南東部タンレルミタージュで8日に起きたこの事件では、マクロン氏が訪れたホテルの職業学校付近で、男性2人(ともに28歳)が逮捕された。

地元メディアによると、捜査当局は2人の自宅を捜索。マクロン氏が襲われる様子を撮影していたとされる男性の家で、「わが闘争」と剣や短剣、コレクター品のライフルなどの武器を発見したという。

ライフルは合法的に所有されていた。それらの武器が使用できる状態だったかは不明。

French President Emmanuel Macron (L) and his wife Brigitte Macron (C) salute people in Valence, France, 08 June 2021

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画像説明, マクロン氏(左)は平手打ちを受けた後も、住民らとの交流を続けた(8日、フランス・ヴァランス)

容疑者の人物像

マクロン氏に平手打ちをしたとして逮捕された男性は、極右や君主主義の人物や、フランスの中世史に関心があるとされる。

この男性はインスタグラムのページで、ヨーロッパの歴史的武術の全国組織のメンバーだと自らを紹介。中世風の衣装を身に着け、長い剣を持った自身の写真を投稿していた。

友人は男性について「政治に無関心」だとし、平手打ちを食らわせるのはまったくこの男性らしくないと述べた。地元紙パリジャンの電子版は、捜査関係者が男性の政治思想について「イデオロギーのごちゃまぜ」と述べたと報じた。

男性は平手打ちをした時、「モンジョワ、サン=ドニ! マクロン主義を打倒せよ」と叫んでいたとされる。一部はかつてのフランス王軍が戦闘で使ったかけ声だったが、1993年のヒット映画「レ・ヴィジター」のコミカルな登場人物をまねた可能性があると、コメンテーターたちは指摘している。

French actor Jean Reno on the set of the film Les Couloirs du temps: Les visiteurs 2

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画像説明, 容疑者の男性が叫んだ言葉は、映画「レ・ヴィジター」で俳優ジャン・レノ氏(写真)が口にしたものだったとされる

中世の戦闘好きか

事件の直前、平手打ちをした男性は他の2人の男性とともに、テレビのインタビューに応じていた。その中の1人は、「(マクロン氏に)言いたいことはあるが、残念ながら無理だ(中略)フランスの衰退だ」と述べていた。

マクロン氏が平手打ちされるのを撮影したとされる容疑者も、中世の戦闘ファンだという。

BBCのヒュー・スコフィールド・パリ特派員は、今回の事件をフランス社会の「崩壊」のサインだとか、フランス政界を毒している「過激な暴力」の象徴などとする報道があるが、そのような劇的なものとは思えないと意義を唱えた。

理由として、凶器を使わず素手で攻撃したことと、容疑者が危険人物ではなさそうなことを挙げた。その上で、今回の事件は、マクロン氏を心底嫌っている人が特に地方の小さな町に確実に存在することを示すものだとした。