ハリス米副大統領にメキシコ国境訪問を求める声 移民対策に身内からも批判

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中米訪問中のカマラ・ハリス米副大統領は8日、メキシコでアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領と会談した。記録的な移民の急増に対処しようとしているハリス氏に対しては、米・メキシコ国境を訪問するよう求める声が高まっている。
ハリス副大統領はこの日の記者会見で、なぜ米・メキシコ国境に足を運んだことがないのかと質問した記者と、とげとげしいやり取りを交わす場面があった。
一方、ハリス氏が所属する与党・民主党の議員からは、ハリス氏が前日に不法移民に対して「(アメリカに)来ないで」、「我々の国境に来れば追い返されるだろう」と警告したことに対して批判が上がった。
移民問題の根本的原因に対処
メキシコを訪問したハリス氏は、米政権がこの地域の経済発展を目指していると述べた。
ハリス氏とロペス・オブラドール大統領は、移民問題の根本的原因に対処することが両国の利益になると述べた。
今年4月には計17万8000人以上の不法移民がアメリカとの国境に到達し、1カ月間の人数としては過去20年以上で最多となった。
ハリス氏の側近は当初、同氏がジョー・バイデン米大統領に中南米からの移民問題への対応を任された際、国境問題がハリス氏の実績の1つになると述べていた。しかし最近では、政治的に危険なこの問題からハリス氏を遠ざけようとしている。
最近の世論調査では、経済や新型コロナウイルスのパンデミックに関するバイデン政権の政策は概ね好意的に受け止められているものの、移民問題への対応はそれほど支持されていないことが示されている。
国境訪問は
ハリス氏は8日朝、米NBCニュースのインタビューに応じた際、米・メキシコ国境を訪れる予定はあるかと聞かれると、「いずれ訪問する。(中略)私たちは国境に行くつもりだ。我々は実際に国境に行ったことがある」と述べた。
司会者がハリス氏自身は国境に行ったことがないと指摘すると、ハリス氏は笑ってこう述べた。「それから私はヨーロッパに行ったことがない。あなたが言おうとしていることが理解できない」。

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ハリス氏はメキシコでの記者会見の際にも、なぜ国境を訪問しないのかという記者の質問を一蹴した。
「現地へ行けば問題が解決すると言うのは簡単だ。それが解決策になるとは誰も思っていないだろう」
ハリス氏は、カリフォルニア州選出の上院議員だった際に国境を訪れたことがあると述べた。
移民問題で進展は
2日間におよぶグアテマラとメキシコ訪問の最後に、ハリス氏は国境訪問について発言した。同氏はグアテマラとメキシコそれぞれの指導者と会談し、外交関係の強化やアメリカに流入する不法移民の阻止などについて話し合った。
ハリス氏の側近によると、同氏は外遊の最後に、ロペス・オブラドール氏と1時間以上にわたって私的に会談した。
ハリス氏がロペス・オブラドール氏に対して、移民の拘束を強化するよう働きかけたかどうかは不明だ。左派のロペス・オブラドール氏はこれまで、不法移民の急増の原因はバイデン政権にあると非難してきた。
ハリス氏の側近はその後、ハリス氏はメキシコの労働者の権利を支援するため、1億3000万ドル(約142億3000万円)の援助を約束したと述べた。同氏はすでに、中米でのパンデミックや昨年のハリケーンによる影響を軽減するために3億1000万ドル(約339億2000万円)の拠出を約束している。
ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は8日、ホワイトハウスでのブリーフィングで、ハリス氏が国境を訪れない理由について聞かれると、「彼女はいずれ国境に行くかもしれない」と述べた。
なぜ身内の民主党から批判が?
ハリス氏は7日、グアテマラでの記者会見で、「(アメリカに)来ないで。来ないで。アメリカはこれからも法を執行し、国境を守り続ける」、「我々の国境に来れば追い返されるだろう」と述べた。
この発言に対し、移民に対してより人道的なアプローチを取るというバイデン政権の約束に反しているとの批判の声が上がった。
2019年に大統領選に出馬した際、ハリス氏は当時のドナルド・トランプ大統領が国境で不法移民を追い返したことを非難。
「ドナルド・トランプは『いた場所へ帰れ』と言っている。これは私たちのアメリカ、私たちの価値観を反映したものではなく、終わらせなければならない」と述べた。
民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州選出)は、ハリス氏が移民に「来ないで」と発言したことについて、「失望した」と述べた。
「まず、アメリカ国境で亡命を求めることは、100%合法的な入国方法だ」と、オカシオ=コルテス氏はツイートした。
「次に、アメリカは何十年もかけてラテンアメリカの政権交代と不安定化に関わってきた。誰かの家に火をつけるのを手伝い、逃げてきたことを非難するなんてできない」

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インド生まれの母親とジャマイカ生まれの父親を持つハリス氏は、自身が所属する急進派民主党議員グループ「スクワッド」のメンバーからも批判を受けた。
「亡命を求める権利は、単に法的に保護されているだけでなく、基本的、普遍的な人権だ」と、ソマリア生まれのイルハン・オマール下院議員(ミネソタ州選出)は述べた。
ミシガン州選出のラシーダ・タリーブ下院議員も、「『そこにとどまって死ね』というアプローチは、より人道的で公正な移民制度を推進する我が国のやり方ではない」と述べた。
こうした批判について質問が及ぶと、ハリス氏は「私にはとてもはっきりわかっている。我々は根本的な原因に対処しなければならないということを。そしてそれが私の願いだ。以上」と述べた。












