イスラエル野党、首相退陣目指し大連立へ交渉本格化 首相は反発

画像提供, PA Media
イスラエル政界でベンヤミン・ネタニヤフ首相(71)を退陣に追い込むため野党が連立交渉を進めるなか、首相は30日、この動きは国家の「安全保障にとって危険」だと警告した。
イスラエルではここ2年で4回の総選挙があったものの、過半数議席を獲得する政党がなく、連立も成功していない。今年3月の総選挙で第一党だった与党「リクード」が連立形成に失敗したため、現在は最大野党の中道派「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピド党首(57)が連立交渉を進めている。
こうした中、極右政党「ヤミナ」のナフタリ・ベネット党首(49)は30日、ラピド氏との連立交渉に応じると発表。ネタニヤフ政権が倒れる可能性が出てきた。
ネタニヤフ氏は12年間、首相の地位にあり、歴代最長。一方で、4月から汚職や詐欺など3件の疑惑で裁判を受けている。
ラピド氏は、6月2日までに連立政権を成立させる必要がある。
<関連記事>
ネタニヤフ氏は会見で「左翼政権を作ってはいけない。イスラエルの安全保障と未来が危険にさらされる」と発言。また、ベネット氏が「大衆をミスリード」してラピド党首と連立すれば、「100年に一度の詐欺」になると批判した。ベネット氏は以前、ラピド氏とは連立交渉を行わないと発言していた。
一方のベネット氏はテレビ演説で、「ネタニヤフ氏はもはや、右翼連立政権を作ろうと努力していない。そんなものはないと分かっているからだ。彼は自分の個人的な最後の戦いに、政界全体、国全体を巻き込んで道連れに入れようとしている」と語った。
「私は友人のヤイル・ラピド氏と一緒に、挙国一致政権を作るため、全力を尽くす」
イスラエル・メディアによると、ベネット氏がまず首相に就き、その後ラピド氏と交代する内容で交渉が進められているという。この提案は正式には確認されていない。
この連立交渉が成功した場合、左右両派と中道の政党が一体となった保革大連立政権が誕生することになる。政策上では共通点がほとんどないものの、各党はネタニヤフ氏の任期を終わらせるという点で一致しているという。

画像提供, EPA
ラピド氏率いるイェシュアティドは、3月の総選挙でリクードに続く第二党だった。一方、ベネット氏の「ヤミナ」は6議席を保有しており、野党連立政権に明確な過半数を与える鍵となる。
与党リクードは30日、ベネット氏のほか、別の党の党首にも連立を持ちかけ、首相職を3分割する案を提示したものの、拒否されている。
イスラエルの選挙システムでは、ひとつの党が単独過半数を獲得することが難しくなっている。そのため、少数政党が多数集まって連立政権を作ることが多い。
投票結果で明確な勝者が出なかった場合、ルーヴェン・リヴリン大統領が政権を作る人物を決定する。指名された人物は28日間の連立交渉期間が与えられる。
ネタニヤフ首相が連立に失敗した後に指名されたラピド氏の交渉期間は、パレスチナ自治区ガザ地区との衝突で11日間中断していた。連立候補だったアラブ・イスラム系政党「ラアム」とは、この衝突で交渉が決裂している。

<解説> ネタニヤフ氏の攻勢 ――ヨランド・ネル、中東特派員
30日夜の劇的な政治ドラマを経て、イスラエルではネタニヤフ長期政権を打倒する大連立政権成立が秒読みとなった。しかし、ネタニヤフ氏はそう簡単にいなくならないだろう。
ネタニヤフ氏は連立交渉が発表された直後、ベネット氏のヤミナやギドン・サール元内相率いる「新しい希望」といった右翼政党に、連立に合意しないよう呼びかけた。
会見の中でネタニヤフ氏は「誰が(ユダヤ人)居留地の面倒を見るのか?」と野党を批判。また、この連立政権では安全保障が弱体化し、イランに太刀打ちできなくなると語った。
こうした攻撃で何人かの議員の出鼻をくじけば、連立政権は成立しないだろう。
もし連立政権が成立し、就任式を迎えたとしても、ぜい弱なものになる。思想的に大きく異なる政党の寄せ集めだからだ。政権を維持するには、多くの難しい問題をやぶの中に葬らなければならないはずだ。









